独自技術を開発し、チームで製品化を目指すスペシャリスト

――まず、現在の業務についてお聞かせください。みなさん同じチームで働いているのですよね?
栁澤:はい。私たちは、先行開発ユニットに所属しております。現在は「非接触CANセンサ」という、自動車の開発やデータ取得に利用されるセンサの開発に携わっています。
CAN(Controller Area Network)とは、自動車の走行制御情報や車載センサ情報をやりとりする通信のこと。ケーブルを傷つけることなく被覆の上からCANの電圧信号を取得できるようにしたものが非接触CANセンサです。用いた技術は日置電機独自のもので、自動車メーカーからの強い要望を受けて製品化を行っています。私はそのチームの開発リーダーという立ち位置です。
――チームのメンバーは、どのようなお仕事をされているのでしょうか?
栁澤: ここにいる3人ともう1人、20代の技術者の計4人が中核メンバーとなり、非接触CANセンサの開発に取り組んでいます。製品化のフェーズでは、製品規模に応じて生産・品質管理・販売などのスペシャリストが入り、全部で10名ほどの体制になる予定です。
いま私たちのチームでは、新しい製品カテゴリの立ち上げや新市場開拓という目的をもっています。そのために、既存製品にはない独自の要素技術開発や基礎技術研究を進めています。
笠井:私は先行開発ユニットで機構設計を担当しています。センサや電流を計測する電流プローブなどの、機械的な動作や製品の形の設計がメインです。新製品につながる要素技術の開発にも関わっています。
池田:私は製品化の設計リーダーを担当しています。設計スケジュールの作成、設計・製品の仕様決定が主な仕事です。自分で手を動かして電気やソフトの設計や検証も行っています。自らやってみて、原理を突き詰めるだけでは分からない製品としての性能の未熟さや課題を見つけ出せるように、気を配っています。
大切なのは時代の先を読み、未来に残る製品を作ること
――笠井さん、池田さんの入社の理由についてお伺いします。日置電機を選んだ決め手はなんでしょうか?
笠井:日置電機の最初から最後まで自社で行う「一貫体制」のスタイルが面白いと思い、入社しました。技術の開発から携わり、自社ブランドで製品を作る。そして製品を利用したお客さまの声を直接聞ける点に引かれました。
池田:日置電機の製品群を知り、大学で専攻した電気の知識を製品に生かすことができると思ったからです。電気の知識を使って仕事をするだけではなく、部品ではない完成した製品を作れるところが魅力でした。
入社前は基板設計や回路設計など、モジュールで担当するイメージでしたが、入ってみて、技術の開発から製品化、販売まで一貫して関われることに気づきました。選んで正解でしたね。
――やりがいがある一方で大変さもありそうです。
池田:正直、製品をリリースするまではずっと大変です(笑)。生産ラインは問題ないか、部品は足りているか……細かなことまで常に神経を尖らせていますね。お客さまのフィードバックをもとに試作品を改良するフェーズでは、要望通りに仕上げるためにいつも頭を悩ませます。製品をリリースしたあとは、やり切った達成感で燃え尽きます。
だからこそ、お客さまから「製品が役立っている」という反応を頂けると、とても励みになりますね。もちろんたくさん売れて、会社の売り上げに貢献できるのもうれしいです。
笠井:新規製品を開発する自由度の高い業務だからこそ、やりがいと難しさの両方がありますよね。
開発のプロセスとしては、まずお客さまの元へ自ら足を運び、ニーズをヒアリングします。そうして現場から集めた要望を自分なりに解釈し、設計に落とします。ニーズありきですが、「自分の思いを製品に込められる」ことは大きな喜びです。そうして 頭で考えたものを手に取れる形にできたとき、技術者としての楽しさを感じますね。
全てを自分で考えなければならない大変さもあります。技術的な問題が見つかったり、急な方針転換があったりすれば、顧客の要望を満足させながらスケジュールにも間に合わせなければいけません。知識を総動員して、周囲の支援も受けながら、お客さまの希望に応えられるように舵取りする。そこはいつも難しいなと感じます。
――栁澤さんは開発リーダーとしてお客さまに接する機会が多いと思いますが、どのような点にやりがいを感じますか?
栁澤:お客さまのニーズと自社の製品と技術の方向性を俯瞰(ふかん)しつつ、取り組むべき開発と行動を決めなければならないところが、日置電機で働くうえでの難しさであり、やりがいですね。
独自技術をベースに自社ブランドの製品を開発していて、参考にできる事例が少ないので、直接お客さまからたくさん要望をいただくように心がけています。それらの要望をどのように製品の仕様や機能に落とし込むかを考えることは、技術開発とは違う難しさがあります。
さらに、製品の価格や形状、納期など総合的に検討しながら、製品そのものだけではなく、製品カテゴリの未来を読む視点も求められます。例えば、将来的に自動車は電気自動車に置き換わるかもしれません。そうなると、今ある計測器の利用分野が丸ごとなくなる可能性もあるんです。だから、新規に投入する製品が、次世代のランナーとしてのバトンを受け継いで会社の継続的成長に寄与できるか、10年、20年先も発展・展開できるのか、変化を先読みして考える必要があります。
理系も文系も、適性に合わせキャリアを積める場所
――日置電機に入るのは、どんな分野の学生が多いですか?
栁澤:電気、情報、機械、化学、物理分野などを専攻した人が多いですね。でも、社内で活躍できるかどうかには、大学の専攻分野は直接関係しません。入社後の仕事への取り組み方と学び方次第で、製品開発や要素技術開発にも対応できますし、いくらでも伸びていきます。
――専攻に限らず活躍できるんですね。それだけ入社後の教育システムが充実しているのでしょうか。
栁澤:日置電機では、入社後半年間は基本研修を行い、社内で必要な基礎知識をしっかり学びます。その後は先輩が指導者となり、マンツーマンで技術を教わります。
とはいえ新入社員が全てを担うのは無理なので、はじめは小規模な回路を作ったり単機能のソフトウェアモジュールを作ったり、小さな課題をこなしながら経験を積みます。その過程で先輩からOJTのかたちで技術を学び、自身の適性を発見していきます。
池田:多岐にわたる製品を扱いますし、一人一人の役割も大切ですから、自律的な成長が必要な一面もありますね。成長スピードも、他の企業と比較すると早いんじゃないかな。入社数年で「この技術・製品なら、この人」と専門分野を持つまでに成長する人もいますよ。
――配属先はどのように決まりますか?
笠井:私はアナログ回路設計で配属されましたが、大学の専攻に近い機構設計の分野を希望して担当が変更されました。変更前には、アナログ回路設計と機構設計の二本柱で学ぶなど、OJTの指導者以外に、機構設計を専門にする先輩から教えてもらうこともありましたね。
栁澤:基本的には本人の希望をくみ取ったうえで配属が決定します。一人ひとりの適性も大事にされていると思います。コミュニケーションの上手な人は、技術や製品の企画やマーケティングを中心に担当したり、大学や研究機関との共同研究開発のマネジメントを行ったり、全体を俯瞰する業務分野に進めば能力を発揮できるでしょう。技術に自信がある人は、技術を突き詰めて世界レベルの電子回路を作ったり、高度なメカトロニクス技術をベースに新分野で活躍したりする道があります。
それができるのは、日置電機が技術開発から販売まで、一貫体制で製品を作っており、さまざまな業務があるから。受け皿が大きいからこそ、一人ひとりの適性に合わせた多様な選択肢がある会社だと思います。
「ビジネス」を考えて製品開発できる人は強い

――緒に働く学生にはどんなことを求めていますか?
栁澤:技術がどれだけ世の中の役に立つか。価値のあるサービスを社会に提供して、会社の成長に寄与できるか。そしてどれだけお金に換えられるか。ビジネスの意識を持てる人を求めています。
やはり、ビジネス視点を持って技術開発や製品開発に取り組める人は強いなと思います。いわば、「お金」の流れに対する感覚を持てるかどうかです。
製品を企画する際には、開発投資を回収できるかどうかも考えないといけません。そのとき、反映した機能は対価に見合っているかどうか、客観的に見ることのできる人が、これからますます重要になってきます。
――世の中に付加価値を提供でき、売り上げにつながってこそ会社が成り立ちますからね。
栁澤:そうですね。あと、世の中への興味を持っていてほしいです。技術開発を行うためには、社会と人間をよく知る必要があります。なぜなら製品を使うのは人だからです。
それから、日置電機は市場にない新製品をどんどん投入していますので、常識にとらわれない多様な視点が求められます。独自の視点と意志を持って、世間がもてはやしている技術や製品とはあえて反対方向に立ち向かえるくらい、人と違うことができる人がいいですね。
――社会への興味が新しい製品や技術を作っていくのですね。最後に、就職活動中の学生にメッセージをお願いします。
笠井:ものづくりを最初から最後まで自分でやりたい方に日置電機をおすすめします。周りからどんどん知識を吸収する姿勢がある方は、きっと楽しく働けますよ。
池田:日置電機は世界で競争する製品を開発しています。世界の舞台で戦うことにやりがいを感じて、何事にも前向きに取り組める方と一緒に働きたいです。
栁澤:いま、大学で学んでいることは社会に出たときの土台になるので、基礎をしっかり身に付けてください。それから、ぜひ一生懸命取り組めることを見つけてください。何かに熱中して取り組んだことがある人は、仕事でも成長していきます。
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編集後記
新しい技術を開発して製品化に取り組む3名の言葉からは、社会に価値あるものを届ける楽しさが感じられた。学んだ専門分野を伸ばすことはもちろん、適性に合わせ技術を身に付けられる環境は、将来のキャリアを真剣に考える人にとって、ぴったりの会社だろう。
※所属・内容等は取材当時のものです。
