行動経済学におけるナッジの概念は、日本でも省エネ行動を促進する情報提供サービスなどの分野で定着し、私たちの日常生活にも広く活用されるようになりました。一方で、ナッジを設計するための統一的な理論的枠組みは十分に確立されていません。
当研究所では、人間の心理反応を「生物学的な合理性」として理解する進化心理学の視点を基盤に、ナッジをより効率的に設計する枠組みの確立を目指しています。具体的には、環境配慮行動の促進などの課題を対象に、理論の構築から実証・応用まで一貫して行う研究を進めています。
本研究テーマは、従来の行動経済学、アンケート分析に必要な心理学や統計学の他、進化生物学、進化シミュレーションなど、複数の分野が融合する学際的なアプローチを取っています。また、北米やヨーロッパなどの海外研究者とも連携し、各分野の最先端の知見を取り入れながら研究を進めています。
これまでの成果の一例として、以下の論文をご覧ください:
・Komatsu, H., Kubota, H., Asano, K., Nagai, Y., Salmon, C., Widman, D., Oberzaucher, E., Wade, T. J., Kennair, L. E. O., Fisher, M. L., Burch, R., Takikawa, R., & Rice, S. (2025). The influence of familial nudging on attitudes toward climate change and monetary contributions: An exploration of ease and difficulty with evidence from Japan, Canada, the USA, and Norway. Sustainable Futures, 10, 101402.
・Komatsu, H., Kubota, H., Tanaka, N., Griffin, M., Link, J., Geher, G., & Fisher, M. L. (2022). Cross-cultural comparison of nudging effects for environmental protection: A case-study of risk-averse attitudes toward disposable plastics. PLOS ONE, 17(11), e0277183.