テレビは人の思い出を作る――杉山真也アナウンサーがテクノロジー部門若手社員に聞く、TBSテレビで働く魅力
インタビュー
2022.10.24
LabBase Media 編集部
VISION2030「最高の"時"で明日の世界をつくる」を新たに掲げ、多様なコンテンツを生み出すメディアカンパニーへと変革を進めるTBSテレビ。「THE TIME,」「東大王」など多数番組に出演する杉山真也アナウンサーが、変わりゆく同社の技術を支えるテクノロジー部門の若手社員2人に、仕事の魅力を伺った。 株式会社TBSテレビ: 私たちは2021年5月、「TBSグループ VISION2030」を発表しました。世界水準のコンテンツ制作能力とともに、グローバルなエンターテインメント市場へこれから本格的に参入していきます。私たちが創る、最高の「時」はコンテンツだけに留まりません。豊かなライフスタイルと様々な感動体験、そして、子供たちに希望あふれる未来を提供していきます。放送を超えた存在価値になることを私たちは目指しています。そしていま、私たちのチャレンジに必要なもの、それはテクノロジーとクリエイティブの若い力です。一緒に世界を目指しませんか?あなたのチャレンジを心からお待ちしています。
杉山 真也
株式会社TBSテレビ
TBSテレビ総合編成本部アナウンスセンター
生田 史織
株式会社TBSテレビ
TBSテレビメディアテクノロジー局未来技術設計部(取材時点)
佐藤 光一
株式会社TBSテレビ
TBSテレビメディアテクノロジー局技術管理部(株式会社TBSアクト現職出向)
目に見えて成功と失敗が分かる仕事
杉山:アナウンスセンターに入社して16年目の杉山真也です。私は、佐藤さんも担当している朝の情報番組「THE TIME,」やクイズバラエティ「東大王」、人間観察バラエティ「モニタリング」、特番は「SASUKE」や「オールスター感謝祭」などを担当しています。お二人はメディアテクノロジー局で働いているんですよね。
生田:私は2017年に入社し、現場技術でビデオカメラや各種映像機材の調整を行うVE(ビデオエンジニア)として働いていました。VEは、フリップをカメラで狙ったときに、スタジオの明るい照明だと見づらいのでアイリスを絞ったり、どこに何の映像を出すかなどシステムを組んだりする仕事です。柔軟さと堅牢さの相反する両方が求められる仕事でした。
3、4年を経て、現在はメディアテクノロジー局未来技術設計部で新技術の開発に携わっています。未来技術設計部は、番組が実現したいことや、新技術をハンドリングする、チャレンジングな部署。最近だと、7月に放送された「世界陸上オレゴン」でしょうか。織田裕二さんがオレゴン州まで行くのではなく赤坂からリポートすることになりました。現地に行かず会場や選手の臨場感を伝えるにはどうすればいいか考えた結果、一般的なグリーンバックを使って会場にいるように見せる演出ではなく、大きなLEDパネルの前に立つことで、現地の映像を見ながら中継できる技術を用いてバーチャルリアリティ空間を演出しました。
佐藤:2019年に入社後、制作技術部に配属され、現在までカメラマンを担当しています。(※現在は現業を業務受託しているTBSアクトに出向)
カメラアシスタントから始まり、徐々にカメラマンを担当する機会が増え、2、3年目からは番組のチーフカメラマンを任されることが多くなりました。カメラマンとして参加している番組は杉山さんも出演している「THE TIME,」「東大王」や、「マツコの知らない世界」など。現在は加えて、複数の映像素材から演出に沿って切り替えるTD(スイッチャー)を担当することもあります。
大学では無線通信を研究していました。それまでカメラに触ったことすらなかったのですが、就職活動で自分がやりたいことを考えたとき、テレビにまつわる仕事がしたいと思い浮かんだんです。当初は、カメラマンがどんな仕事をするのかもよく分からないまま入社しました。
この仕事は、目に見えて成功と失敗が分かるんです。成功と失敗の基準は、いち視聴者として「格好いいな」と思えるカメラワークができたかどうか。ピントや構図、ズームイン・アウトなどのカメラワークがすごくはまったときは、うれしくて家でお酒を飲みながら見返します。失敗したときも家で繰り返し見て、落ち込みながら反省していますね(笑)。
杉山:これまでで特に印象深かったのはどの現場ですか?
佐藤:一番気持ちが入るのは、年末の「日本レコード大賞」ですね。アーティストの方々の緊張感が伝わるので、こちらも「絶対にミスできない」という気持ちになります。「すごい」の一言に尽きる雰囲気で、毎年担当したい番組です。
生田:杉山さんが実況を務める「東大王」の高校生クイズ甲子園を、TBSテレビで開発した「TBS BELL」というリモート出演システムを使用して実現したことです。現場は大変でしたが、全国の高校生が「TBS BELL」という自分たちのシステムによって一堂に会して青春を生み出す局面には感動しました。番組が、青春の一端を担えているのは意義深いと思います。技術でTBSを支えていこうといっそう思った現場でしたね。
技術には「分からない美学」がある
杉山:先ほどの話にもあった「世界陸上」や「北京オリンピック」でも高橋尚子さんと安住紳一郎さんが、現地の映像を交えて東京でリポートしていましたよね。どのような話し合いを経てあのかたちに至ったんですか?
生田:「北京オリンピック」では、どうすれば臨場感が伝わる画(え)になるか「東京オリンピック」が始まるよりも前から制作と話し合っていました。TBSではまだ使ったことがない技術だったので、テストを繰り返したり、メーカーの人と話したり、局内でその新技術の知識がある人に協力を仰いだり……社内のあらゆる人の力と力を合わせて実現しましたね。
杉山:技術ってすごくチームプレーですよね。出演者がいなくても、映せるものがあったら番組は成立します。その映像の回線や音声をつなぎ、映像がきれいに映っているかどうかを確認するのは、それぞれのパートを担当する技術者一人ひとりの仕事。なので、テレビ局の肝は技術だと思っています。お二人は仕事のやりがいをどのようなときに感じますか?
佐藤:学生の頃は野球漬けで、チームで何かを成し遂げることが好きでした。技術も似たところがあると感じます。意外とアナログで、人と人とのコミュニケーションを重ねて成り立っているんですよね。特番では数時間の放送のために100〜200人が集まって、何日も前からリハーサルします。そうして無事に放送を終えたときの達成感は大きく、やりがいを感じる瞬間です。
生田:私もチームでパフォーマンスを出して、より良いものを作ることに魅力を感じています。ただ、技術には「分からない美学」があるんですよね。技術が見えないほうが視聴者にとっての「なんかすごい」になる。そのさじ加減が重要です。バラエティ番組だと、違和感を感じさせる演出はマッチしないので、中身の面白さが際立つような演出をよく行います。逆に音楽番組だと、現実と仮想世界を融合して新しい体験を作るXRやLEDを用いた新しい演出を試すことが多いので、新たな発見があります。
杉山:これからもTBSを技術で支えてください。技術は一番最初に来て準備をし、一番最後に片付けをして帰る部署ですが、忙しくははないですか?
生田:未来技術設計部は研究に近い業務なので、調べ物や機材を触ったり、打ち合わせをしたりといったデスクワークが中心。番組とともに新しいプロジェクトを行うときは番組のスケジュールに合わせますが、基本的には10〜18時の定時業務ですね。テレワークを行うこともあります。
佐藤:忙しいときもありますが、スケジュール的にはこなせています。毎日のスケジュールはバラバラで、例えば「THE TIME,」の場合だと、朝の2時半頃に出社して14時まで仕事したら退社することもあれば、10〜18時のように普通の会社員と同じくらいのときもあります。
スケジュールというより、気を抜く時間が少ないのが慣れるまでは大変かもしれません。リハーサルも本番と同じメンタルで臨むので、一日中やった日はけっこう疲れますね。
杉山:大変なときもあるぶん、メリハリをつけて働くのが大切ですよね。お休みの日はどのように過ごしていますか?
佐藤:休みの日は、よく職場の人と一緒にゴルフをしています。
生田:私は根っからのテレビ好きなので、休みの日も録画したバラエティ番組をずっと観ていたりすることが多いですね。
働きながらキャリアが描けるようになる環境
杉山:お二人が入社したのはテレビのあり方が変わりつつあるときだったと思います。テクノロジー部門の立場から考える、今後のキャリアは?
佐藤:現場がすごく好きで、自分が撮ったものが視聴者の方に届いていると考えるだけでも楽しくなります。だけど培った技術を活かすなら、ずっと現場にいるだけでは意味がない。 TBSにはメディアテクノロジー局から制作などへ異動する先輩も多いので、自分もいつかは現場で培った技術を幅広く還元したいです。楽しいので、なるべく長く現場にいたいんですけどね(笑)。
杉山:(笑)。現場最高ですよね。生田さんはいかがですか?
生田:私はもともと大学の情報工学科で学んだITの技術を活かして、好きだったテレビを盛り上げたいと思いTBSに入社したんです。その目標達成のために、まず番組の制作過程を学び、今は技術でテレビにどう貢献できるか検討している最中です。
現在の部署ではまさにやりたかったことができています。ただ、社内にはまだまだ知らないことも選択肢もいっぱいあるので、キャリアパスも変わっていくと思います。仮に入社時にキャリアを描けていなくても、業務のなかで描けるようになっていく魅力的な環境だと思いますね。
チャレンジを認め、何でも切り開いていける社風
杉山:お二人が思う、TBSで働く魅力は何でしょう?
佐藤:テレビを通じて、自分の撮った画を何百万人の視聴者に届けられることです。友達に「あの番組面白かったよ」と言われたときに「撮ってるよ」と自慢できたり、放送を見て成果が実感できたりするのはうれしいですね。
生田:第一はやはり、番組制作の刺激的で楽しい雰囲気が味わえることです。自分の名前がテロップで流れるのも貴重な体験ですね。少数精鋭のチームなのでチャレンジを認めてもらえますし、やる気さえあれば何でも切り開いていける場がある社風も魅力的です。
杉山:技術はアイデア次第で可能性が無限に広がる仕事ですよね。最後に学生へのメッセージをお願いします。
生田:TBSはテレビが好きな人にとって本当に楽しい場所だと思います。就活は世間的な正解を探しがちですが、自分が正解にしていける仕事かどうかが大切。気持ちが沸き立つものを選ぶと、つらいことがあっても乗り切れるはずです。
佐藤:自分を飾らずに表現して、合う会社を選んでください。私は、当時は高校生だった斎藤佑樹さんが甲子園で活躍する姿を見て野球を始め、彼と同じ高校に入りました。そんなふうに人生のターニングポイントにテレビがあったことが、この業界に入るきっかけになったんです。自分の人生を振り返ってみれば、そこにやりたいことのヒントがあるかもしれません。
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編集後記
テレビ制作にはさまざまな技術者が関わっており、理系人材が参加することで、新たな広がりをもたらすことが十分に可能だと感じた。自分が関わった映像が何万人もの視聴者に届くというのは、想像以上にやりがいがありそうだ。ぜひ、研究で培った探求力を同社で活かしてほしい。