元mixi伝説のCTOが語る 1000人に1人のエンジニアになるための条件【LabBaseアカデミーイベントレポート】

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2019.10.10

LabBase Media 編集部

LabBaseアカデミーは9/30、「1000人に1人のエンジニアになるための条件」というテーマで、様々なキャリアを渡り歩き、mixiの黄金期をエンジニア責任者として支えてこられた松岡剛志さんによる講演を開催しました。司会を務めたのは、LabBaseを運営するPOL代表の加茂倫明。伝説のCTOによる学びに溢れる言葉の熱量は圧倒的。当日の臨場感そのままにイベント内容をお届けします。

加茂 今回司会進行を務めます、加茂と申します。LabBaseというサービスを運営しているPOLという会社の代表をしています。



最初に、会社の紹介を簡単にさせてください。POLは2つのサービスを提供していて、1つはLabBaseという理系学生向けスカウト型就活サービス。理系学生は研究に忙しいのでなかなか就活に時間を割けません。なので、自分の研究内容やスキルとか、こういう仕事をしたいという情報を登録すれば、企業からスカウトが来るというサービスです。


2つ目はLabBase X(クロス)というサービスです。これはアカデミアと企業をクロスさせるという考え方で、大学などの研究者向けのサービスで、共同研究につながるようなマッチングを生むのが目的です。



僕が理系向けビジネスに取り組む背景として、日本の科学の停滞ということがあります。世界的にみても、日本が発表した論文数は10年間で4位から11位に下がりました



この領域の抱える問題、例えばボスドク問題とか研究費が足りないなどがありますが、こういうことを解決していけば、研究者はもっと活躍できるし、日本の科学や社会の発展スピードが上げられるんじゃないか。そういう思いで立ち上げた会社です。

POLがこのイベントを開催する目的は、「未来を担うエンジニアの皆さんに、普段聞けない超ハイレベルな学びと刺激を届けたい」というところにあります。普段研究室にいる学生さんに、外の世界の情報を届けたい。特に地方の学生さんにはその機会が少ないのでぜひ触れてもらいたいと思います。


学生の時って、1回のイベントで得た経験や聞いた話で思考の方向性が変わったり、いい出会いがあって進路が変わったりということが十分あり得ると思っています。僕自身、そういった出会いでこの世界に入りました。
ということで、今回は僕が知る限りの1番のエンジニア、松岡さんをお呼びしました。松岡さんによる学びと刺激を皆さんに届けたいなと思っています。
では松岡さん、自己紹介からよろしくお願いいたします。


松岡 はい、こんにちは、松岡です。よろしくお願いします。私は2001年に新卒でYahoo!に入りまして、そこからずっとエンジニア畑ということで、Yahoo!に6年、mixiに7年、その後ニートというハッピーな時代を挟んで、2015年にViibarというBtoBのスタートアップでCTOを1年半ほどさせてもらいました。その後2016年にrectorという会社を創りました


余談としては千代田猟友会に所属していて、熊が出たら出かけて行きます(笑)。今日はこれから就職する学生さんが多いということで、実はmixi時代に人事部長なんかもやっておりまして新卒採用に多くコミットしていたこともあり、その辺の話も含めてお話しできればと思っています。



加茂 ちなみにrectorは何をやっている会社なのか簡単にご説明いただけますか。


松岡 2013年にCTOの会の運営を始めて、日本CTO協会を立ち上げたんですが、勉強会などで結構同じ質問をされるんですね。技術組織ってどうやって作ったらいいのか、新卒採用はどうやればいいのか、CTOってどうすればいいのか、みたいな。こういうCTOの様々な集合知を作って、社会に何らかの形で還元していくということをミッションにした会社です。具体的にはコンサルティング、教育、ちょっとした投資を仕事にしています。

突き抜けるエンジニアになるために今からやるべきこととは?


松岡 皆さんはエンジニアですか?エンジニアになりたい人ですか?(会場ざわつく)あ、曖昧なんですね、わかりました(笑)。一流のエンジニアになるには10000時間の修練が必要と言われます。大変ですね。もうちょっと補足すると、一般的に800時間くらいの時間を投入すると、ある程度のエンジニアになれると言われています。Webで何らかのフレームワークを使って一定のものづくりができるというイメージです。それが、一流になるには10000時間必要だと、『リーンソフトウェア開発と組織改革』を書いたPoppendieckさんは言っているわけです。


次に絶望的な話として、この学んだ技術というのは、驚くべき速さで陳腐化します。Objective-Cというプログラミング言語を例にとります。過去、iOSのネイティブアプリを書くにはこの言語を学ぶ必要がありました。2009〜2010年の間にシェアがほとんど0のところから、2014年でシェア12%を超えるまでに一気に伸びました。なので、この時代Objective-Cができるということはすごく価値のあるエンジニアで求人もたくさんありました。それが2016年、2%くらいまで一気に下がりました。AppleがSwiftというもっと書きやすい言語を発表したんです。これは極端な例ですが、技術の変化というのはとても激しいです。1年くらい前に作ったものが、今は「ダサっ!」って平気で言われてしまう。それが僕らの働いている業界です


もう一つ、皆さんは残念ながら加齢します。今皆さんは、僕から見れば無限の時間を持っています。全ての時間が基本的には自分でコントロールできる状態。でもそれは長続きしないことが多いでしょう。家族が増えればその分、自分の時間は減っていくのです。


10000時間勉強しなければいけない、技術が変化し続けるから勉強し続けなければいけない、なのに自由に使える時間はどんどん減っていく。どうすりゃいいんだっていう話になりますよね。答えとして提案できることは、学習に費やすコストを可能な限り低くすることです。要は、努力して学習する状態から、習慣で学習する状態に。筋トレと同じで、習慣化するとやらないと不安になるという話ですね。何か学ぶことが当たり前になる状態に、今のうちに持っていくことです。


おすすめとしては週に3冊くらいは技術書は読んだ方がいいですね。読んだ後に仲間に共有してもいいし、ブログを書いてもいいし、Twitterでポイントをシェアしてもいいし、何らかのアウトプットをセットにするとより効率的かと思います。まとめると、大変な業界なんで、がんばろう!です(笑)


加茂 だいぶまとめましたね(笑)勉強の習慣をつけましょう、ということですね。続いて、エンジニアのキャリアについてお伺いしていきます。


CTOに求められるものとは?


松岡 皆さん、CTOになりたいですか?(参加者挙手)ああ、いますね。まず、CTOって何だということを定義した方がいいと思います。『Chief Technology Officer: Defining the Responsibilities of the Senior Technical Executive』(Roger Smith著)から抜粋してきた図で解説します。ここでわかるのは、ステージによってCTOのミッションが変わるということです。




例えば、スタートアップの時のCTOの仕事っていうのは、イケてるプロダクトを爆速で作ることなんですね。なので、スティーブ・ウォズニアックみたいな極めてエッジの立ったエンジニア、彼がAppleⅡを作ったわけですが、ああいう人がCTOとしては理想なんです。


次に、何らかのプロダクトができた後、<1-10のフェーズ>では、組織とかチームで戦えるようにするのがCTOのミッションになると言われています。やがて、そのプロダクトが当たりまくって、複数の事業やサービスが生まれてくる<10-100のフェーズ>になると、「チームで戦う」から「複数階層のチームで戦う」に、あるいは、いくつかの技術的、人的なポートフォリオをマネジメントして行くということがミッションになります。


最後、<100-のフェーズ>では、IBMみたいな規模感の会社になってくると、CTOのミッションは研究所の所長レベルという風に書かれています。CTOは技術で経営課題を解決する人であり、その経営課題はフェーズによって変わる、そういう話です。


フェーズごとにCTOの仕事が違うという話でしたが、実は同じフェーズでも企業ごとに違います。会社によっては技術にだけフォーカスしている人もいれば、プロジェクトマネジメント、プロダクトマネジメントにフォーカスしている人もいる。経営レベルの仕事をしているかもしれない。これは会社によってバラバラです。なので、CTOになりたいですか?という質問に対しては、「どんな」という言葉がついてきます


標準的なCTOのミッションはR&D、技術戦略、組織化、執行、技術広報、ある程度大きくなってくると社内インフラ、事業。このうちのいくつか、もしくは全部をやっている人が多いかなと思います。


CTOとVPoEのミッションの違い


あとは、CTOとVPoE(Vice President of Engineering)のミッションがどう分かれるのかをよく聞かれるのでついでに説明しておきます。VPoEは日本語にすると技術担当副社長になると思うんですが、日本のイメージに合わせると開発部長ですね。


米国の多くの会社ではCTOとVPoEの仕事が明確に分かれています。彼らが何にコミットしているかというと、CTOは主に技術面にフォーカスしていて、VPoEはマネジメントにフォーカスしていることが多いです。例えば先日AWSのCTOの方とお話しする機会があったんですが、マネジメントもするんですか?と聞いたら、肩をすくめて「オレ向いてないもん」みたいな感じ(笑)。


つまり、CTOになりたい!と言っても、技術系のキャリアのトップにはCTOとVPoEというのがあって、その他にも様々なスペシャリストがあろうかと思いますが、それぞれ会社のドメインやフェーズによって何をミッションにするかが変わります。
もっと言えば、フェーズ自体も変わっていきます。そんな中で、自分がどうなりたいのか、自分がパフォーマンスを発揮できるにはどうすればいいのか、何を学べばいいのかということを考えていくことが大事なのかなと思います。何でもいいからとにかくCTOになりたい!という人は起業することですね。


日本においてはCTOとVPoEが兼務になっていることが多いですが、例えばfreee社はきっちり分かれています。それぞれの役割がありつつ、でも混じってることもあるからね、という話です(笑)

加茂 CTO、VPoE以外にいくつかスペシャリストがあるというお話でしたが、具体的にはどういうキャリアパスに配分されるんですか?


松岡 CTOキャリアの一歩手前でよく言われているのが、テックリードとか、会社によってはテクニカルディレクターという立場があります。大きな会社があったとして、CTOの権限の一部分を権限委譲されていたりします。1プロダクトを見るとか、プロダクトが大きい場合はマイクロサービス化されるでしょうから、1つのマイクロサービスについて意思決定する、これがテックリードの仕事ですね。


VPoEの一歩手前のレイヤーでいうと、チームリーダーやマネージャーです。この先はおそらく、ある特定の技術がすごく詳しかったりすると、それに特化したセグメントごとのキャリアもあるかもしれませんね。


伝説のCTOのキャリアを紐解く――転機とキャリア戦略のリアル


加茂 では次に、松岡さん自身のキャリアを振り返って、転機になったことやキャリア観などお話しいただければと思います。


松岡 これ、僕の年表です。


2001年、エンジニアになる。
Yahoo!が拾ってくれたんですね。


加茂 拾ってくれたってどういうことですか?新卒ですよね?


松岡 そうですね、新卒でYahoo!に入りました。もともと建築系学科の出身だったんです。コンクリートの勉強をしていて、そんな仕事に就きたいなと思っていたんですが、2001年のこの頃は就職氷河期と言われていて。建築研究職の就職は難しいものがありました。営業職なら内定をもらっていたんですが、ちょっとしんどいかなと思いまして。


そんな時、1日中座っていられて、人間と会話せず、伸び調子な業界があるらしいと聞いて、最高じゃねえかって(笑)。よし、プログラム書こうと(笑)。でもそんな思いつきでプログラムを書き始めた人なんてたいしたことはないわけです。有名な会社はだいたい落ちて、Yahoo!だけ拾ってくれたんです。


2004年、真面目なエンジニアになる。
今と違ってエンジニアの技術って単純で、HTMLが書けたらプログラマーみたいな時代でした。だから未経験ながら適当にコピーアンドペーストだけでいい感じにモノは動くし、なんとか生きていけたりするわけです。


調子に乗っていたら、超優秀な後輩が入ってきました。彼はその後すばらしいキャリアを歩むわけですが、そういう奴が入ってきて、このままだと1年後に抜かれるなと危機感を覚えました。その頃は1週間に3冊どころじゃなく本を読みました。毎月2万円くらい本代になったかなぁ。後輩に見せつけるように本を積んで(笑)。色々勉強すると色々なことがわかって、そうするとパフォーマンスが上がる。それが真面目なエンジニア時代です。

2006年、戦略的キャリア形成を考える。
真面目なエンジニアとして頑張ったんですが、1年半くらいでその後輩に単純な技術力で抜かれたなと思い知りました。やっぱり学生時代からコンピューターサイエンスをやってきた奴は優秀だなと素直に思ったわけです。頭の良さにも限界がある。強いやつと戦っても負ける。それで、これから伸びるであろう、誰もがあまりやりたくないものに先に手をつけました。このタイミングで事業会社におけるセキュリティという分野に取り組みました。


2007年、転職。
強いものや大きな流れに逆らってはいけないと考えていて、そういう意味で、2001年の頃のYahoo!は強かった、インターネットそのものでした。


一方で、2005年くらいからSNSがどんどん伸びてきて、2006、2007年の頃には、これは時代が変わるなと気づきました。だからそちらの波に乗ったわけです。たまたまですがmixiに入りました。ここでマネージャーとしてのキャリアに転向しました。マネージャーになった理由は、単純に他にやる人がいなかったということと、誰もがやりたがらないところで経験値を積むという自分の考え方にもそぐうということで。


2013年、経営者になる。
mixiがどんどん落ちていって、やばいぞっていうタイミングで、当時の役員にプランを考えてと言われまして。提案したら、じゃあやってという話になって。びっくりしました。最終的にはモンストが当たり、その後退任という形になりました。


2015年、ニートになる。
1年くらい奥さんとバックパッカーになりました。僕的には貯金がゼロになるまでぷらぷらしていたいなと思ったんですが、奥さんがとても真面目な人で1ヶ月くらいで働きたいと言い出し、帰ってきました(笑)。Viibarという会社でCTOとして1年半くらい働いて、39歳になり、1回くらい起業しておかないといけないんじゃないかという気持ちが沸き起こり、2016年に起業しました。


加茂 ざっと松岡さんの経歴をお話いただきましたが、振り返ってみると、どこがターニングポイントだったんでしょうか。


松岡 たまたまYahoo!に入ったことでしょうね。やっぱり大きな流れそのものに乗れた、たまたまそこにいたおかげで、今いろんな会社にいるすごい人たちと同じ空間で働けたことは本当に刺激的なことでした。時代の中心にいたことはありがたかったですね。


何に投資すれば勝てるのかということを常に考え続けよ。求められる人材になるための努力をもってキャリア形成し続けよ。


加茂 もし就活生に戻るとしたら、どんな企業に就職しますか?


松岡 僕の個人的な考えなんで、みんながそうかはわかりませんが、時代を象徴する会社は魅力があります。そこには特異点として非常な優秀な人が集まります。明らかに他社と違うスピード感で物事が進みます。それは素晴らしい体験なんですね。じゃあ今それはどこなの?と聞かれると、正直僕にもわかりません。2001年にYahoo!に入ると両親に言ったら、大丈夫?そんな会社、って言われたんですよね。つまり、自分で情報収集してイケる!という会社を選ばなければいけません。


ただ、選び方はあると思っていて、基本的には大きな流れに乗ったほうがいい。ITは継続して大きな流れでしょう。今よく使われるDX(デジタルトランスフォーメーション)というワードがありますが、今後全ての業界がDXしていく、顧客との接点のデジタル化ですね、それが当たり前になるでしょう。伸び調子の業界においてDXに強くBETしている会社とか、そのドメインにおいて時代を象徴する会社とかはすごく面白いなと思います。


あと、そもそも日本の会社で就職する理由について答えを出すべきだと思っています。ITの世界においてはやはり中国や米国が大きな存在感を示しているわけです。時価総額ランキングなども米中の企業がトップにいると思います。このトレンドはしばらく続くでしょう。そんな中で、日本で就職する意味って?いう話です。



加茂 伸びている業界に張って、巨人の肩に乗る。この原則は日本だけで考えるのではなくて、海外の方がそういう企業がある、ということですね。


松岡 そうです。偉そうなことを言っていますが、僕は自分のことを凡人だと思っているんですね。別に大学もいいところ出ていないし、たまたまYahoo!に拾われて、いいキャリアが歩めたラッキーな人だったと思っていて。という身の丈にあった話をすると、凡人の戦略としては、まずはそのセグメントで1番の会社に入ることです。


グローバル観点で見たらGoogleすごいじゃん!と思うかもしれませんが、セグメントで分けて考えると、農業系ならこの会社とか、それぞれの業界で1番の会社、これから1番になる会社があろうかと思います。そういう会社が、そのドメインにおいては時代を象徴する会社になるのです。


そしてそこに入るにあたっては、学生時代にどういうスキルを得るかです。その会社が欲しいだろうスキルを身につけておく必要はあります。


そして先ほどグローバルの話をしましたが、時代を象徴する国も視野に入れます。中国のトップ企業であるテンセントには入れなくても、その下請けとかそのまた下請けとか、そういう考えもあると思います。そして、皆さんはおそらく80歳くらいまで働くでしょうから、あと50年、60年、変化の少なそうなものにBETするという考え方もあろうかと思います。全体として言えることは、強い奴と戦っても凡人は負けるんで、じゃあ何だったら勝てるのか、何に投資すれば凡人でも勝てるのかということを常に考え続けなければいけないと思っています。


加茂 最初の話でいうと、結局どれだけ努力を習慣化できるかということが大事、それはどこの会社に入っても当てはまることで、合わせて、どういう環境に身を置くかということを考えると、これらの戦略、凡人の戦略という考え方があるということですね。


松岡 これは持論なんですが、人の能力ってさほど差がないんですよね。皆さんは就職活動の中で自己分析をすると思うんですが、そこで出た強みとか、米粒同士を比較するみたいなものであまり意味がない。代わりはいくらでもいるんです。なので、個人の強みをアピールするとか、自分がどうしたいか、というのもそこそこ大事ですが、もしこういう会社に入りたいという目標が明確なのだとしたら、その会社が必要としているスキルと現状の自分とのギャップを理解し、そこを埋める努力をするということが、最も取るべき行動だと、僕は考えています。「私はこれがやりたいので、それが実現する会社に入りたいです」はおすすめしません。求められる人材になるための努力をもってキャリア形成し続けていくと、30代、40代のタイミングで、米粒ではない自分が出来上がると思います。他に代わりのきかない自分ができるでしょう。


加茂 ありがとうございました。続いて、質問をいただいているのでQ&Aコーナーに進みます。


Q 松岡さんの考える一流のエンジニアとは? 定義を教えてください。


松岡 日本の年収で考えたとすると1000万円稼ぐエンジニアはおそらく何かに特化したレアな技術を持っているか、マネージャーのどちらかでしょうね。特化した技術とは、その時代時代で熱い技術があります。今だとディープラーニングとかですね。次に来る技術をなるべく早く察知して習得できる人は一流と言えます。マネージャーの場合は、マネジメントということにちゃんと向き合って、アジャイルとかウォーターフォールとか言われるさまざまなチーム開発手法を勉強して、双方の経験があり状況に応じて最適な選択ができるとか、それで実績を作った人は1000万円クラス、という印象はありますね。

加茂 次に来る技術を察知してキャッチアップするというのは、どうやったらできるんですか?

松岡 先頭を走るのか、2番目以降を走るのかという話があると思います。先頭を走ろうと思うのであれば、マイクロソフトリサーチとか様々な大手IT企業の研究機関でやっているような研究内容にアンテナを張っておいて、どうやらこのドメインの発表が増えてきたな、という事実を追いかけるというのはロジックとしてはいいなと思います。僕はやったことないですけど。


2番手、3番手でいいのであれば、業界の盛り上がりは観測できるので、今でいうと機械学習のエンジニアをトヨタなど多くの会社が高値で買っているぞとか、そういう情報を見て今から学習しても十分レアな存在にはなれると思います。


Q mixiでマネージャー、CTOに抜擢されたのはどうしてですか?どういうところが評価されたのですか?


松岡 うーん。何なんでしょうね。僕は自己評価が非常に低い人なので、いまいち謎ですね(笑)。グループマネージャーになった時は、そのグループの中で僕が1番プログラムが書けなかったので、消去法じゃないかと思ってますけどね(笑)。


加茂 謙虚ですね(笑)。逆の観点でmixi時代に人事マネージャーをされていた時にはどんな観点で採用をされていたんですか?


松岡 採用基準は、これも会社ごとにあるものなんですが、例えばその会社のミッション、ビジョンに合うのは定性的にこういう人、という像は作ります。それ以外に、会社の戦略があって、3年後にこういうプロダクトを作ろうとしていて、それを作るにはこういう人が必要で、それは中途で何人、今いるエンジニアが何人成長して、新卒で何人入れて、という戦略を作ります。


現場感がある話をすると、エンジニアの新卒採用は中途に比べて難しいです。ほとんどの場合実績がないからです。とはいえ2010年くらいからは誰でもプログラミングができる環境にはあったわけですから、プログラムを書いたことがある人という軸はありました。「やりたい」というwillには何の価値もないと僕は思っていて、行動だけが全てだと。やりたいと思ったら例えば今すぐSDKをダウンロードしてチュートリアル始めたらプログラムなんて書けるわけですよ、5分もあれば。それができない人は採用しない、という基準は作りました。


逆にいえば、エンジニアとして就活に臨みたいという場合は、それだけでも差ができるわけです。おすすめのテクニックとしては、とりあえずiOSです。環境設定で悩まないのが素晴らしい。そこで何か1つコードを書いてみる。大学のシラバスを管理するためのアプリとか、何でもいいんです。それだけで選考の通過率は変わるでしょうね。


加茂 学習の仕方というところで、1週間3冊読書というインプットと、今おっしゃったのはアウトプットだと思うのですが、インプットとアウトプット、どういうバランスが望ましいのでしょうか。


松岡 まずある一定の基礎知識は何はともあれあったほうがいいでしょう。そこはしっかりインストールした方がいいだろうなと思います。それは前提として、何か作りたいものがあればそれベースでインプットをしていくというのが効率はいいでしょうね。ですが、そういうことを考えなくてもいいくらい自然にインプットを継続できる状態になれたらすごいなと思います

加茂 1週間に3冊本を読むというのは、研究やインターンで忙しい学生にとっては大変かもしれないんですが、松岡さんはどうやって実現しているんですか? 1日の流れで言うと、移動時間に読むとか?


松岡 僕は会社まで1時間半のところに住んでいたんで、往復3時間、1週間で15時間ありました。そうすると読めますよね、と。


加茂 遠いところに住んだらいいと言うことですね(笑)。


松岡 そうそう(笑)。まあ、僕はできましたという話なんですが、そこは何とかしてください(笑)


加茂 学習の仕方について、広く浅くか、狭く深くか。新卒に必要なのはどちらでしょうか。


松岡 基本的にはお好きな方でとは思います。もし明確に戦略的なキャリア形成を考えているとしたら、それにあったことをするべきでしょう。これだと思う技術にBETして深掘りしていくのもいいでしょうし、事業会社で新しいプロダクトを作っていこうという場合は、ある程度広めの知識が必要です。


例えばプログラミング言語に対する知識とか、アーキテクチャに対する知識とか、パフォーマンス、セキュリティ、いくつか技術を学ぶ上での軸があります。その軸に対しては一定の必要知識レベルがあるわけで、さらにそれは毎年更新されていくのですが、それをトレースする作業は大事なのかなと思います。


Q 松岡さんが考える、これからの時代にアツい技術とは?


松岡 近年は画像系、顔認証とかの類は伸びたと思います。ここ数年で大きく変わったものなので、ビジネスチャンスが生まれてくるんだろうなと思っています。あとはマイクロサービスというトレンドはしばらく続くでしょうね。その先の予測というのはわかりませんね。アンテナを張って勉強する必要があるでしょうね。


Q 松岡さんには今後やっていきたいことはありますか?


松岡 エモい話でいうと、僕は業界への感謝というのが強いんですね。コンクリートのことしかわからない奴がたまたまYahoo!に拾われたおかげで何とか食べていけて、何ならこうやって人の前で話しているんですから。なので、何らかの形でお返しをしたいなと思っています。IT業界に対してもそうだし、日本全体に対してもそう思っていて。就職先は日本の会社でいいのかなんて言っておきながらアレなんですが(笑)、必要なノウハウをいろんなところへ届けていこうという活動をしています。




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ライター
LabBase Media 編集部