「誠実なオタクが楽しめる」 医薬品安定性試験で日本No.1 ナガノサイエンスを現場から語る

インタビュー

2019.11.14

LabBase Media 編集部

ナガノサイエンスの社員たちはどのような想いで仕事と向き合っているのだろうか。入社7年目となるアシスタントグループマネジャーの平田陽介氏を取材し、入社前後の話や立候補制度での昇進、新しいことを学びながら実践に移す仕事の面白さなどを、現場の視点から語ってもらった。 ナガノサイエンス株式会社: 「世界最高の安定性試験保存プロセスを開発し、世界に普及させる」をビジョンとする、安定性試験保存プロセスの専門企業として日本のトップを走る企業。現在はグローバルでのオンリーワンを目指している。医薬品の品質リスクを第一に考え、重要な試験を担う顧客に「安心体験」をどのように届けるのか、さまざまな角度から、追求している。

  • 平田 陽介(ひらた・ようすけ)

    ナガノサイエンス株式会社

    PDC部門プロセス企画グループ

企業理念と社員のやさしさに心を打たれ入社を決意


――まずは現場の社員から見たナガノサイエンスの事業について教えてください。


当社は医薬品安定性試験保存のプロセス作りをしています。ある一つの製品に特化しているのではなくて、モノづくりや管理を含めた保存のプロセス全体を網羅しています。


――所属されているPDC部門プロセス企画グループもプロセス作りに携わっている部署なのでしょうか?


ええ。医薬品安定性試験装置がお客さまが望む通りに動いているかどうか検証する作業を「適格性確認」と言い、そのプロセス自体を作ったりするのが私の部署の役割ですね。


この業務は「バリデーション」と呼ばれていて、最終的にはバリデーション自体をサービスとしてお客さまに提供します。提供前に社内で検証前の試験項目を設定してその根拠を説明したり、新しい法的規制ができた場合は試験の方法を変えたりしていますね。


お客さまごとに開発する医薬品の種類が異なり、また各種ガイドラインがあるので、それぞれに対応策を提案するのも私たちの仕事です。最新の医薬品関連の状況や動向を把握しつつ、バリデーションなどのプロセスに落とし込み、 常に新しいものを提供し続けています。

――専門性の高い業務ですね。平田さんは学生時代も医薬品保存関係の研究をしていたのですか?


いいえ、入社時点では現在の仕事に関する知識はありませんでした。大学4年生の頃から大学院の修士課程にかけては生体分子工学が専門だったんです。化学的な視点から遺伝子の有機合成を見る研究をしていました。


ただ、就活をする際はあまり自分が研究していた分野にこだわっていませんでした。ナガノサイエンスに最初に興味を持ったのも、自宅から近くて、ビルの形が宇宙船みたいで個性的だったという理由です。説明会に行き、聞いた話に感銘を受けてからぜひ入社したいと思うようになりました。


――どのような点で他の企業にはない魅力を感じたのですか?


「世界最高の安定性試験保存プロセスを作ってそれを普及させる」というのが当社のビジョンなのですが、世界最高とは総コストが世界一低いということだと説明を受け、目標がとても明確だなと感じました。経営方針が具体化されて目標に落とし込まれていると、自分が現場で仕事をする際の基準もはっきりしますよね。


面接では現在の上司を含めいろいろな社員に会いましたが、皆さん私の話をしっかりと聞いてくれました。選考中も総務人事担当者から「今どんな感じですか?」「お元気ですか?」と頻繁に連絡をもらい、「社内の雰囲気が良さそうだな」と感じたことが入社の決め手になりました。


ゼロから学んだことを仕事で実践できるのは楽しい


――専門外の分野から入社されたとのことですが、入社後に何かサポートはありましたか?


専門知識がまったくない状態だったので、最初は上司に指導してもらいました。当社は分からないことがあったら気軽に聞ける雰囲気の会社ですし、学生時代に機械工学系の研究をしていた同期に質問することもありました。


冷凍機など扱っている機械の仕組みを学ぶために、冷凍機械関連のテキストを使用して自習もしました。誰かに質問するだけではなくて、自主的に学ぶ意欲のある人が当社では伸びていくと思います。


――入社後はどのような業務に携わっていたのですか?


部署は現在と同じですが、当時メインで担当していたのは医薬品安定性試験装置の異常検知に関する業務です。わざと装置が正常に作動しないようにしてから、装置のパラメータが異常にどう反応するかを検証していました。


異常検知を成功させるためにはデータ分析が不可欠です。データの異常傾向や変化点を検知するために計算をしなければならないので、統計関係の本で学びながら取り組んでいました。


統計学自体は学生時代に一通り習得していたのですが、実践となると学問として学んだだけでは足りない部分があることが分かり、改めて勉強し直さなければなりませんでした。セミナーへ行ったりウェブサイトで調べたり、ほぼゼロからのスタートでしたね。


また、実際に仕事で試してみて、この分析方法は使えそうだなと感じたらそのまま実践に移す場合もありました。


――客観的に聞くととても大変そうだと感じてしまいます。


たしかに難しくて大変なことではあります。ただ、学びながら自分で考えて実践していく作業は本当に楽しかったです。知らないことを学ぶのが楽しいと感じられる人が向いている仕事なのかもしれません。


入社7年目、立候補制度でアシスタントグループマネジャーに


――データ分析ができる社員は多いのですか?


あまりいません。私は基礎から学んで、入社2、3年目で異常検知に必要なスキルを身につけられました。


ところが、当社の装置は安定性が高いので異常がほとんど起こらないんです。良いことなのですが、自分が会社の役に立てているのか不安に感じることもありました。


そんなとき、珍しく装置にエラーが生じて実際に異常を検知できたことがありました。「自分たちの業務は非常に重要なものだったのだ」と実感し、部署内でお祝いしましたね(笑)。


――社内の雰囲気も良さそうですね。平田さんが担当していた異常検知はナガノサイエンスの課題として最初からあったのでしょうか?


ありました。説明会でも課題として聞かされていましたが、私は良い解決策がきっとあるはずだと思い、本を読み調べました。入社後、いくつか考え出した方法から当社に合うものを選び実践していきました。


――課題に対する解決策を自力で勉強し、そこで得た学びを実践に落とし込んだのですね。ナガノサイエンスではやはり、平田さんのように自分から動く力が求められるのでしょうか。


当社は規制産業に近いので、基本的には安定している産業です。しかし、自動車産業にIT企業が激変を生んでいるように、AIなどを利用して 新しいソリューションを提供しうる潜在的な競合は増えています。そこに対応するためにどうすればいいのか、考え提案し実行するチャレンジ精神も必要とされています。


それを象徴する制度の一つが立候補制度です。リーダーやグループマネジャーになるためには、まず論文を書いて書類選考に通過し、社長や上司の面接を受ける必要があります。


――人事考課でもチャレンジ精神が評価されるのですね。平田さんも立候補制度を利用したそうですが、どのような論文を書いたのですか?


立候補制度は当社のビジョンを現場に落とし込み、上層部と共有するための機会でもあります。目標を達成するためにはこの部署ではこのようなことをしなければならない、という内容の論文を書きました。


論文に対しては面接でフィードバックがもらえます。「これは違うよ」と面接官に指摘されて新しい気づきが得られることもあれば、「いいえ、こういう理由があるので必要なことです」と私から言うこともできます。


経営幹部とコミュニケーションがとりやすいのも、ナガノサイエンスの魅力の一つです。立候補制度には 社内の雰囲気が良く、経営幹部と社員の間に壁がないという当社の特徴が表れていると感じます。


立候補制度を利用して、私はアシスタントグループマネジャーという役職に就きました。現在はマネジメントをしつつ部下の指導もしています。


欲しい人材は好きなことを追求したい「誠実なオタク」


――実際に部下を指導する立場になって感じたこともあるかと思うのですが、どのような人がナガノサイエンスの社員に向いていると思いますか? 先ほど「学ぶことを楽しめる人」というお話もありましたね。


学ぶ内容に興味を持てるかどうかもポイントですね。当社は特に医薬品関係の規制のガイドラインを読む機会が多く、新しい規制ができるたびにお客さまの立場になって改善していくことが求められます。


何かを学んだあとに「私はこれができます」と上司に言える積極性も大切です。私も異常検知に携わってからデータ分析に詳しくなったため、上司に「こういう方法もあります」と提案できるようになりました。現在のキャリアパスにつながっていますね。


当社は「やりたい」と言ったことをやらせてくれる企業です。もちろん、そのためには論理的に上司を説得する必要があります。勉強中、結果を導き出すまでに時間がかかることもあるでしょう。しかし、それを面白いと感じ、 実践を前提として学びながら働きたい人にとってナガノサイエンスはベストな企業だと思います。また、社長の言う「誠実なオタク」の方にぜひ入社してほしいですね。


――「誠実なオタク」とはどのような人のことですか?


自分の好きなことをとことん追求したいマニアックな人です。私の場合はデータ分析ですね。自主的に学び実践も重ねてきているので、かなりこだわりがあります。


私だけではなく、当社の社員は、自分の専門分野にこだわりがある誠実なオタクが多いと思いますよ。


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編集後記


「好きなことを仕事にしたい」。そう語る就活生は多い。また、「楽しい仕事をしたいけど自分は何をしたいのか分からない」という悩みもよく耳にする。


学生時代の平田氏にとっても医薬品保存は未知の分野だった。彼は自らが大学や修士課程で研究してきたことにこだわらず、入社後に究めたいものを見つけ、インプットと仕事でのアウトプットを重ねて形にしていった。


「学生時代の研究と異なる分野の勉強はつらくなかったのですか?」という問いに対し「難しく大変でしたが、とても楽しかったです」と平田氏は笑顔で答えた。好きなことを仕事でとことん追求している「誠実なオタク」の喜びがそこにあった。




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ライター
若林 理央
カメラマン
児玉 聡

企業情報

ナガノサイエンス株式会社

シェアNo.1、国内唯一の『医薬品安定性試験保存プロセスソリューション』提供企業です。 安定性試験保存プロセスにおける、リスクを含むコストを最小化するための 製品・サービスの開発を行っています。 ◆◆代表インタビュー◆◆ 「「日本一から世界一へ」 医薬品安定性試験トップのナガノサイエンス代表が語る未来」 https://compass.labbase.jp/articles/559 【ミッション:唯一の専門企業として】   ―世界最高の安定性試験保存プロセスを開発し、世界に普及させる― 医薬品安定性試験というニッチな領域に特化している企業は、国内、そして世界でも当社だけです。 製薬業界の規制・ガイドラインの変化に対応するのはもちろんのこと、 医薬品の品質向上に寄与するにはどうしたらいいのか、 安定性試験に関わる研究者の方々に『安心体験』を届けるには何をすればいいのか、 日々考え、実現に向けて、様々な挑戦を続けています。 【事業:プロセス全体の開発】   ―リスクを含む総コストが最小となるプロセスを開発する― 安定性試験保存プロセスは、安定性試験において大半の時間を占めるプロセスです。 精密な温湿度管理、装置の”確からしさ”の証明、データ管理、サンプル管理、リスクマネジメント、 その他、様々な課題を解決するソリューションを現在、当社は開発・提供しています。 しかし、これらのソリューションの開発は、安定性試験保存プロセスの要素開発と捉えています。 真に目指すのは、これら要素の相互作用で実現する、プロセス全体の開発です。 <<安定性試験とは?>> 医薬品開発において必須とされている試験のひとつが安定性試験です。 薬の品質を確認する試験であり、厚生労働省に承認申請を行う前の最後の試験である、 という点から非常に重要な試験であると言えます。