「測る」で世界を支える。産業のマザーツール「電気計測器」で社会の進化を加速させる日置電機

インタビュー

2019.10.24

LabBase Media 編集部

電気計測器メーカーである日置電機。日本だけでなく、海外へのシェアも大きい同社の強みは、「エンジニア自身が直接お客さまのもとを訪問し、コミュニケーションを取ること」「企画から生産までを一カ所で行うことによるスピード感」にある。同社の元エンジニアで、イノベーションセンター長である久保田訓久氏に話を伺った。 日置電機株式会社: 世界に向けて計測の先進技術を提供する電気計測器メーカー。1935年創業。製品の開発から生産、販売サービスまで一貫して行い、時代のニーズを先取りしながら科学技術や産業の発展を支えている。「人間性の尊重」と「社会への貢献」を理念に掲げており、社員一人ひとりが能力を最大限に発揮して質の高い製品・サービスを提供する高付加価値企業を目指している。

  • 久保田 訓久(くぼた・くにひさ)

    日置電機株式会社

    取締役執行役員イノベーションセンター長

測定器のニーズは世界中のさまざまな分野で拡大している



――まず、日置電機の事業内容についてお聞かせください。「電気計測器メーカー」ということですが、具体的にどのようなビジネスを展開されているのでしょうか。


主に電気計測器の研究開発、製造、販売をしています。1935年の創業当初は、電気関係の学生さんなら必ず使ったことのある、電圧や電流を測る「テスター」を作っていました。その後、電力を測る電力計や、電気の波形を記録する記録装置と、バリエーションを増やしてきました。


昔は電気工事の担当者、電気工学を専攻する学生などがよく使用する「現場測定器」が主力製品でしたが、近年、自動車業界のシェアが急拡大しています。


――なぜ自動車なのでしょう。


これまで自動車はガソリンやディーゼルエンジンが主たる動力でした。しかしご存じのように、最近はメインの動力が電気に移行する流れになっています。実際、ヨーロッパの国々では、地球温暖化を防止するために、2030年から40年までにガソリンエンジン廃止を推進する動きがあります。つまり、今後はハイブリッド車、電気自動車がますますシェアを拡大していくことが予想されるわけです。


電気自動車を製造するためには、モーターなどの電気機器の検査が必須です。そして、その検査器自体も正常に機能するのかどうか調べる必要があります。そんなわけで、自動車産業における電気計測器のニーズが急拡大しているのです。


――産業の中でも最大級のビジネスである自動車産業が大きく舵を切ったため、市場も広がっているわけですね。自動車産業の他に、現在メインとしている業界はありますか?


電子部品産業でも日置電機の製品が大きなシェアを占めていますね。スマホなどの電子機器には、抵抗やコンデンサーといった電子部品が数千個含まれており、電気自動車と同様、一つ一つ精密な検査をしなければなりません。その際に日置電機の計測器が使われるため、市場シェアが大きいのです。


また、発電の市場でも強みがあります。近年、日本だけでなく世界中で太陽光や風力の発電所が設置されていますが、発電した電気がきちんと機能するか、その安全性や性能が維持できているかどうかをチェックする測定器の市場が広がってきているのです。


開発から生産までを一カ所で行えるスピード感が強み



――続いて、日置電機の強みについてお聞かせください。


もちろん新製品を作る技術力・仕組みには自信があるのですが、強みとして「研究開発型」という点も挙げられます。日置電機は社員の3分の1以上が開発・技術者で、技術開発をしたエンジニアがお客さまのところに訪問し、直接コミュニケーションを取る方針を取っています。


これにより、自分たちの製品をお客さまがどう使っているのか、どこが使いにくいのか、どんな機能があればよりご満足いただけるかなど、エンジニア自身が把握して改善に取り組めます。


また、「次はこういう製品を作りたい」というモチベーションにもなりますし、技術的なアイデアとして昇華することもできます。実際に、新製品の開発につながったケースも少なくないですよ。


――直接お客さまの要望を伺ったり、実際に現場でどう使われているかを見たりすることで、ニーズを開発に反映しやすいということですね。


ときには、中国やヨーロッパ、アメリカのお客さまの元を訪ねて話を伺うこともあります。「技術職、開発職だから社内でずっと開発をする」ではなく、お客さまのところに積極的にヒアリングに行ってもらう。だから、エンジニアも常に誰かしら社外に出ていますね(笑)。


――技術職・開発職が自ら動くからこそ、お客さまの声に応える製品を次々と生み出せるのでしょうね。その他にも、会社の強みはありますか?


本社の敷地内にほぼ全ての機能が集約されていることですね。営業拠点は全国、海外にもあるのですが、基礎技術から製品開発、生産までの中枢はすべて本社にあります。


中国や東南アジアに拠点がないため、「日本で全て製造している」と聞くと、「人件費などのコストが高く、利益率が低くなるのでは」と思う人もいるかもしれません。しかし、日置電機の製品は「多品種少量生産」です。そのため、量を求める生産力よりも質を改善するスピードが求められます。


そもそも、日置電機は「安さ」では勝負していません。「日置電機の製品だからこれが測れる」という”価値”を感じていただき、製品を買ってもらっています。お客さまが欲しい製品を常に把握し、最短で提供することが最優先課題なのです。


――一カ所に全ての工程が集まっていると、部門間の細かいやり取りもすぐにできそうです。


はい、全て本社の一棟でまとまっていることで、製品の企画段階から生産の人も一緒にすぐに打ち合わせができます。細かい部分のバリエーションの展開についても、歩いて数分で打ち合わせができる環境だからこそ、市場に求められる製品を常に生み出すことができているのだと思います。


――その強みを生かすことができたエピソードはありますか?


私が以前関わった案件なのですが、カナダにハイドロ・ケベックという電力会社があります。カナダは電気が重要な輸出商品であるため、電力に関する技術も非常に発展しており、その品質について細かいチェックが行われます。


日置電機では20年ほど前から、「電源品質アナライザー」という世界で一番高性能なポータブル電源品質アナライザーを作っており、日本の電力会社はすべてそれを採用してくれています。そのことをハイドロ・ケベック社が知ったようで、お声がけをいただいたのがきっかけで関係が深まりました。


先方とはメールでのやりとりを基本としつつ、実際に現地へ行って共同開発も行いました。最終的にはオリジナルの電源品質アナライザーの開発にも成功し、大量導入していただくことができました。


さらなる飛躍を求め、新技術の開発にも注力



――今後の展望についてお聞かせください。自動車や電子部品、エネルギーはまだまだ伸びるとお考えですか? また、他の分野で伸びそうと思われるものはあるのでしょうか?


冒頭でも少し触れましたが、ヨーロッパでは2030年から40年までに化石燃料を使った燃料機械を全廃する宣言をしています。それによって急速に電動化が進んでいくので、これから車はどんどん電気で走るようになるでしょう。


ですから、少なくともその時期までは、われわれが競争力を維持する研究開発を続ける限り、電動化で必要とされる計測器のシェアを維持もしくは拡大できると想定しています。


新エネルギーについても、太陽光発電の設備は全世界にどんどん増え続けており、その保守メンテナンスも必要なので、市場が縮小することはまずないでしょう。


しかし、これ以外に他の市場も広げていかないと、成長はありません。日置電機は車を電動化するのに必要となる「パワーエレクトロニクス」という分野でも強みを持っています。この分野での計測性能を上げれば全く新しい可能性が生まれるため、いま、この分野について研究を進めています。


世界のエンジニアの役に立つツールを一緒に作っていきたい



――このような展望を踏まえて、これからの学生さんにはどのようなことを求めていますか?


いまはビッグデータの時代で、これまで蓄積したさまざまなデータをどう分析し、活用するかが全業界で喫緊の課題となっています。弊社でも、計測して得たデータを分析してさらなる価値を生み出していかなければなりません。


そういう意味では、データ分析の基本的な知識を持った学生さんに来ていただけると、新しい分野が切り開けるのではと思っています。また、電気計測器のメーカーなので、電気・電子工学を専攻していた学生さんはもちろん、一番の即戦力になるでしょう。


しかし、そうした専門的知識がなかったとしても、お客さまと向き合って困りごとを解決したいと思える人であれば、日置電機の業務に対してやりがいを感じられるはずです。お客さまのご要望から次の製品のアイデアを生み出し、それを形にしていける人が、最も求められる人材です。


――最後に、この記事を読んでいる理系学生さんに向けてメッセージをお願いします。


世の中には技術開発をしている人がたくさんいます。日置電機では、その人たちの役に立つようなツールとして電気計測器を開発しています。


いま皆さんが勉強しているのは、「何か新しいものを生み出したい」という気持ちを実現するための技術や研究だと思います。ですから、まずその技術のベースをしっかり身につけておいてください。そして、世の中を変えていく世界のエンジニアに対して、一緒にツールを提供していきましょう。


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編集後記


エンジニアと聞くと、多くの人が黙々と開発し、技術を高めていく仕事を想像するのではないだろうか。日置電機ではお客さまの元へエンジニア自身が伺うことで、よりお客さまのニーズに応える製品作りができるという強みがある。


これからの時代は、お客さまの喜びのために枠にとらわれない考え方も必要になってくるだろう。人から求められる製品を作りたいという理系学生にとって、日置電機はそれをかなえられる場所なのではないだろうか。




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ライター
恐 竜也
カメラマン
山下 智也

企業情報

日置電機株式会社

★技術者インタビュー&会社紹介掲載中!  https://compass.labbase.jp/articles/522  https://compass.labbase.jp/articles/523  https://compass.labbase.jp/articles/463 ◆事業◆ ~電気計測器の開発、生産、販売・サービス~ 社会を進化させる、「産業のマザーツール」と呼ばれるものがあります。私たちが開発、生産、販売・サービスまで一貫して手がける電気計測器もそのひとつ。「目に見えないものをはかる」電気計測器は、研究開発・生産ライン・保守サービスなど、あらゆる場面で必要とされ、科学技術や産業の発展を支えています。HIOKIは、電気計測器をとおして、人々の安全で快適な暮らしを支え、科学技術や産業の発展に貢献しています。 【電気計測器の活躍領域】 ▽自動車分野 ・EVやHEVのモータやバッテリなどの開発、性能評価 ・「家電化」が進む自動車の電子回路や通信機能の評価 ▽電子部品分野 ・スマートフォンなどに使われる電子回路基板やタッチパネルの良否検査 ・高周波化が進む抵抗器やコイル、コンデンサなど電子部品の性能評価 ▽環境・エネルギー分野 ・電気機器や設備の電力使用量を把握した省エネの推進 ・新エネルギーの品質や効率評価、設備の保守点検 ▽その他各分野 ・電気やガス、交通などのインフラの保守点検 ・家電・OA・通信関連、化学・食品・薬品・医療関連 ◆使命◆ ~社会の進歩、人々の幸せに貢献~ 独自技術を追求し、世界初の金属非接触電圧計測をはじめ、特長ある技術を有しています。新たな技術をさらに向上させて世界中のお客様に新しい価値を提供し、より豊かな社会づくりに貢献することが、私たちの使命です。