トップレベルの国際学会も視野に入れ、企業と学生がともに成長するパナソニックのAI有給インターンとは

インタビュー

2018.12.17

LabBase Media 編集部

AIを専攻する就活生を対象に有給インターンシップを始めたパナソニック株式会社。開発現場を率いる社員をメンターに迎え“世界初”の創造を目指す。日本でもトップクラス級の人材を集める本インターンには、日本トップレベルのメンターがつく。本記事では、メンターの阪田隆司氏と岡田雅司氏に、彼らの経歴や同プログラムの魅力について話を伺った。

  • 阪田 隆司

    パナソニック株式会社

    機械学習、統計分析、データマイニング

  • 岡田 雅司

    パナソニック株式会社

    機械学習、最適制御、強化学習


知的好奇心に突き動かされ、今の仕事がある


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――岡田さんと阪田さんは、今回のインターンでメンターを務めると伺いました。お二人の入社後から現在に至るまでのお仕事を教えてください。


岡田氏(以下、敬称略):私は2013年度入社で、最初はクラウドソリューションセンターに配属。家電同士をつなげるクラウドのプラットフォーム開発に1年間取り組みました。その翌年から、AIの開発に特化した「知能研究室」という部署が新設され、そちらで2年ほどAIをパナソニックの既存事業に導入する取り組みを始めました。


2016年頃、「AIによる制御技術がこれから盛り上がる」ということで、アメリカのUCバークレーで当該分野の研究をしている教授の論文を調査する仕事に携わることに。幸運にもその教授と直接お会いする機会があり、私が論文調査を通じて着想した新しい技術を紹介したところ、高く評価してくださり「今すぐ論文を書いて3日後が締切の国際会議に提出したほうがいい」との言葉をいただきました。


ありがたいことに、そこから「AI制御といえば岡田」という評判が広まり、今もAI制御の研究を仕事として続けています。


阪田氏(以下、敬称略):私は入社後に情報システム部門のデータ分析を担う部署に配属されました。入社当時はちょうどIoTが注目を浴びはじめた頃で、「機械や家電から採ったデータの活用ニーズが高まる」という見立てから、データ分析の部署が新設されたのです。


そこでは主に、製造工場の機械から得られたデータを分析し、不良品を減らしたり品質を向上させたりといった仕事をしていました。家電から集められたデータから、ユーザーが製品をどう使うかという情報をもとに、新たな機能を提案することも。


新設の部署なので、自分たちで組織を牽引しなければならず、機械学習やデータ分析の手法は自学自習する必要がありました。その中で、Kaggleという分析系のプラットフォームに出会って趣味で触れていたため、それが業務に役立ったと感じます。


――阪田さんはKaggle master1であると伺いました。趣味が仕事で役立つレベルに達してしまうほど熱中されているのですね。


阪田:Kaggleを始めたのは4年半ほど前で、職場に新しく入ってきた後輩に教えてもらったことがきっかけです。一回やってみたらものすごく面白くて、後輩よりも私のほうがハマってしまい、それからは仕事が終わった後や土日にゲーム感覚でのめり込んでいきました。そこで得たノウハウや知識は仕事にも活きている、という感じです。


――知的好奇心から自ら知識を身につけ実用レベルに達するというのは、まさに研究者の姿勢ですね。岡田さんも大学時代に研究で嵩賞2を受賞されたと伺っています。どういった経緯で受賞されたのでしょうか?


岡田:当時は、音がモノの裏に回り込む「回折」という現象のシミュレーションに関する研究をしていました。それまで、回折はシミュレーションが非常に難しいとされていたのに対し、レイトレーシングと呼ばれる考え方の枠組みで計算を行うことで、安定的かつ高速にシミュレーションできることを発見したんです。


その研究成果をまとめた論文は音響分野における著名な論文誌に採択され、学会から論文賞もいただきました。以上を含めた学生時代のさまざまな取り組みが総合的に評価されての受賞だったと指導教授から伺っています。


しかし研究が順調に進んだわけではありません。修士に上がったとき、それまで自分の研究を担当してくれていた講師の先生が異動してしまい、一人で研究を進めていました。修士の2年間のうち半分以上は何も成果が出ず、ただひたすらできないながらに手を動かすしかありませんでしたね。


1.Kaggleコンペティションでゴールドメダルを1つ、シルバーメダルを2つを獲得すると与えられる称号
2.大阪大学で情報科学分野において顕著な成果や成績を残した博士号取得者が毎年数名表彰される賞


インターン生×パナソニック――「互いが高め合う」プログラムを目指す


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――パナソニックのAI有給インターンシップには、決まったカリキュラムがないそうですね。どのように進行していくのでしょうか。


参考)「家電の雄パナソニックだからこそ、意味を解するAIが求められている」 立命館大学谷口教授が語る、国際学会を見据えた有給インターン


岡田:インターンへの参加が決定したら、本プログラムのリーダーである谷口先生と、メンターの私や阪田と相談をして個々人の取り組みを決めていきます。学生の専門性とわれわれの業務とをコラボレーションをさせることが狙いです。

参加者に対して一方的に業務を教えるのではなく、私たちと参加者がお互いに学び合い、教え合うようなプログラムになるのではないかと思います。


――谷口先生のお話にもあったように、このインターンでは「提案型」の姿勢が大切ということですね。


阪田:AIの分野は本当に進化が速く、誰かに教えてもらう「待ち」のスタンスだと絶対に置いていかれます。上司も先輩も頼りにしない、攻めの姿勢で臨むくらいがいいんじゃないかな、と思いますね。


むしろ、どんな最先端の研究やってるのか、インターンに来てくれる学生から私たちが教えてもらいたいです……(笑)。


――パナソニックの組織の中には、そうした学び合いや教え合いといった風潮が根付いているのでしょうか?


岡田:社内のAI研究者を集め、谷口先生主導で個々人の取り組みや研究、論文などを紹介する勉強会を定期的に行っています。


AIと一口に言っても分野は幅広く、画像系の人もいれば、データ分析や統計を専門としている人、私のような制御系研究者もいます。分野間の垣根を超えての交流が活発なので、インターンに参加する学生にもこうしたプロジェクトにぜひ参加してもらえたらいいな、と思います。パナソニックの面白さをより深く知ることができるはずです。


――互いの知識やノウハウを教え合うという場面では、コミュニケーションにおいてどのようなことを重視されているのでしょうか?


阪田:「初心に返ること」ですね。私は、データ分析に関する社内の人材育成プログラムの講師も担当していますが、自分にとっては当たり前のことが初心者にとっては当たり前でないことに気付かされることが多々あります。「分からなかった頃の気持ちや視点」を忘れないことが、指導において欠かせないと感じますね。


岡田:私は大学で共同研究をしていることもあり、普段から学生と接する機会が多いのですが、実務経験から得られる学びを共有することが、インターンにおける企業の役割だと感じます。


企業の研究開発は、製品への実装だけでなく運用と保守までを視野に入れるため、効率的なデバッグやコーディングも行う必要があります。研究開発の生産性を向上させるこうした手法は、インターン生が自身の研究活動を進める上でもプラスになると思います。


必要なのは、技術×〇〇を結び付ける力


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――イノベーションの種を発見することは、今回のインターンシップの狙いのひとつだと思います。どのような能力やスキルを持つインターン生を求めているのでしょうか?


岡田:深層学習の研究は既に応用段階にきています。弊社は家電からバッテリー関連製品まで幅広い電機製品を既に持っているので、それらにユーザー視点でAIをどんどん組み込んでいく意欲のある人にぜひ参加してほしいですね。家電製品は「こんなところにAIが使えたんだ!」というイノベーションの可能性が、まだたくさん埋まっているのではないかと思います。


また、大規模計算環境に関する知見や実際に環境構築をした経験をお持ちの方がいたら、ぜひいろいろと教えていただきたいです。深層学習には大きなマシンパワーを使うので、今後は社内にスパコンのような専用機を構築する必要がある。現在は各個人が保有するマシンを用いて行っている状況なので、その効率化を図りたいと考えています。

阪田:データ分析や機械学習と、現場の課題とを結びつける力のある人が欲しいですね。例えば、お客さまから「こんな課題をAIで解決できないだろうか?」と相談がきた際に、どのようなデータを集め、どのような手法を使ってその課題を解決するのか。課題の同定から改善までの道筋が立てられる人が理想的ですね。


岡田:研究発表の場では、「自分の研究内容をいかに分かりやすく話すか」ということが重視されますが、面接の場では「自分がいかにすごい人材であるか」を語れるか、ということが重要であると思います。


自分自身、就活を通して「自分にはこういうスキルがあって、こう考えてこんなアイデアを出してこうしたら、こういう結果が出た」ということをうまく話せないと、就活ではなかなかうまくいかないんだなっていうことを痛感しました。成果だけでなく、それを生んだ自分自身をアピールしてほしいと思います。


――大変貴重なアドバイスをありがとうございます。最後に、お二人が感じる「パナソニックで働く魅力」を教えてください。


阪田:仕事に対して誇りを持ち、真剣に取り組む人と巡り合えるところです。パナソニックは、創業者である松下幸之助の精神に共感する人が多く集まっている会社。人として尊敬できる上に、「こんな人と一緒に働きたい」と思える魅力的な社員がたくさんいます。

岡田:大学の研究で用いられるオープンデータセットとは違い、生産工場や、家電や住宅、自動車という広範囲にわたる製品から得られる生データがパナソニックには潤沢にあります。そうした生データを分析して、成果をものづくりに還元できて、しかもその社会的インパクトは日本トップクラスです。


社会に大きな影響を与えているというこの実感は、やりがいにつながりますね。自分の研究が家電という形で人々の生活を豊かにする場面を想像すると、本当にワクワクします。


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編集後記


近年はスタートアップやベンチャーへの新卒就職も盛んになり、単純な大企業志向は陰りを見せ始めている。しかし、パナソニックのAI有給インターンシップでは、自らの研究開発を世界中の製品に活かせる、大企業ならではのダイナミックな挑戦ができるだろう。参加者に求められるレベルは高いが、実りの多い機会となるはずだ。


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ライター
佐藤 英太
カメラマン
児玉 聡

企業情報

パナソニック株式会社

◆経営の考え方  2018年創業100周年を迎えるパナソニックは、ブランドスローガンA Better Life, a Better World のもと、より良いくらしを創造し、世界中の人々のしあわせと、社会の発展、そして地球の未来に貢献しつづけることをお約束します。 ◆事業内容 部品から家庭用電子機器、電化製品、FA機器、情報通信機器、および住宅関連機器等に至るまでの生産、販売、サービスを行う総合エレクトロニクスメーカー ◆4つの事業領域 パナソニックは現在、「家電」「住宅」「車載」、そして「B2B」の4つの事業領域に注力しています。「家電」「住宅」「車載」3つの事業については、、「最終のお客様に広く価値を提供すること」を通じて、成長を目指しています。「B2B」事業は、パナソニックの強みを活かすことのできる、「業界」、「商材」、「地域」を明確にすることで「お客様の競争力強化に貢献すること」を目指します。 ◆重点技術分野 パナソニックでは10年ビジョンを掲げ、より良いくらしと社会の実現へ向けて、以下の領域の技術開発に注力しております。 <IoT/ロボティクス領域> 人工知能技術、センシング技術、メカトロニクス技術、UI/UX技術、ネットワーク技術 <エネルギー領域> 創エネルギー技術、蓄エネルギー技術、エネルギーマネジメント技術、パワーエレクトロニクス技術、水素関連技術 パナソニックの研究、技術に関する詳細につきましては下記HPをご参照ください。 ・パナソニックの技術について   https://www.panasonic.com/jp/corporate.html#technology-design ・AI特設HP   http://tech-ai.panasonic.com/jp/

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