“会いたいけど、会えない・・・”恋愛?いや理系就活の話です! 企業が理系生とランチをしたがっている理由を聞いてきた。

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LabBase Media 編集部

“会いたいけど、会えない・・・”恋愛?いや理系就活の話です! 企業が理系生とランチをしたがっている理由を聞いてきた。

理系学生、院生のみなさん!自分が思っている以上に、企業はあなたに会いたがっているって知ってましたか?なぜかって、企業にとっては理系採用はまさにレッドオーシャン、奪い合いなのです。でも肝心の学生には忙しくて会えない…。 一方の学生も、就活は気になるけれど、忙しいし情報も入ってこないし、ハードルが高くてつい腰が重くなりがち。 そんな「会いたいけど、会えない」理系就活を成就させるべく立ち上がったのが、理系就活のプロフェッショナル「LabBase」のイベントチーム(メンバーももちろん理系)。「トレジャーランチ」と称し、忙しい理系学生と企業の出会いの場をセッティングする企画をスタート。理系学生に会えるなら喜んで大学に出向くよ(ランチ奢りで)!という企業担当者とタッグを組んで、全国でイベントを展開しています。 企画運営担当者にその思いを聞きました。

プロフィール



大野雅志:イベント部責任者
九州大学大学院総合理工学府を卒業。専攻は環境エネルギー工学。某大手自動車メーカーの内定を辞退してLabBaseを運営するPOLに入社。POLではインターン歴1年半の古株にも関わらず、入社式でフレッシュマン気取りだったのが一部の不評を買っている。

今泉七星:イベント部リーダー
豊田工業大学工学部先端工学基礎学科4年。POLでのインターン仲間が在学中または休学・退学してPOLに就職していくのを尻目に、学業も手を抜かずに器用にインターンするしっかり者。実際は、名古屋と東京を1週間ごとに行き来するバグった姿に社内全員が震えあがっている。イベント部は立ち上げから関わり、今までに会った理系就活生はのべ200人。


忙しい理系学生の就活。企業訪問ではなく、企業「が」訪問で実現。


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———まず「トレジャーランチ」の内容を教えてください。

大野 理系学生と企業担当者がオフラインで会えるイベントで、少人数のランチ会という形式をとっています。場所は大学の学食か、大学近辺の飲食店、人数は企業担当者含めて5、6人です。誰もが知る超大手企業から、新進気鋭のベンチャー企業まで多様な企業さんが実施されています。
理系学生って忙しくて研究室から出てこなかったりするんですが、さすがに昼飯くらいは食べますよね。その時間を、たまには研究室のいつものメンバーじゃなくて、普段会えない、かつ、会う価値のある人と過ごさない?っていうのが趣旨です。時間と場所はいつも通りで負担なく、と考えたら、学食に(笑)。

———「トレジャーランチ」が生まれた背景は?

今泉 私は大勢の理系学生に会っていますが、みんな共通して忙しいんですよね。就活をしようと思っても説明会に行く時間も取れない。まわりが就活でざわざわし始めてから「はっ!」となるので、その前段階で業界を研究したり色々な人の話を聞いたりという機会が極めて少ないんです。
「トレジャーランチ」をスタートさせる前に多くの学生からそんな意見を聞いて、じゃあ私たちが気軽にライトに負担なく業界や企業研究に繋がるような機会を作ろう!と思い、立ち上げました。
一方で、LabBaseのクライアント企業からは、優秀な理系学生に会いたいけど説明会やイベントに来てくれないという話は聞いていました。じゃあ待ってるのでなく、会いに行きましょう、せっかくなのでランチもご馳走しましょうと。

———理系学生は自分たちが売り手市場にいることを認識している?



今泉 そうですね、認識はあると思います。まったく仕事につけないということはないだろうとは思っているでしょう。かと言ってどこでもいいというわけではなくて、自分の経験を生かしてキャリアアップしていきたいとちゃんと考えています。だからこそ、短い時間でも企業担当者から聞きたいことをちゃんと聞けるように、という思いで企画しました。

大野 売り手市場だからそれでいいというわけでなく、学生と企業双方の可能性を最大化したいと考えています。学生は自分の能力を活かせて志向性も合う会社に納得感を持って入ってキャリアを積んで欲しいし、企業にとっても本当に自社を理解し、戦力となる可能性を秘めた人に出会ってほしい。トレジャーランチがそのためのきっかけになればと。

今泉 そう。だから、この会社では何ができて、自分がどうなっていくのか、自分の可能性をちゃんとわかった上で会社を決めてほしい。その方が就活自体も楽しくなりますよね。

———入社した後も、納得いくまで検討した経緯があれば、道に迷うことはないのかもしれませんね。企業主催の説明会ではそのあたりの深い話が聞けない?

今泉 説明会では一般的な情報しか聞けないとの声は多くありました。そのため、イベント部を立ち上げた際に、LabBaseの登録学生さんに、どんなイベントだったら参加したいと思うかをヒアリングしたんです。そのときに、説明会では聞けないような、企業のぶっちゃけ話が聞けるイベントなら参加したいと。確か9割以上が同じ意見でした。ぶっちゃけるなら大人数は無理ですよね。それで、これは少人数イベントにしなきゃだぞって(笑)。


近くで会ってみないとわからないことが、お互いにとっての重要因子。


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———企業の反応は?1回に会える人数の少なさを考えると、説明会を開催するより非効率かなと思うのですが。

今泉 企業が理系学生に会いたいニーズはとても高く、さらにLabBaseの学生は特に優秀なので、評判はとてもいいです。理系学生はエントリシートだけでは判断ができなくて、肌感というか、合う・合わないがあるようです。これはお互いに言えることですが、やはり会って話してみないとわかりません。スキルだけで採用するなら中途採用の方が効率がいい、新卒で採用することの意味は、組織における新しい風としての期待ですよね。となると、その肌感が大事になってきます。一口に理系職といっても会社によって性格は違うので。

———エンジニア職、研究職ほど、カルチャーマッチが大事なのかもしれませんね。

大野 ある企業は、高いAI技術を誇る会社にも関わらず、学生に求めるものは専門知識ではなく“アウトローな精神”だとおっしゃる。そういうことって説明会ではなかなか伝わりません。

今泉 エンジニアであっても、他部署への染み出しやビジネス観点を求めるよという企業もあるし、逆に、業務とは関係なく興味があることに何パーセントか時間を使っていいよという企業もあります。そういうことって学生の側にもなかなか伝わらないし、企業にとってもエントリーシートに書いてあるスキルでは学生の適性を判断できません。
結局、うわべだけの判断ではだめで、少人数でちゃんと話したいというニーズはお互いにあるのだと思います。

———カルチャーマッチ以外で企業が課題に感じていることはどんなこと?

大野 企業イメージと獲得したい学生層がミスマッチしているケースにも苦労しているようです。例えば、自動車会社は自動運転技術の開発のために情報系の学生が欲しいと思っています。でも実際には機械系の学生が集まってきます。自分の企業を選択肢には入れないだろうけど、実は活躍フィールドがあることを伝えたいというニーズもあるようです。


企業は地方の理系学生に会いたがっている!


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———「トレジャーランチ」は北は北海道、南は九州まで、全国に広がってきました。

大野 地方学生のニーズというよりは、企業のニーズとして地方開催は増えてきました。他社がまだ手をつけていない優秀な学生に接触したいということとが一つ、それに加えて、リクルーターが地方の学生獲得に積極的ではない場合の代替手段として「トレジャーランチ」を活用されています。

———地方の理系学生の就活は首都圏と比べて差がある?

大野 東京とは大きな差はあると思います。それぞれがそれなりに頑張っていても、平均として差は大きい。活発度、スピード感はやはり違います。できる範囲で最善と尽くすという人が多いですね。企業訪問するにも時間とお金がかかるわけですから。

今泉 私も地方出身なのでよくわかります。東京に出てきて、情報量にびっくりしました。

大野 僕も九州大学だったのでわかりますが、地方の理系就活生は自分自身の活躍フィールドが実は広くあることに気づいていない人も多いように感じます。自分の思っている以上に市場価値がある可能性は大きいと声を大にして言いたいですね。実際、企業もこぞって地方に出向いているわけですから。
地方の大学がある分野に特化して特に秀でているというケースも多いです。例えば会津大学や兵庫県立大は情報系が強いなど、優秀な学生が地方に埋もれているのも事実で、企業もそこには気づいています。


———これまでの開催実績、企業の顔ぶれを教えてください。

大手通信会社やAIベンチャーが九州大、データサイエンス系の企業が東京・電通大で、ソフト開発会社が北海道大で、あとは大手自動車メーカーが東北大、大手通信会社が東工大、ウェブサービス提供会社が筑波大など多くの事例が発生しています。ベンチャー企業の参画も増えてきました。

———「トレジャーランチ」ならではの、こんな話が聞けた、盛り上がった事例を教えてください。


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今泉 知名度は低いけれど実はすごいという企業は実際あるし、学生のウケもいいです。私が印象に残っているのは、目の前の学生を採用したい!という前のめりなの姿勢ではなくて、いろいろ話しながら、「5年後、10年後、いつかこの世界で一緒に働けたらいいよね」という話。なんだかグッと来ました。

大野 IT系の企業が、今ITをメインで学んでいない農学部の学生に会った際、「今のバイオの研究が、農業分野を支えるシステム開発にも繋がるんだよ」と話されたこともありました。自分でも気づかなかった自分の可能性やフィールドに気づける機会は貴重だと思いました。

———「トレジャーランチ」で学生から企業へどんな質問が出ますか?

今泉 大企業とベンチャー企業の違いについてはほぼ毎回出るような気がします。あとは業界について詳しく知りたいとか、実際の働き方はどうかなど。人事の人は学生のどの部分を見ますか?という質問も割と多いですね。様子をうかがいながら、決して大人数の説明会では聞けない質問を投げかけてますね(笑)。

今泉 大企業とベンチャーの違いについてはそれぞれのメリット・デメリットを経験に基づいて話してくれます。意外とどちらも経験しているという人が多いんです。

大野 働き方の部分については、ぶっちゃけ話をしてくれますね。残業はどのくらいとか、リアルな1日のスケジュールとか…。

———これから「トレジャーランチ」をどう育てていきたいと思っていますか?それも含めて、理系学生にメッセージをお願いします。

大野 地方も含めてより多くの学生さんに、いろんな企業と出会って欲しいと思っています。様々な業種や規模の企業さんに会えるように、全国で企画していきたいと考えています。

今泉 みなさん、可能性を秘めているけれど自分では気づけていないことがあります。このイベントがそれに気づくきっかけになったら嬉しいです。1歩行動するだけで、一気に見える世界が広がります。まずは踏み出して欲しいなと思います。

———イベントに参加した後、企業からの猛烈アタックが来るということは…?

大野 個別にやり取りをするということはあり得ますが、それよりは学生がその企業に興味を持ったら個別にオフィス訪問を設定してくれたりというような“いい関係”ができてきつつあるかなというのが現状かと思います。ごり押しといった例は聞かないですね。長期的に時間をかけてお互い知り合っていきましょうというスタンスが多いと感じています。
M1の2〜3月から就活を始めるのではなく、もっと手前から長い時間をかけて情報収集した方が絶対にいいので、そういう使い方をしてもらって、いろんな企業に会ってもらえればと思います。


「トレジャーランチ」へのお問合せは こちらよりお寄せください。



ライター
ふるた ゆうこ
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