独自のコア技術で未来のエネルギー供給を支える 電源装置メーカーYAMABISHIの社会貢献

インタビュー

2019.11.06

LabBase Media 編集部

YAMABISHIの目標は、世界一の技術を誇る電源装置専門メーカーになることだという。東日本大震災をきっかけとして、再生可能エネルギーの分野を中心に、YAMABISHIの社会貢献度も高まった。 この記事ではCEOである蓮池一憲氏に取材した。現在「はやぶさ2」と通信する通信機用としても使われるYAMABISHIの電源装置。その需要が高まっている理由と、今後の再生可能エネルギーの可能性、電気工学専攻以外の学生でも活躍できるというYAMABISHIの研修や業務内容についても伺った。 株式会社YAMABISHI: 1958年創業の歴史ある電源装置専門メーカー。電源装置のコア技術を含む開発・設計・製造・販売の工程を全て社内で行うことを強みとする。代表的な製品は、停電時に電力供給を行う「無停電電源装置」や電気自動車開発用「回生試験用電源」など。最近では、再生可能エネルギーの発電平準化や電力需給調整用に使われる「蓄電システム」に力を入れる。社員は新卒採用が圧倒的に多く、長期的に腰を据えて開発・設計に取り組みやすい環境となっている。

  • 蓮池 一憲(はすいけ・かずのり)

    株式会社YAMABISHI

    CEO

「技術力で世界一に」ぶれない想い



――YAMABISHIは電源装置の専門メーカーであるとのことですが、YAMABISHIの電源装置はどのようなところで使われているのでしょうか?


さまざまな企業様で使っていただいていますが、国レベルのプロジェクトにも多数関わっています。例えば、無人探査機「はやぶさ2」などと通信を行う世界最大級のパラボラアンテナの電源装置を作りました。


数億キロも離れた遠い場所にある無人探査機との通信には、電力会社の電力を大きなパワーに変える必要があるのですが、これに弊社の電力変換装置が使われているのです。止まることなく、もう20年以上使っていただいていますね。


後で詳しく話す再生可能エネルギーなど、身近なところでももちろん使われています。


――大規模な仕事にも携わっているのですね。そんなYAMABISHIの軸となる経営理念について教えていただけますか?


「世界一の技術力を誇る電源メーカーになる」というのが、 われわれの理念であり目標です。コア技術の部分はすべて自社開発しています。


効率の良さを考えると、アウトソーシングをしたほうがいいのではないかと思われるかもしれません。しかし、われわれは電源装置の専門メーカー。電源装置に関してはどこにも負けない「スペシャリスト集団」でありたいと思っています。そう考えると、おのずと自社開発することになりますよね。


売り上げや社員数ではありません。技術力で一番になりたいんです。例えば、「アメリカのある研究所が実験用に特殊な電源装置を欲しがっている。どこに問い合わせても無理だと断られたが、日本のYAMABISHIという会社に問い合わせたら、優れた技術者たちが要望通りの装置を作り上げ、そのおかげで実験が成功した」というような伝説を作りたい。「世界一の技術力を誇る電源メーカーになる」とはそういうことです。


――あくまで技術力にこだわる企業なのですね。熱い想いを感じます。


コア技術まで自社開発しているおかげで、お客さまから「次はこういう機能を加えてほしい」という要望に高い精度で応えることができます。


それができる理由は、これまでの技術をブラッシュアップしながらも、新しい開発に貢献できる社員がそろっているからです。世界一はまだまだ遠いと思っていますが、開発からアフターケアまで携われるのも、会社全体として高い技術力があるからこそだと自負しています。


東日本大震災を契機に再生可能エネルギーが注目され始める


――2011年に東日本大震災がありました。電源装置メーカーとして、どのような影響を受けましたか?


日本は天然資源がないせいでエネルギー自給率がとても低いんです。そのために原子力発電所に頼っていたのですが、東日本大震災を境に、ほとんど稼働しなくなりました。これは電源装置メーカーとして非常に大きい出来事でしたね。


また、前代未聞の出来事と言えば計画停電。長時間の停電は、日本では考えられなかった事態です。震災後、政府が計画停電を急きょ発表した後、微生物の研究施設から連絡がありました。「温度管理しなければ微生物が全滅してしまう」という話で、急いで弊社の電源装置の在庫を持っていき、微生物全滅を阻止しました。


食品メーカーやスーパーからも依頼がありました。停電によって商品がダメになってしまったら、商品が欲しいと思っているお客さまの要望に応えられない。「どんな場面でもお客さまの求めに応じ続けたい」というお客さま視点の願いを強く感じました。


こうした経緯で、震災直後から、電源を提供する機会が増えました。電気があることの安心感を、日本人も日本企業も震災によって実感したのではないでしょうか。


――その通りだと思います。そして、多くの企業がYAMABISHIの製品によって安心を得たわけですね。


業種を問わず、「企業を存続させていく」ことが企業の使命です。そのために、われわれが「電源を確保する」という点で役立てたのではないかと思っています。



――震災後は、再生可能エネルギーにも注目が集まっていると聞いています。


はい、東日本大震災は、再生可能エネルギーが拡大し始めたきっかけにもなりました。原子力発電所が稼働しなくなったために、太陽光などの有効活用に注目が集まり、電源装置の必要性が注目され始めたからです。


今年(2019年)4月、弊社の工場で「自家消費システム」を稼働させました。自然由来のエネルギーで工場を稼働させようという試みです。


エネルギーを生み出すのは太陽光発電ですが、これだけでは不安定です。これに何度も充放電できるリチウムイオン電池と、多様な情報から発電量や電力消費量を予測する賢い電源装置をつなげると、発電量を最大化できるうえ、電力消費量も安定化できるので、電力網の負担を平準化できます。停電時も電力を使えるので、仕事が止まることもありません。今、付近で停電が起きたとしても誰も気づかないと思いますね。


この自家消費システムが普及すれば、電力会社もガソリンスタンドもなくなるでしょう。都会から数百キロ離れたところで発電した大容量の電気を電線で引っ張ってくる時代から、自宅や工場で賢く発電・蓄電して使う時代になると思います。太陽からは、われわれが消費する全エネルギーの数十倍のエネルギーが降り注いでいますから、効率的に電気に変換できれば、電気が余るような状態になるはずです。


もちろん、このような時代が来るまでには数十年かかると思いますが、それまでYAMABISHIが担うべき開発はなくならないと考えています。電源装置の専門メーカーとして、弊社が貢献できる部分は非常に大きいのです。


その頃には、火力発電所がなくなりますし、排ガスを出す車も走らなくなります。昔のようなおいしい空気が吸えるかもしれませんね(笑)。


社員は会社の成長を楽しみながら自らの技術力も向上できる


――YAMABISHIに新卒技術職として入社した場合、まずはどういった業務に携わることになるのでしょうか?


製品開発のためのプログラミング・設計や検査・フィールドサービス・営業技術等の業務があります。いずれも電源のスペシャリストとしての仕事です。世の中のニーズに合わせて製品技術はどんどん進化していきます。先輩たちから技術を引き継いでいくのはもちろん、進化に応じて技術を磨いていってほしいですね。


今、世の中では発電所での大規模集中発電から、地域で発電する分散型電源に関心が移りつつあります。再生可能エネルギーは求められているものがとても多い分野です。エネルギーのマネジメントも必要な時代になっていますね。


――しなければならないことが多い分、自分の力で世の中を変えていく力も培えそうですね。


そのとおりです。若手社員が今の世の中にないものを上司や同僚と一緒に考えながら、「こういうものはどうですか?」と提案したり形にしたりすることができるのは、弊社の大きな魅力だと思っています。


それから、弊社で働いていると、自然とこれから先の世界を考えることができるようになると思います。まだ計画段階・実験段階の製品の話が社内にはたくさんあります。その実証実験のための装置の製作実績も多数あります。


未来を先取りするような仕事ができるのです。現職の開発や設計に携わっている社員たちも、こういう仕事ができるのがとても楽しいと言っていますね。


――YAMABISHIは電源装置専門メーカーですが、新卒採用では学生時代の専攻を電気工学系などに限定されているのでしょうか。


そんなことはありませんよ。学生時代の専攻を問わず、理系の社員が未来を感じる仕事に挑戦できるのが弊社の特徴です。


学生時代に電気工学以外の分野を専攻した後、弊社に入社して、開発や設計部門で活躍している社員がたくさんいます。電気はものを作るための手段ですから、他分野の研究者に話を聞く機会もあります。電気工学以外の出身者は、そういう場面で過去の専攻が生かせて理解が早いかもしれません。


今後は情報系専攻の学生さんもぜひ入社してほしいですね。電源装置の技術力を世界一にしようと思ったら、プログラミング能力のある人がどうしても必要になってきます。電気が装置の心臓部分だとしたら、デジタル制御は頭脳として重要ですから。


入社前から電気関係の知識が豊富でなければならない、ということはありません。ものづくりや化学、電気などは全部含めてサイエンスです。サイエンスに対する好奇心や探求心が旺盛な人は弊社が求める人材でもあります。


――では、最初は電気工学関係の知識が乏しくても、気にしなくてよいということでしょうか。


ええ、研修もしっかりとやるのでそこは安心してほしいですね。神奈川県の産業技術研究所が近くにあり、電気工学専攻以外の新入社員は最初の1年間、週に1日、そこで基礎を学んでもらいます。心配しなくても電気関係の知識が身につきますよ。



――それならどの分野の学生も安心ですね。では最後に、就活中の理系の学生にメッセージをお願いいたします。


再生可能エネルギーをはじめとして、この業界はマーケットがかなりの速度で広がっています。弊社は今はそんなに規模が大きくありませんが、これからどんどん成長していくのは間違いありません。


企業が成長していくプロセスを楽しみたい学生さんには、うってつけの会社なのではないでしょうか。企業と自らの成長を楽しみながら、一緒に仕事ができる人の入社を待っています。


株式会社YAMABISHIの「企業情報」をチェック!
製品開発・工法開発・生産管理の募集概要は、こちら


編集後記


電源装置専門メーカーという企業概要だけでは想像もできないほど、YAMABISHIという企業の世界観は広い。取材では「宇宙」「未来」「再生可能エネルギー」など、多くの理系学生にとって魅力的なワードが何度も話題に上がった。


好奇心旺盛にこういった分野に関わりつつ、企業が成長していく楽しさを、YAMABISHIでなら、きっと味わえるはずだ。




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ライター
若林 理央
カメラマン
児玉 聡

企業情報

株式会社YAMABISHI

株式会社YAMABISHIは、電源装置専門メーカーです。 創業から60年以上 電源装置一筋で、開発・設計・製造・販売の工程を全て社内で行っています。 交流、直流、高電圧 等、あらゆる電気を供給する電源装置は、 人の目に触れることは少ないですが、 実は 様々な用途で使用されており、縁の下で社会を支えています。 たとえば、 停電時に電力供給を行う「無停電電源装置」や 電圧を安定化させる「自動電圧調整器」は、電力を安定供給します。 モーター試験用「回生インバータ」や「バッテリ充放電装置」は、 ハイブリッドカーや燃料電池自動車の研究・開発に 必要な環境を整えます。 もしもの災害が起きた時のために電気を蓄えて使用する 「蓄電システム」は、災害時に電源の確保ができます。 このように、電源装置は様々な分野で 非常に重要な役割を担っており、 また、活躍の場も年々増加しています。 □YAMABISHIの経営理念  「電源を進化させ、世界が求める様々な電気を提供します   そして 世界一の技術を誇る電源メーカーとなります」  これが、YAMABISHIの経営理念です。  企業の1番と言ったら、売上で1番、利益で1番、シェアで1番など、  様々な指標がありますが、YAMABISHIは「技術」で1番になりたいと考えている会社です。  そのためには、売上や利益ももちろん重要なのですが、  最終的な到達点は「技術で1番」です。  この理念に共感し、共に挑戦し、共に成長していけるメンバーを  YAMABISHIは求めています。 □YAMABISHIの特徴  ・受注生産のオーダーメイド製品   中小規模の企業だからこそ、大企業にはできない細かな部分まで   お客様のご要望にお応えできるところが強みといえます。   「他は断られたけど、YAMABISHIが造ってくれて助かったよ」   というお客様の声が弊社の技術者の大きな励みです。   YAMABISHIを頼りにしてくださるお客様に対し、技術的な面に   おいては「我々では造れません」と言うことのないよう、   今後も研鑽を積み続けてゆきます。  ・開発、設計、製造、販売を全て社内で行う   全工程を社内で行っているので、製品が生まれる段階から、   完成してお客様の手に届くまで、その後のアフターフォローまで   担当した製品を見守ることができるのが大きな魅力です。   自分が造ったものが、お客様の所で   役立っているのを見られるのは、大きなやりがいとなります。  ・YAMABISHIの強み「コア技術」   製品の根幹をなすコア技術は、勿論 社内で開発されたものです。   技術者が、知識を身に付け、   経験を積み、時には失敗しながらも成長する中で時間をかけて、   独自に進化した技術を生み出します。   自社で生み出し、知り尽くしている技術だからこそ、トラブルが   あってもスピーディに解決でき、特殊仕様にも対応することが   できます。   YAMABISHIの技術者は、日々試行錯誤を繰り返しながら、   掲げた理念に適うよう 技術力を磨いています。 □YAMABISHIのビジョン  2011年の東日本大震災を機に議論が重ねられている電力改革の フィールドにおいて、パワーエレクトロニクス技術で、 再生可能エネルギーの自給に貢献することが  YAMABISHIの使命だと考えています。  近年の実績としては、2016年に九州・伊佐市に開設された  日本初の夜間売電(昼間の発電分を蓄電して夜間に販売すること)対応ソーラーシステムにおいて、  蓄電システムの全体設計と電源装置の開発を担当しました。  また、2017年には、大手自動車部品メーカーに対して、 電気自動車用部品の試験に不可欠な電源装置を提供。  安全で効率のいい試験体制の構築に貢献しました。  電力改革は、まだ始まったばかり。  YAMABISHIは、  「世界一の技術力を誇る電源メーカーになる」という理念に向かい、  今後も技術力で社会に貢献していきます。 □具体的な納入事例を知りたい方 や 会社説明を聞きたい方    ぜひ、下記ご覧ください。  納入事例 URL: http://www.yamabishi.co.jp/result/index.html  会社説明 URL: http://www.yamabishi.co.jp/saiyo/movie.html#movie1