ノーマークから第一志望への繰り上げは、自分の本音に気付けたから

―― 前回の記事でもお伺いしていますが、あらためて学生時代の研究内容と就職活動にどのように取り組んだかを教えてください。
中高時代にフルート奏者として吹奏楽に打ち込んだ経験から、「音」にまつわる物理を学びたいと考え、電気・情報系の学部で音響工学分野の研究に取り組みました。人間の耳には聞こえない周波数帯域の空中超音波が主な研究対象でした。
研究室でシミュレーション→プロトタイプ作成→実験のサイクルを繰り返すなかで、ものづくりの面白さも身近に感じていました。また、AIなどと比べるとアプリケーションがやや限定的な分野を学んだからこそ、専門知識を活かせる就職先を探していました。そのため、就職活動開始当初は音響機器や超音波技術関連のメーカーに絞ってインターンシップの応募先を検討していました。
――そこからどのようにしてシーメンスを知り、入社するに至ったのですか?
シーメンスを知ったきっかけは、LabBaseのスカウト機能です。採用担当者からの「音響知識が活かせますよ」というメッセージに興味をひかれ、すぐに面談を申し込みました。その後内定をいただくまでに、長時間の面談・面接が複数回ありましたが、「しっかり話をすることで、研究内容や人間性を丁寧に見てくれているんだな」と感じ、信頼できると思いましたね。
なにより、面談を重ねるうちに「いろいろなものづくりに携わって広い視野を持ちたい」と考えるようになりました。具体的な製品というより、プロセスや技術含め「ものづくりそのもの」に対する興味が強いという、自分の本当の気持ちに気付くことができたんです。「多種多様な業界・企業にDXソリューションを提供するシーメンスでなら、理想のキャリアを実現できそうだ」 と感じ、入社を決意しました。
解析対象の共通点に着目し、「応用可能な解決策」を探る日々

――現在の所属と、詳しい業務内容の説明をお願いします。
シミュレーション・ツールを提供するSimcenterのカスタマーサポート本部に所属し、技術面のお問い合わせ対応や資料作成などのテクニカルサポートを担当しています。製品の使い方や解析の具体的な手法に関するお問い合わせの対応が主な業務内容ですね。
新規に製品を導入したお客様や、特定の課題を抱えたお客様を対象にトレーニング講師役も務めています。受け身姿勢で質問に答えるだけでなく、お客様の元を訪問して使用感をヒアリングし、拾い上げた要望への回答や技術資料を準備してプレゼンのため再訪問することもあります。
サポート対象のアプリケーションは多岐にわたります。しかし、シミュレーション対象とする物理現象は共通であることがほとんど。例えば、私の担当製品は騒音レベルの評価をする場合、解析対象とするアプリケーションは異なっても、振動現象を扱うことになります。
そのため、お問い合わせに答えるときには、「このお客さまのこの製品の操作方法」ではなく、解析対象の物理現象を評価でき、お客さまのものづくりプロセスにとって効果的でもあるという、両軸で解決策を考えるようにしています。
――ものづくりの専門家であるお客様からの質問には、高度な内容が含まれていそうですね。お答えするのに必要な知識・スキルはどのように習得されたのでしょうか?
テクニカル・サポート業務には、主に二種類のスキルが求められます。
一つ目は、お客様と良好な関係を築くためのコミュニケーション・スキル。これは配属後のOJTで先輩社員の受け答えの様子を観察し、取り入れていくことで習得しました。
二つ目は、質問に的確に答える技術面の知識・スキル。これも、社内の各領域の専門家から学ぶことが多いですね。各領域のベテランが若手の教育のためにも在籍しているので、 現場での経験も含めて幅広い知識を教わっています。
お客様のWebサイト内の製品・技術紹介を見て、求められる機能の詳細を確認することも。ほかにも、解説動画を見たり、ものづくり関連のニュース・メディアの記事や市販の参考書を読んだりと、さまざまな媒体を見ながら独学での知識習得にも努めています。
幅広い知識が求められるからこそ、お客様への貢献も実感できる

――仕事のやりがいや面白さを教えてください。
もともとものづくりが好きだったので、お客様の具体的な課題を聞くだけで楽しいですし、扱うアプリケーションの幅広さにも面白さを感じています。入社前に期待したとおり、いろいろなものづくりを知ることができています。
問題を物理現象までブレークダウンして考えることができるのも面白いです。「音」の解析はつまり、音の発生源である「振動」、振動を生み出す「構造的な振る舞い」の解析。ときには「熱」の観点から考えなければならないこともあります。自分の知識を総動員して課題を解決できたときには大きな達成感があります。
シミュレーション技術はいまや効率的なものづくりに不可欠で、これがなければ多くのお金と時間を費やして実物での実験を繰り返さなければなりません。ベンダーとして最適解の提供に努めているので、効率化のために自分が考えた指針が想定どおりの成果につながったときには、ものづくりへの貢献を実感できて喜びもひとしおですね。
ただ、面白さと大変さは表裏一体。広範囲の知識のキャッチアップにはいまでも苦労しています。チーム内にはメーカー出身の中途社員も多いので、現場経験者同士の会話についていけないことも。でも、「今の話、詳しく教えてくれませんか?」と訊けば快く答えてくれます。自分が経験してきていない現場知識でも、チームメンバーに教えてもらうことができる環境ですね。
――先輩の経験談もご自身の糧としているのですね。部署内でも質問がしやすい環境づくりが意識的に行われているのでしょうか?
私の部門には約90人が在籍しており、その中で10人前後のチームに所属しています。週の約半分は在宅勤務ですが、各自が抱える技術的課題を共有するミーティングが毎日設けられているので、勤務場所に関係なくお互いに助け合って働くことができています。
皆さん必要なことは質問するし、自分の意見もどんどん言うスタンス。私も最初は「こんなこと聞いて大丈夫かな」と思うこともありましたが、いまでは臆さず自分から質問・発信できています。新入社員研修の総仕上げ課題が「自分の意見を社長にプレゼンすること」でしたし、会社全体で「自発的な発信」を推奨していることが感じられますね。
キーワードは「好奇心」と「多様性」

――今後のキャリアについて、どのような目標・展望を掲げていますか?
特定の物理現象だけを扱うのではなく、包括的な視野を持ったエンジニアになりたい。そのために、目の前の仕事を通してそれぞれの物理領域に関してスキルを磨き、それらを繋ぐことで対応できるアプリケーションを増やしたい。この二つが現在の仕事面での目標です。
シーメンスには子育て中のエンジニアも多く、先輩や同期が男女問わず育児休暇を取得する様子を見ているので、ライフイベントに左右されずに働き続けられる安心感はありますね。
女性エンジニアの絶対数が少ないので、同じチームになることはあまり多くありません。でも、他のチームの女性社員とランチや飲み会などでよくお話ししています。仕事の話も、女性特有の悩みなどのプライベートの話も、必要なときに気軽に相談できる心強さを感じています。
――どんな人がシーメンスに向いていると思いますか? ともに働きたい人物像と合わせて教えてください。
「好奇心が旺盛な人」ですね。シーメンスが扱う製品ソリューションは多岐にわたるうえ、常にアップデートされているので、キャッチアップは本当に大変です。でも、いろいろなことに興味を持てる人なら、膨大な情報の吸収もむしろ楽しめるでしょう。
入社時点の具体的な知識・スキルよりも、抽象的・総合的な「学ぶ力」が重要だと感じています。それさえあれば、学生時代の専攻がなんであれ、仕事を通じてどん欲に吸収していけるからです。
自分と異なる考え方をうまく取り入れられる人にも活躍の場がある会社だと思います。いくつかの会社が合併を重ねていまの形態になっているシーメンスには、多種多様な文化や考え方を持つ人たちが所属しています。みんなでよいところを出し合い、悪いところを補い合うことでシナジーが生まれるので、多様性を受け入れられる柔軟な人と一緒に働きたいですね。
――最後に、現在就職活動中の学生にメッセージをお願いします。
進路を考えるにあたって、自分の可能性を狭めてしまわず、興味関心をとことん深堀りしてほしいですね。好奇心って、生まれ持った素質以上に、深掘りする「癖付け」が大事だと思うんです。興味の対象に敏感になり、深堀りする癖をつける。そうして身につけた知識はいつか何かの役に立つので、常に意識してほしいです。
ものづくりが好きな人は、シーメンスでの仕事を心から楽しみ、活躍できるでしょう。ぜひ挑戦してみてください。
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#### 編集後記
機械工学系以外の出身でも、専門知識を活かしてものづくりに貢献できる。そんなメッセージが強く伝わってきたインタビューだった。あらゆる業界でDXが進むいまだからこそ、山本さんのように学生時代のバックグラウンドを活かしつつ、未知の領域もどん欲に学び、業務に応用していける人材がより一層求められているのだろう。
子育て中のエンジニアも多く、お互いに助け合いながら働く環境が整っているシーメンスは、専門家としてのキャリアを築きつつ、プライベートも大切にしたい学生には最適な職場となるのではないだろうか。
※所属・内容等は取材当時のものです。(2025年1月公開)
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