✓この記事でわかること
- 自分のESを自分で添削できるようになる
- 研究内容を自分の言葉でわかりやすく棚卸しできるようになる
1. ESとは何か?企業が見ている真の評価ポイント
就活におけるエントリーシートとは、一言で表すなら「自分という商品を企業にプレゼンするための手段」です。選考の最初の関門であると同時に、通過後の面接においてもずっと手元で参照される重要書類となります。
企業側はESを通じて、自社とのマッチング度合いを総合的に見極めています。
| ESの主要項目 | 面接官が見ている観点 | 評価のポイント |
|---|---|---|
| ガクチカ・研究内容 | 求める人物像 | どのような課題意識や背景を持ち、どんな姿勢で取り組みに励んできたか |
| 自己PR | 今後の可能性 | 自身の持つ強みを通じて、入社後に活躍・貢献してくれるイメージを持てるか |
| 志望理由 | 熱意 | 自分のやりたいこと(Will)と企業が目指す方向性が合致しているか |
2. 通過ES vs 否決ES 境界線はどこにある?
ただ文章を書くだけでは印象に残りません。通過するESと落ちるESの違いを理解し、自分のESをセルフ添削できるようにポイントを押さえましょう。
① 伝わりやすいESにするためのお作法
お作法1:文章構成
いきなり文章を書き始めるのではなく、あらかじめ設問に合わせた「構成」を作成しておくことが重要です。先に基本となるフレームワークを作っておくことで、企業の指定文字数に応じて柔軟に要素を追加・削ぎ落とすことができ、効率的な「文章量の調整」にも活用できます。
例えば...
- 200文字:結論 + 既存の手法 + 改善策 + 今後の展望
- 400文字:200字の構成 + 解決する問題 + 現状の成果 を補強
- 800文字:400字の構成 + 具体事例 + 工夫した点 を深掘りして記述
お作法2:具体的に書く
あやふやで抽象的な表現は、読み手である人事に疑問やストレスを与えてしまいます。疑問が残らないよう、結論と理由を明確に落とし込むことが大切です。
「将来的には社会に価値のある事業に取り組む企業で働き、価値のあるものを作りたいです。」
【解説】「価値のある事業・ものとは何か?」が抽象的で、読み手に疑問しか残らず意図が伝わりません。
「私は将来、自動車のパワートレインの生産技術に携わりたいと考えています。その理由は大きく2つあります。1つ目は、環境性能の良いパワートレインを搭載した自動車を社会に普及させることで、環境問題の改善に貢献したいという強い想いがあるからです。私がこれまで学んできた機械力学の知識やエンジンに関する研究・経験を大いに活かせると確信しています。(2つ目の理由へ続く)」
【解説】結論(関わりたい分野・職種)と 理由(背景・研究経験との接点)が論理的かつ具体的に述べられており、意図が明確に伝わります。
お作法3:専門用語はできるだけわかりやすく
- 自分の研究分野と内容が近い企業:業界の共通言語として理解されるため、ある程度専門的な表現を使ってもOK。
- 自分の研究と分野が違う企業:専門外の担当者が読むため、親や文系の同級生に話しても伝わるレベルまで噛み砕いて記述する。
- スカウト型サービス(LabBase就職など):技術職の現場社員から文系の人事担当者まで多様な人が閲覧するため、「誰が読んでも理解できるわかりやすさ」を意識して書くのが吉!
② 評価されるESにするためのコツ
コツ1:「研究発表」と「就活」の違いを理解する
理系学生が最も陥りやすい落とし穴が、学会や論文発表と同じ感覚でESを書いてしまうことです。これらは、知りたい情報や評価されるポイントが大きく異なります。
- 研究発表(学会など):「どのような研究成果が出たか(成果・成功事例)」が評価される。
- 就活選考(ES・面接):成果そのものよりも、「あなたがどういう人間であるか(向き合い方・プロセス・工夫・失敗からどう乗り越えたか)」が評価される。
企業が知りたいのは、成果の凄さ以上に「壁にぶつかった時にどう考え、どう行動する人間なのか」という人柄や試行錯誤のプロセスです。成功談だけでなく、失敗談やそこからの工夫・リカバリーを伝えることが重要になります。
コツ2:専門性を幅広く捉える
「自分の専門性=ピンポイントな研究テーマ(例:ナノ粒子、特定のロボット制御など)」と狭く捉えてしまいがちですが、企業が評価する専門性はもっと広く多層的です。
研究分野の専門知識だけでなく、研究活動を通じて身につけた仮説検証力、論理的思考力、学習スピード、情報を整理して伝える力など、社会で非常に高く評価される「汎用性の高い専門スキル」です。日々の研究活動で身についた当たり前の姿勢や思考プロセスも、ぜひ改めて棚卸ししてみてください。
③ ES頻出項目のポイント
頻出項目1:自己PR
言いたいこと(PRポイント)は「1つに絞る」のが鉄則です。複数の強みを詰め込むとエピソードが薄まり、大量のESを見る人事の印象に残りにくくなります。
― 自己PRの基本構成 ―
【結論】自分の強みを一言で
↓
【理由】強みを発揮して出した結果
↓
【具体例】強みを裏付けるエピソード
↓
【結論】どのように生かしていくか
頻出項目2:「自己PR」と似ている「ガクチカ」
ガクチカと自己PRは混同されやすい項目ですが、企業から求められている役割や評価軸が明確に異なります。事前にそれぞれの構成要素を用意しておくと、設問に合わせてスムーズに書き分けることができます。
| 比較項目 | ガクチカ | 自己PR |
|---|---|---|
| 最初に伝えること | 学生時代に注力した活動 | 自分の強み |
| 重視されること | ・動機 ・課題の乗り越え方 | ・強み ・その根拠 |
| 最後に伝えること | この活動からの「学び」 | 強みの企業での活かし方 |
― ガクチカの基本構成 ―
【結論】ガクチカを一言で
↓
【課題】どんな困難なことや課題があったか
↓
【具体例】課題を乗り越えた行動をエピソードを交えて
↓
【学び】どのように生かしていくか
頻出項目3:志望動機
志望動機を書く際は、「自分が何をやりたいのか」「将来何を成し遂げたいのか」をベースに考えることが大切です。
- 自分の「やりたいこと(情熱の源泉)」を言語化する:「原理を解き明かしたいのか?」「モノとして形にしたいのか?」「仕組みを効率化したいのか?」など、自分自身がどのようなことに情熱を感じて動く人間なのかを明確にします。
- 自分のやりたいことが叶う「場所(企業)」を探す:企業の魅力や強みをただ羅列するのではなく、「自分のやりたいことが実現できる環境としてその企業を選ぶ」という順番で思考を整理します。
- 「研究へのこだわり」=「自分軸」=「最強の志望動機」:研究活動の中で大切にしてきたこだわりや価値観を棚卸しすることが、そのままブレない自分軸となり、説得力のある最強の志望動機に繋がります。
― 志望動機の基本構成 ―
やりたいこと/志望動機(Will)
↓
企業のマッチング(企業に対して共感していること)
↓
志望動機につながる自分のエピソード
↓
入社後に実現したいこと
↓
(入社後のキャリアプラン)
④ LabBase就職プロフィールの入力・活用ポイント
ここまで解説してきたESのお作法や「自己PR・ガクチカ・志望動機」の言語化は、選考書類の作成だけでなく「LabBase就職」のプロフィールを完成させるステップそのものです。
企業の採用担当者は、プロフィールに書かれた内容から「どのような専門性を持っているか」「どんな人柄で、自社で活躍してくれそうか」を日々チェックしています。自身の強みや研究の魅力をしっかりと企業へ届け、特別選考や限定スカウトを獲得するためのプロフィール活用・スカウト獲得のポイントを押さえましょう!
専門性を証明する「研究内容」で企業の興味を引きつけ、人柄や強み(粘り強さ等)を示す「自己PR」が「会ってみたい」と思わせるトリガーになります。両方をプロフィールに記載することが成功の鍵です。
プロフィールに「半導体」や関連技術のキーワードを記入しておくと、企業の採用担当者が検索した際に見つけ出され、スカウトが届く確率が向上します。
・意欲がダイレクトに届く:企業に自分のプロフィールを見てもらえる機会が格段に増え、スカウトが届きやすくなります。
・スカウト獲得率が2.4倍:10社以上「興味あり」をした人は、全くしていない人に比べてスカウト獲得率が2.4倍アップ!
・まずは10社が目標:企業一覧ページから気になる企業を探し、まずは10社以上を目安に「興味あり(♡)」を押してみましょう。
3. 専門外の大人を唸らせる研究内容の書き方
研究内容は理系学生にとって最大のアピール武器ですが、相手に伝わらなければ評価には繋がりません。多くの理系学生が陥りがちな「よくある間違い」として、以下のポイントが挙げられます。
- 1.結果だけ書く:学会発表のように成果だけを述べ、人柄や取り組みのプロセスが見えない
- 2.背景がわからない:なぜその研究に取り組んでいるのかという目的や課題感が抜けている
- 3.専門用語だらけ:専門外の人事には理解出来ない言葉やマニアックな表現で埋め尽くされている
このような文章を読むと、人事は「すごいのは分かったけれど、結局何がすごいの...?」ともやもやを感じてしまい、評価に繋がりづらくなってしまいます。
専門外の採用担当者にも凄さや人柄がしっかり伝わる「最大の武器」に変えるために、研究内容は次の3つのステップで整理・記述しましょう。
| ステップ | フォーカスする問い | 記述のポイント(例) |
|---|---|---|
| 01. 何を明らかにしたいのか(課題) | Why(なぜ重要か) | 単に研究テーマを伝えるのではなく「◯◯分野では△△という課題があり、それを解決することが求められている」と背景を示す。 |
| 02. どんな工夫をしているのか(手法) | How(どんなアプローチか) | 「従来の手法では困難だった点を解決するために、□□という新しいアプローチを用いて試行錯誤している」と独自の思考・行動を語る。 |
| 03. どんな価値があるのか(意義) | Value(どう社会に役立つか) | 「この研究により◯◯の精度向上が期待され、将来的に△△分野へ応用が可能になる」と社会的貢献度を明示する。 |
4. 新時代の提案:ESにおける正しいAI活用術
近年、エントリーシート作成において生成AIを活用する機会が増えていますが、AIの使い所を誤ってしまうと選考で大きなマイナスに繋がります。まずはES作成でハマりがちな「よくある間違い」を押さえておきましょう。
- 1.丸投げ・自動生成:プロンプトに指定だけしてAIに文章をまるごと書かせる
- 2.AIが生成した事実を鵜呑み:生成された内容や事実関係を自身で検証せずにそのまま使う
- 3.考えることの放棄:思考プロセスをすべてAI任せにし、自分の言葉で推敲しない
このような使い方で作られた文章に対し、人事は「具体性がないし、深掘りしてもエピソードが出てこない、面接でズレる」と見抜いてしまいます。仮にESを通過したとしても、AIで作った文章を元に深掘りされる面接の場において整合性が取れなくなってしまうためです。
生成AIは「自分の代わりに文章を作成させるツール」ではなく、「自分の思考を整理し、言語化して磨くためのツール」です。AIは思考のパートナーとして正しく活用しましょう。
●おすすめのAI活用3ステップ
エピソードをAIに捏造させるのではなく、自身の経験を提示した上で「この経験から自分の『粘り強さ』を引き出す質問を5つ作って」と問いを立てさせ、思考を深める。
複雑な専門知識を「身近な料理や日常の行動に例えて説明して」と指示し、誰にでも伝わるわかりやすい表現に噛み砕く。
「論理的に説明が足りない部分や説得力が弱い箇所を指摘して」とフィードバックを求め、不足している具体性を自身の言葉で補う。
主催者からのメッセージ
「就活において内定を得ることは、あくまでやりたいことを実現するための『手段』であり、ゴールではありません。」
就活は、長い人生における一つの通過点です。自分がどんな人生を歩みたいのか、どんなことに挑戦したいのかを明確にし、それが叶う企業とマッチングするための貴重な機会です。
研究室の活動で忙しくなるこれからの季節ですが、今回学んだ言語化のコツを活かして、研究プロセスで培った一生モノの思考力を存分にアピールしていきましょう!
