金融インフラシェアNo.1のインテリジェント ウェイブ 高い技術力を武器に新規事業へ挑戦

インタビュー

LabBase Media 編集部

金融インフラシェアNo.1のインテリジェント ウェイブ 高い技術力を武器に新規事業へ挑戦

金融インフラ分野のトップ企業・インテリジェント ウェイブは、高い技術力と実績を生かして放送業界の新規事業でもチャレンジを仕掛けている。金融と放送という異なる業界にまたがって安定と成長を両立する開発現場の、第一線で活躍する二人の技術者に仕事の面白さを伺った。 株式会社インテリジェント ウェイブ: システム開発とシステム製品(ハードウェア、ソフトウェア)販売という二本柱の事業を持つ。同社の情報処理技術は、主にクレジットカード決済のオンラインシステムに使われ、24時間365日、リアルタイムで確実なカード取引処理に利用されている。また、自社製パッケージソフトウェアを中心に顧客の業務システムを開発・保守することも、同社のシステム開発の特長。特にクレジットカード決済処理システムの分野では、国内トップシェアの自社製パッケージソフトウェア「NET+1(ネットプラスワン)」を保有し、カード会社向けオンラインシステムの中核として使われている。

開発の一部でなく全体に携わることができる仕事



――お二人の専門分野やインテリジェント ウェイブでの業務を教えてください。


熊倉:私は大学の工学部出身です。情報を扱う工学系で、研究室の専攻はプログラミングでした。新卒で入ったシステム開発会社では、システムエンジニアとして大規模なシステムの中の一部を担当し、インフラを支える仕事の魅力を知りました。そこで、もっと幅広く深く、受注から運用まで全体を見る仕事がしたくなり、インテリジェント ウェイブに転職しました。


当社には、NET+1と呼ばれる製品を使ってシステムを構築する部隊と、製品自体を作る部隊があります。私は後者で、システムインテグレーター(SIer)からの要望を受け、製品を改修する仕事に従事してきました。今は新製品も作っており、いかに良い製品を作るかに注力しています。


:私は実は文系で、学生時代は商学部で社会学を学びました。ただ、趣味でやっていたプログラミングが面白くて、システム開発企業に絞って就職活動をしているなかで、証券系のシステム開発をしている当社を格好いいなと思いました(笑)。会社規模も大きすぎず、面接では開発の一部分でなく全体に携われると聞き、入社しました。


当初、希望通り証券系の部隊に配属され、SIerからの請負で証券会社のシステム開発やシステム導入を担当しました。2~3年目から現在までは、通信ミドルウェアのRIX AGENTや、Will-Trade、FESなどのパッケージ開発を中心にやり、ここ数年は FPGA(現場で書き換え可能な集積回路)の製品開発も手がけています。


ほぼ全てのクレジットカードで使われている技術力



――クレジットカード決済のシステムを扱う既存事業は、金融インフラ市場で唯一無二の存在感がありますね。


熊倉:私が担当しているNET+1は、クレジットカードを発行するカード事業者向けです。24時間365日止まらないシステムで、安定した運用実績から多数のカード事業者に採用され、コンビニエンスストアのATMの通信部分を担うなど、生活に不可欠なインフラに使われています。市場シェアはNo.1で、クレジットカードのほぼ全てで、システムのどこかしらに当社製品が使われているのは客観的にすごいことですね。店でカード決済をすると、レシートに当社のシステムを通ったことが印字されるので、レシートを見るのが楽しいんですよ。


――カード決済事業における強みは何でしょうか?


熊倉:まず技術力では、サーバーとして「Stratus ftserver Vシリーズ」や「NonStopサーバ」と呼ばれる「止まらないコンピューター」のようなものや、いわゆるLinuxのオープン系に対応した製品もあります。お客さまの多様な要望に添うマルチOSやソフトウェアを、似た条件下で24時間365日使えるようにする、互換性の技術は当社の強みです。


もう一つは、30年以上にわたる実績ですね。クレジットカード業界は、各カード会社固有の業務知識が多く、CAFISやVISAなどで決済ネットワークの情報フォーマットも決められている独特な世界。改定があれば、当社はその情報を他社とシェアしながらやっていける強みがあります。つまり、 さまざまなOSに対応しながら、各カード会社向けの業務知識を組み合わせることで、他との差別化が図られている会社です。


――最近の決済のキャッシュレス化は、事業にどう影響していますか?


熊倉:カード会社は止められないシステムであるがゆえに、より安定している「古くて枯れた」技術も使われ続けています。一方、キャッシュレス決済は事業者が増加中で、多様なフォーマットがあり、オープンシステムで作る新しいものに追随しなくてはいけない。古い技術を持ちながら、いかに新しい時代の波への対応と両立するかが課題です。


当社の次世代NET+1はまさに新旧の技術をつなぐ製品で、現行の使い勝手の良さは生かしながら、新しいものを取り入れ、オープンシステムで作っています。トレンドを知り、従来の技術とつなぐ仕事ですから、新旧どちらかの強みを持つ人は力を発揮できますし、やりがいも大きいですね。


興味から始めた技術で、放送業界の新規事業に挑戦



――新規事業で進出中の放送業界では、どんな価値を提供していますか?


:放送業界は4Kや8Kの放送が始まり、今まさに変化のタイミング。既存のSDIケーブルを使ったシステムではなく、最近はIPネットワークを使って番組を制作するという世界的な流れがあります。そこで、当社の既存技術を発展させ、IP化された放送のネットワーク品質を監視するシステムの提供を始めました。金融系で扱ってきたIP領域の知見や知識が生きています。


ある放送局で番組のIP放送の事前検証で、当社のEoMという放送品質モニタリング製品が異常を検知し、トラブルを回避できた事例がありました。放送業界の人も「やはり、こういう製品が必要ですね」と納得してくださり、緊張感のある放送の現場でわれわれの技術力が生きると再認識しました。


――金融と大きく異なる放送業界の新規事業をどのようにしてつかんだのでしょうか。


:当社が取り扱っているハードウェアを出展した技術展示会で、放送業界のお客さまから「放送もIP化の流れがあるので使えないだろうか」とご相談いただいたことがきっかけです。そこで、当社の従来のソフトウェア開発とは別ですが、ハードウェア上に情報を書き込んでプログラムするFPGAを使って放送のスイッチング(映像の切り替え)ができるのではと提案し、依頼をいただきました。


FPGAは、ビジネスになればと思って休日に趣味で始めたものだったので、すぐには作業に慣れず、納期のプレッシャーの中で試行錯誤しましたが(笑)、最終的にお客さまから良い評価をいただきました。それが後に、放送IPネットワークの監視製品の共同開発にもつながりました。


――自分の興味のある技術が新規事業につながるとは、非常にドラマチックですね。


:この他、FESという自社のCEPエンジンの既存製品を新しい技術と組み合わせて、新しいものを生む取り組みもやっています。未経験の放送業界なので、お客さまとの話も刺激的で、新しい知識や技術がどんどん入ってくる面白さがあります。


従来の得意分野が武器になることも、強く実感しています。放送品質を担保し向上させるフェーズで、お客さまがわれわれを頼りにしてくださり、ディスカッションを通じて製品自体も良くなっていく。 放送業界の発展につながることをダイレクトに感じられます。通信とマルチメディアはプログラミングの中でも技術的に難しい筆頭分野と言われますが、 通信技術をやってきたわれわれが放送系の映像処理技術も手がけている現状に、技術的に優れた場所で成長できる喜びを感じています。


――放送業界での今後の方向性をお聞かせください。


:全社的にFPGAを活用したビジネスもやっていこうと、皆でアイデアを出し、研究・開発を進めています。トップダウンではなく、メンバーそれぞれが出すアイデアをベースに進めているので、技術者のやりがいも大きく、会社としても良い方向に成長していると感じます。


「見えない部分」を支える企業の技術力に注目



――インテリジェント ウェイブの技術者には、どんな人が向いているでしょうか。


熊倉学び続けて、自分で課題を見つけて乗り越えて、最終的に自走できるような人ですね。世の中の動きは早く、従来のやり方はすぐ陳腐化して、より良いやり方が出てきますが、 新しいものへのチャレンジと同時に、古い技術の良さも理解し大事にしてほしいです。


:入社時の面接で、趣味で音楽をやっていると話したら、当社の元会長が「音楽をやっている人は向いている」と言って、文系出身の私を採用してくれました(笑)。プログラミングの開発はクリエイティブな仕事なので、どんな分野であれ何かを作ることが好きな人に向いていると思います。


――最後に、ご自身の学生の頃を思い出しつつ、現在の就活生にメッセージをお願いします。


熊倉:意外と見えないところでいろいろなものが動いているよ、と言いたいです。BtoBの世界は、見えにくい分野でシェアを握っている会社があるんですよ。有名な企業もいいですが、見えない部分を支える会社がすごい最新技術を持っていることもあるので、ぜひ目を向けてください。


インフラ系の仕事は、不具合があるとニュースになる。だから、ニュースにならないことに誇りとやりがいを持つという働き方には、華々しさだけではない良さがあると思います。


:ネットワーク系は技術に信頼性や先進性が求められるので、新しいことができるし、技術的な好奇心を満たしながら深めていけて、チャレンジの機会も多い。最近は自分で作った製品も売れ始めていますし、EoMもいずれ世界に広まると思っています。


今は新型コロナウイルスの影響下で、放送業界は実際に集まって番組制作ができない分、リモートでのデータ活用が進み、当社には追い風になっています。就活は大変かもしれませんが、プラスなこともあるのでめげずに頑張ってほしいです。


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編集後記


管理職でありながら第一線でも活躍するお二人からは、インフラを支える開発現場の熱量がしっかりと感じられた。業界トップの実績にとどまらず、異なる業界で新規事業にチャレンジするインテリジェント ウェイブの安定と挑戦のバランス感覚は、技術者にとって極めて魅力的であるはずだ。ぜひ「見えにくい」分野にも目を向け、技術による社会貢献の選択肢を増やしてみてほしい。



ライター
水田 真梨
カメラマン
編集 部
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