働きがいのある会社ランキング毎年上位のディスコ その知られざる魅力に迫る
インタビュー
2025.01.21
LabBase Media 編集部
GPTW社による働きがいのある会社ランキングで毎年上位に輝く株式会社ディスコ(2020年大規模部門(従業員1000人以上)で2位)。同社には、「社員を大切にすることが会社の生産性向上にもつながる」という考え方が根付いている。ディスコ独自の文化を社内施設とともに紹介した後、ディスコの改善活動「PIM」で高い成績をおさめる技術開発本部の社員に取材する。 株式会社ディスコ: 世界トップシェアの精密加工装置メーカー。同社の技術・製品は、スマートフォンやICカード、自動車、航空機など身近な製品に搭載される最先端デバイス(半導体・電子部品)の製造に使用され、便利で快適な生活の実現に貢献している。行動指針は"Always the best, Always fun"。ベストを尽くし、楽しむことも忘れず、グローバルなフィールドで社員が活躍している。
増原 亜樹(ますはら・あき)
株式会社ディスコ
採用グループ
高橋 はじめ(たかはし・はじめ)
株式会社ディスコ
技術開発本部
新入社員から参加できる対戦形式の改善活動「PIM」
職種を問わず、仕事をしていく中で「ここを改善したらどうか」と思うことは多々あるだろう。ディスコには、そうしたアイデアを各課、各部門ごとに出し、対戦形式で競い合っている。それが「PIM(Performance Innovation Management)」だ。
対戦は、年間5000試合以上。社員それぞれが「自分たちの業務をより良くするために、どうすれば良いのか」を考え、改善を重ねることが、ディスコでは習慣化されており、それが会社全体の進化につながっている。
社内通貨「Will」を使って自分なりの働き方ができる
ディスコは独自の「個人別管理会計」を展開している。“Will”という社内通貨があり、社内のあらゆる仕事や物事に、Willによる金額設定がされているのだ。社員はWillを扱うための専用口座を社内システム上に持っており、仕事をすることでWillを得て、使用した社内リソース分のコストをWillで支払うなど、採算管理を行っている。
また、ディスコでは仕事を自ら選択することが可能だ。Willを用いた「社内オークション」で仕事を落札してから着手することになる。年次に関係なく、自分がやりたい仕事を自分の意志(ウィル)でこなしていく。全社員が対等なのだ。
ほかにも興味深いのは、残業をするとWillの支出として計上されること。つまり残業すれば残業するほど、Willの収支が減っていく。こうすることで、社員一人ひとりが生産性を考えながら自身の仕事に取り組むことができる。
このような独自の取り組み以外にも、ディスコではフレックスタイム制を導入しており、休憩時間も自由にとれる。ビリヤードやジム、プールなど、社員が息抜きするための設備も充実している。
若手が意見を言いやすい環境
入社後、総合職の新入社員は「アプリケーション大学」という組織に所属する。そこでディスコのコア技術である「Kiru・Kezuru・Migaku」に関する技術を学びながら、並行して自分が興味のある部署の業務を経験する。
2018年入社の増原さんは、アプリケーション大学でさまざまな業務を経験し、結果として、採用グループに魅力を感じた。採用グループも来てほしいと思っていたため、マッチングが成功。アプリケーション大学を「卒業」し、増原さんは採用グループに配属となった。
新入社員たちは文系も理系も関係なく、アプリケーション大学で自分と相性の良い部署を見つける。ディスコでは社員それぞれが主体的に動くことを大切にしているのだ。
また、ディスコはメーカーとしては珍しく東京本社に研究開発拠点が隣接している。技術職というと地方勤務になるのではないかと思う人も多いが、モノヅクリ系のエンジニアであれば都内に勤め続けることも可能だ。
毎年働きがいのあるランキング上位(2020年大規模部門2位)にランクインするディスコの魅力は、ここにもある。
改善活動で優秀な成績をおさめた技術者
技術開発本部の高橋はじめさんは、中途採用でディスコに入社した。前述のPIM活動で画期的な改善案を多数生み出し、2019年には社内表彰を受けた。
ここからは高橋さんに取材し、現場の視点からディスコの魅力を探る。
――現在の担当業務とディスコに入社した理由を教えてください。
精密加工装置のソフトウェア開発・制御を担当しています。ディスコに入社する前は、計測機器を扱う商社に勤務し、外国から輸入したものをシステムとして組み上げ販売していました。
複数の機器を連動させて計測するソフトウェア開発を手探りでやっていくうちに、規模の大きい企業でもっと本格的なソフトウェアを開発したいと思い、ディスコに転職を決めました。
最終面接で社長が詳しく教えてくださったディスコならではの取り組みであるPIMやWillも魅力に感じましたね。
――入社後、PIMで優秀な成績をおさめ、表彰されているそうですね。PIMに向けて心掛けていたことは何ですか?
業務の仕組みを良くするためにはどうするべきか考え、積極的に自分のアイデアを提案し続けました。
対戦数を増やすと、自然と改善点が見つかりやすくなります。社長から直接フィードバックをもらえる機会でもあるので、よりアイデアや提案方法をブラッシュアップしていきましたね。そしてうれしいことに、PIMで結果を出すことで、報酬となる社内通貨Willもどんどん獲得できました(笑)。
やりたい仕事を自分で選んで受発注
――積極性と継続性を貫いてきたからこそ、社内表彰を受けたのですね。Willは仕事をオークション形式で受発注できるシステムだそうですが、高橋さんが発注側になることもあるのですか?
はじめはもちろん受注側として仕事をしていました。最近は発注側になることが増えてきました。
Willが稼げるようになると、仕事の発注側としてより大きな仕事、例えば組織運営もできるようになります。私の場合は、所属する技術開発本部のPIM推進をするための組織運営に携わりました。同じ部署の同僚が気持ちよくPIMに参画できるような仕組み作りをしています。
――そのためには、ふだんから部署内でコミュニケーションをとることも重要ですよね。
はい、ディスコは東京に研究開発機能を集約させています。そのため、同じ社屋にいろいろな職種のエンジニアがいるので、開発案件が出たときに分からないことがあれば気軽に聞きに行けますね。
大半の会社では、上司が部下に割り振る仕事を決め、依頼することが多いと思います。しかし、ディスコには入社年次に関係なく、仕事を「受発注」することが可能です。発注側が受注側に「この仕事やらない?」と聞いたり、逆に受注側が「この仕事やってみたいです!」と積極的にチャレンジして仕事を選ぶことができるのです。
――制度や社内文化以外で、ディスコに入社して驚いたことはありますか?
入社してすぐ支給されたiPhoneに、自社開発のアプリが300種類以上搭載されていたこと(笑)。これには驚きました。でも、システム面が整備されていることは、技術者としての働きやすさにもつながっていますね。
学生時代に研究したことは必ず生かせる
――ディスコに向いている学生さんはどんな人だと思いますか?
物事を主体的に選び、行動できる人です。新しい仕事にチャレンジしていく姿勢も大事ですが、それだけでは不十分で、お客さまやサプライヤーと価値を交換しながら、継続的に業務を進めていくことも求められます。「DISCO VALUES」と呼ばれる企業理念を理解してから入社してほしいですね。
――ディスコでは、オークション形式で仕事を受発注していますよね。どうやって選べばいいのか迷ってしまう人もいると思うのですが、何かアドバイスはありますか?
深く考える必要はなく、シンプルに得意なことや価値を感じていることとマッチした仕事を選択すればいいのではないでしょうか。
PIMも、人前で話すのが苦手だったら無理に発表する必要はありません。「そのかわり自分はアイデアで勝負します」と得意分野を生かすことでチームに貢献する、という選択肢もあります。
――「自主的に行動できるけど、人前ではどうしても緊張してしまう」というタイプの人にとって救いになる言葉ですね。今働いている理系社員はどういった専攻出身の方が多いのですか?
理系全般です。分野を問わず、ディスコでは学生時代に研究してきたことが生かせます。
入社後に学べる知識はたくさんあります。私も前職で面白さに気付いたソフトウェア開発の知識を、ディスコ入社後、飛躍的に伸ばすことができました。PIMで発表している内容も、精密加工装置のソフトウェア制御改善が多いですね。専門知識を広げつつ、入社前は予想していなかった分野で実力を発揮できた人は、私以外にもたくさんいますよ。
ディスコの根本には、高度なKiru・Kezuru・Migaku技術を実現するために、さまざまな領域の技術をどんどん取り入れたいという想いがあります。専攻に縛られずチャレンジしてほしいですね。
株式会社ディスコの 「企業情報」をチェック!
新規技術開発(レーザ/超音波/プラズマなど)の募集概要は、 こちら
新規装置開発(メカ、ソフト、エレキ)の募集概要は、 こちら
精密加工ツール、ダイヤモンド砥石開発(化学、材料系)の募集概要は、 こちら
編集後記
改善活動PIMに社内通貨Will。取材で知ったディスコの社内制度は、これまで他社で聞いたことがないものばかりだった。
社員が活躍するための制度が既に整っているように感じられるのに、一歩その先を進み、社員たちの力でどんどんと会社を良くしていこうとする株式会社ディスコ。その可能性は今後もどんどんと広がっていくのだろう。
※インタビュー日:2024年1月19日