就活は失うもののないゲーム――トイアンナさんに聞く、理系生のための確実内定ルール

インタビュー

2019.02.07

LabBase Media 編集部

就職活動応援の第一人者として活躍中のトイアンナ氏。オンライン就活サロンは毎年満員、2018年12月に出版した著書はAmazon就活本ランキングで1位獲得など、その活躍ぶりはまさに「就活のプロ」。そんな彼女から見た、理系就活生の特徴やストロングポイントとは? 理系就活生が「確実内定」する方法について伺った。

  • トイ アンナ

    フリーライター


「楽な就職」をした10年後、どうなるか分かっていますか?


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――今回は理系就活にフォーカスしてお話を伺っていきたいと思います。まず、理系学生の就活の仕方には、どのような特徴があるのでしょうか?


一番の特徴は、教授推薦の内定を前提としている学生が多いことです。ですが、その内定先が本当に自分に合っているのか、深く考えてから選択をする学生はあまり多くないように感じます。


例えば、「有名だから」「親が安心するから」という理由で選んだ大手内定先が3年後に経営破綻したとしたら、そのときにいったいどうするつもりなのでしょうか? 世の中に「絶対」なんてものはありません。とりあえず内定があるからと安堵して自分のスキルややりたいことを就活期に見極めず安易に就職先を決めてしまうのは、極めて危険だと思いますね。


最近の就活は売り手市場が叫ばれ、理系文系問わず「受け身」で就活をする人が多いんですよね。教授推薦はまさに「受け身」の最たる例です。しかし、そのような就活をして就職先を決めてしまうと、将来30代になってから困ることがあるんですよ。


――具体的にどのようなことに「困る」のでしょうか?


自分が何に向いているか、どのような企業にフィットしているかは、就活を通して視野を広げてみないと分かりません。例えば、卓球文化のない国で生まれ育った子どもは、自分が卓球の天才かどうか気づけないですよね。


受け身のまま就職すると、30代になって「本当にやりたかったこと」に目覚めたとき、大きな挫折を味わう可能性が高い。理系学生は受験から就職まで成功続きの人が多く、まさか転職で失敗するとは思っていません。しかし30代の門戸はすでに狭く、さらに一度会社を飛び出した手前、元の道にも戻りづらく、結果としてキャリアの方向転換に失敗するケースが多々あるんです。


だから、一般就職も視野に入れて就活したかどうかは、のちのち非常に効いてくるんです。挑戦をして失敗をしたという経験が、10年後の自分の糧になることだって十分ありえます。


――特に高学歴の理系学生は、大手企業にしか興味を持たず、就活の時点で間口を狭めてしまうこともありますよね。そういった学生は、どう就活したらいいんでしょうか?


そもそも、なぜ自分が大手企業に受かると思っているのでしょう? 例えば、四大商社のうちの某一社には、150人の採用枠に対して3万人が応募するんです。この数字を見れば、どんなに優秀な大学を出ていても、落ちるときは落ちるって分かりますよね。


就活は倍率の勝負です。東大の受験倍率は2.5倍、対してその商社の倍率は200倍。ケタが違います。「受験戦争を勝ち抜いたのだから就活もうまくいくだろう」という幼少期の成功体験に影響されすぎないほうがいいと思いますよ。


新卒で大手企業に行くとその後の転職にも有利なので、受けるのは賛成です。ただ、根拠なき自信で「通る」と思いこむのは禁物。大手企業に行きたいなら、100社は受けるべきです。リスク分散を考えましょう。


――耳の痛いお話ですね……。トイアンナさんのところには、日々悩める理系就活生から相談が寄せられると思いますが、他にも「これはNG!」というポイントがあれば教えてください。


理系学生からはよく、「AとBの就活本のうち、どちらがいい内容でしたか?」「C社・D社・E社にOB訪問する予定ですが、どこが一番向いていると思いますか?」という質問をされることがあります。しかし、そんなあなたたちに言いたい。「私はあんたのママじゃないんだよ」と(笑)。


就活を経験したことがない不安から頼りたくなる気持ちは分かります。しかし、まずは自分で考えて一旦行動を起こしてみること。理系学生は慎重派が多いので、起こす前から「失敗しないように」ばかりを考えがちです。しかし、必要なリサーチすらせずに他人に頼るのは、「甘い」と言わざるを得ないですね。


チームワークとは「適材適所」――「慎重さ」は就活ゲームの武器になる


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――たしかに甘さを感じますね……。そんな慎重派の学生は、どう就活をクリアすればいいのでしょうか?


先ほどは短所として挙げた「慎重さ」は、裏返せば強みになります。例えばスティーブ・ジョブズのような起業家タイプばかりが集まったら、ベンチャー企業はすぐに潰れてしまいます。華やかなビジョンの裏側で、提案された企画の採算性や実現可能性などを緻密に計算する慎重派の人間がいるからこそ、経営が成り立つのです。


ではこの「慎重さ」をどう生かすか? グループディスカッションを例に考えてみましょう。


例えば、「少子高齢化はどうしたら改善できるか」という非常にざっくりした問いに対して、30分以内にグループで答えを出すことを求められたとします。慎重派にとっては、少子高齢化の現状を正確に把握して、数値的な根拠も交えながら密な議論をしたくなるところ。しかし、時間内に最適解にたどりつけるかどうかも評価における重要なポイントです。


こうした場面では、自分以外のメンバーの特性を生かせるかが勝負の分かれ目です。正確な計算は苦手でも、議論をリードするのが得意な人がいたら、進行はその人に頼りましょう。そして自分は、主張を強固にするための正確な計算や論理のチェックに回る。この役割分担をスムーズにこなせることこそがチームワークです。


自分の個性を場にフィットするようにうまく生かせれば、個性と振る舞いの両方を評価してもらえます。


――お話を伺っていると、ご著書でも書かれていたとおり、まさに就活はゲームのようなものだと感じます。弱みとも捉えられる強みをいかに生かして勝つかなんですね。


はい。カードゲームのように、手元のカードから最適解を導き出すゲームと言って差し支えないでしょう。


ただ注意してほしいのは、完全に企業を理解してから面接を受けることは不可能だということ。研究で忙しい人も多いので、限られた時間と情報だけで効率的に就活するしかありません。


――就活の攻略法やノウハウはたくさん出回っていますが、その中で特にすべきことと必要のないことがあれば教えてください。


性格的な自分の強みや特性を分析してください。一生を通じて繰り返し発揮できるのは、研究スキルや実績ではなく性格的な強みだからです。採用で最も使われているBIG5という心理テストを活用してみてください。


ここはよく勘違いされやすいのですが、短期間の研究実績よりも性格や価値観の親和性のほうが、多くの企業にとって重要であるということを覚えておきましょう。


そして、自分の弱みを克服する必要はないと思います。例えば、物静かな人が「ハキハキした人が評価される企業」に勤めたとして、それは果たして幸せなことなのでしょうか? 


就活マニュアルには「このような就活生が求められる」という理想像が掲げられていますが、そこに無理に自分を寄せていく必要はありません。企業は腐るほどありますから、自分の強みや特性を理解してくれそうな会社を探してほしいです。


――もし適性に合っていない憧れの企業をどうしても受けたい場合は、どうしたらいいのでしょうか?


受けて落ちたらいいと思います。無責任に言っているのではなく、これは本当のことです。受けなければ、「あのとき受けておけば」とずっと後悔することになりますし、落ちたからこそ見えてくる同業他社もあります。


自分のキャラクターが合わなくても、どうしても行きたい! という企業の面接では、「私のキャラクターを生かし御社にこのように貢献します」という「飛び道具的」なアピールをしに行きましょう。


企業にはさまざまな部署があるので、まずは希望と違っても自分を生かせる部署を狙って入社し、入社後に本当に行きたいポジションへと異動する作戦がオススメです。


――確かに、転職だけではなく入社後のキャリアも併せて考えると、より選択肢が広がりそうですね! 他に、理系学生が就活で差をつけるためのポイントはありますか?


自己アピールの中に「自分で仕事を作った経験」を加えられると、より高い評価を得られます。例えば研究室に所属しているときも、研究に関する仕事だけでなく、研究室の一員としてやるべき仕事がありますよね。そういった場面で、与えられた仕事の目的を見抜き、よりよく達成するための工夫ができた経験があると、企業にとっては非常に魅力的な人材として映ります。


どこの企業でも、与えられた仕事をただ行う人よりも、目的を理解してその達成のために自分で頭を使ってより良く遂行できる人が評価されるんです。うまくいかないと感じる理系就活生は、この観点で考え直してみてください。「受け身からの脱却」を意識しましょう!


そのカレのキャリアパス、本当に大丈夫?――二人で幸せを築くために必要な視点を考えて


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――先ほど、就活で楽をすると30代からが困るというお話をいただきました。トイアンナさんの周りで幸せな人生をつかんだ理系出身の方々は、どのような就活をされてきたのでしょうか?


最初から転職を視野に入れて就職している人は強いですね。今は文系理系問わず、新卒の会社で勤め上げるよりも、スキルアップをして転職するのが当たり前の時代になりました。将来どういう企業で仕事がしたくて、そのためにどういう道を進めばいいのか―新卒就活のときに転職を前提にキャリアプランを立てている人は幸せになっていると思います。


――トイアンナさんは、どのように長期的な将来を描いているのでしょうか??


私が人生プランを立てるときは、寿命から逆算して考えています。例えば80歳で死ぬとして、今後事業を立ち上げようと考えたら、何歳までに子育てを終えている必要があって、そのために何歳までに結婚していなくてはならなくて……というように。横軸に年齢、縦軸に活動の活発さ度合いを据え、何歳でどうなっていたいかをグラフ化して考えますね。


20代の方に人生のグラフを書いてもらうと、右肩上がりのグラフになる人がいます。でも、実際健康を維持して働けるのは寿命マイナス10歳。右肩上がりのはずがないんですよね。死ぬ年齢から逆算してみると、できることは意外に少なく、悩んでる時間はないと気づくはずですよ。


――女性にとっては結婚や出産がキャリアを考える上で非常に重要なポイントですよね。理系の女性が、長く幸せなキャリアを築くためのアドバイスをいただけますか?



女性がキャリアを考える上で大切なのは、自分のキャリアパスをかなえられる男性を選ぶことです。特に理系の女性は、自分のキャリアパスに関してかなり現実的に考えているにもかかわらず、なぜか配偶者のキャリアパスにはあまり意識を向けない人が多いようです。例えば、仕事を続けたかったとしても、カレが転勤の多い企業に勤めているならば、結婚後も同じ職場で仕事を続けるのは至難の業です。


キャリアを手放すことを覚悟して自由に相手を選ぶのか、自分のキャリアを考えて都合のよい相手を探すのか、そこは早めに決めるべきでしょう。自分のキャリアパスを優先するなら、30代前半まで東京にいる選択をオススメします。


――最後に、「今のままの自分だといけない」と思いつつ、慎重さや保守性ゆえに一歩が踏み出せない学生たちに向けて、メッセージをいただけますか?


就活は、失うものが何もないゲームです。強いて言えば時間を費やすだけ。企業の偉い人に何を言っても許されるノーリスクのゲームなんて、ほかにないですよね(笑)。だから就活は楽しいんです。


この世に自分の強みを生かせない仕事はほぼありません。「これほど楽なゲームはない」と捉えて、気軽に、積極的にチャレンジしてほしいと思います。


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就職活動が面白いほどうまくいく 確実内定


編集後記


理系学生のウイークポイントや陥りやすい失敗について、耳の痛い話から将来のためのアドバイスまで、ズバズバと本質を突くトイアンナさん。しかし「私はあなたのママではない」と言う彼女からは、就活を成功させてほしい、人生を幸せにしてほしいという愛情が伝わってきた。受け身は自分の将来を滅ぼすかもしれない。それを肝に命じて就活してほしい。




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ライター
金指 歩
カメラマン
児玉 聡