時代が求める「マテハン」で社会に貢献

――学生時代の研究や就職活動についてお聞かせください。
理工学部で電気電子を学んでいました。具体的には基板を取り付けた模型を作り、その模型を自動運転させるシステムを研究しました。
ものづくりの経験を活かしつつ地元で働きたかったため、就職活動では製造系の地元企業を複数検討。オークラ輸送機の説明会に参加し、物を運ぶ・管理する「マテリアルハンドリング(マテハン)」の重要性を知りました。少子高齢化に伴う現場改善の要請と人手不足解消のために需要の高まるマテハン機器を作り、物流・製造業を支える仕事に魅力を感じたんです。
当社で働いていた学科の先輩に面談させてもらい、自分の専門性を活かせそうな会社だと改めて思いました。先輩は「働いている人の人柄が良いよ」と言っていて、実際に職場見学に行ってみると雰囲気の良さを感じましたね。当時、たまたまテレビ番組で当社が紹介される機会があり、それを見て自分が働く姿を鮮明にイメージできたことも大きかったです。
――入社以来、どのような業務に携わってきたのでしょうか。
最初にオークラグループ全体を対象にした新入社員の合同研修があり、扱っている商品やサービス、お客さまの特性などについて3カ月間学びましたね。その後の3カ月は機械、制御、営業などの配属想定部署での研修を受け、正式に制御課に配属されました。以来3年間ずっと制御設計を手がけています。
――入社前後で、イメージに変化はありましたか?
説明会通りの印象で、全くギャップはありませんでした。一方、業務に関しては変化がありましたね。入社前は「コンベヤなどを作る仕事」という漠然とした認識だったんです。トラックで運ばれてきた商品をコンベヤに載せるだけで物流倉庫に自動格納され、受注があればそこから自動出庫されるシステムを作る、という単純なイメージです。
実際は、コンベヤを動かすための情報をソフトウエアに書き込み、モーター駆動の指令を出すというように、細部にわたる配慮が必要でした。入社してみて、機器が無事に動くかは私の作業にかかっている、責任ある仕事だと考えています。
入社3年目で、2億円規模のプロジェクトを担当

――具体的な業務内容を教えてください。
物流センター内のコンベヤ動作に関する制御設計を担当しています。例えば物流センターでは荷物を関西方面と関東方面で仕分け、トラックに積んで出荷します。従来はこの一連の仕分けを手作業で行っていました。
このように、お客さまから作業を自動化したいという依頼をいただくことが多いです。人が担っていた作業を、いかに機械に置き換えるかが制御設計の肝といえます。当社では、まず営業と技術営業の担当者が現場で必要とする機能をヒアリングし、機械設計が設備レイアウトを考えます。そのレイアウトを基に、 「どういう動作をすればお客さまの求める能力を発揮できるか」を考え、仕様に落とし込むのが我々制御設計の仕事になります。
――部署間の連携がカギになりそうですね。
制御は機械あっての動作ですから、機械設計部門とは特に密なコミュニケーションが欠かせません。お客さまとの打ち合わせで要望や課題を詳しく聞き出すことも役割の一つです。
制御部門では常に20〜30件程度のプロジェクトが同時進行していて、よほど大きい設備でない限り、1つのプロジェクトにつき、制御設計は1人であることが基本です。責任感を持って業務にあたっています。
――制御設計を1人で担当するとなると、幅広い技術や知識が必要になりそうです。
当社が設計する設備はお客さまや現場ごとに仕様が異なります。お客さまが取り扱う搬送物によっても求められる知識はさまざまですね。お客さまが望む設備が技術的に実現可能か、受注前に判断しなければならない場面もありますし、他社製の機械を搭載する場合はカタログを読んで勉強する必要もあります。常に知識のアップデートが求められますね。
制御設計ではコンベヤの電源や制御盤、配線の設計といった作業が含まれるため、大学で学んだ電気回路の基礎知識が役立っています。とはいえ、新人研修などで必要な業務知識を身に付けられるので、専攻分野でなくとも心配はいりません。
――制御設計では、いつ頃から1人でプロジェクトを担当するようになるのでしょう?
入社1年目から担当することもありますよ。ただ、不明点やアドバイスは上長に相談できる環境があるので安心です。私も設計内容によっては、機械設計部門に「こういう能力を出すためにコンベヤの速度をどうすれば良いか?」と相談したり、研究開発部門に製品の仕組みを教えてもらったりすることもあります。
プロジェクト規模は数千万円から数十億円までと幅広く、現在担当している空港貨物関係の案件は、1空港あたりおよそ2億円規模です。若手のうちから大きなスケールの担当を任せてもらえるのは、挑戦のしがいがありますね。
難易度の高い案件を完遂し、成長を実感

――日々の業務で、やりがいや楽しさを感じるのはどんな瞬間ですか?
デスク上で悩んで設計した設備のソフトウエアが、実際に動いたときは、「自分が組んだ回路の通りに動いている!」という面白さがあります。一方、イメージ通りに動かないときは、改善の力が試されるようでやりがいを感じます。
――これまでに「良い仕事をした」「やりきった」と感じた経験を教えてください。
オフィス家具の物流センターにおいて、30年前に納入された当社製のコンベヤ設備を新しいものに入れ替えるプロジェクトです。難易度が高いプロジェクトであったので、今でも印象に残っています。現在とは大きく異なる旧設備の部品や制御のシーケンスについて、古いカタログや図面を読み解きながら理解し、設計を進めました。通常は連続して工事を進めるため期日にも余裕があるのですが、この案件はセンターを通常稼働しながら定休日に少しずつ新しいコンベヤへ入れ替える必要があったんです。限られた時間内に入替作業を行い、翌日には設備を通常稼働できる状態に戻すことを繰り返していたので、センターの稼働を止めるようなミスは絶対にできないという緊張感が常にありました。
――考慮すべき条件が多く、不安もあったのではないでしょうか。
不安でしたね(笑)。納入前はセンターに何度も足を運びました。約4カ月の工期中は、それこそ設備に一日中張り付いて、商品の搭載方法やコンベヤ設備の動作などを動画に記録して勉強したり、「予定通りに作業が終わらないのでは」と冷や汗をかいたりしたことも。しかし、現地作業を意識した設計をするという面で学びが多い現場でした。部品の手配忘れや根本的な設計ミスが工期の遅れに直結してしまうので、基本を見直す機会にもなりましたね。
もともと、このプロジェクトは設備の入れ替えに際して他社と迷った末に当社を選んでくれていたお客さまでした。「オークラ輸送機を選んで良かったです」という言葉を最後に聞けたときの達成感と満足感は忘れられません。
「意見を言える」から成長しやすい

――オークラ輸送機の社風やカルチャーを教えてください。
一番の特徴は、意見を発信しやすい風通しの良さですね。互いの個性を認め合うアットホームな社風で、制御課の定例会議でも年齢や経験に関係なく意見を出し合うことができます。
相手が50代のベテラン社員であっても、疑問点があれば自分の意見をはっきり伝えることもあります。しっかり根拠を説明しようとすれば快く耳を傾けてくださいますし、議論を重ねる中で自分の考えが変化することもあり、良い学びの機会になっています。発言しやすい環境のおかげで、より成長できていると実感しています。
――制御設計の技術者としての目標を伺えますか?
直近の目標としては、まだ経験のない仕分けシステムの制御について経験を積んでいきたいです。中長期的には、お客さまの生産性や利便性アップのために、より良いシステムを提案できるエンジニアになりたいです。
――制御設計の仕事にはどんな能力が大切だと考えますか。
1人で完結できる仕事ではないため、コミュニケーション能力が重要視されます。現場で設置・調整する工事の専門家と丁寧なコミュニケーションを心がけることで、最終的にお客さまに良い結果を提供できます。率直に意見を伝えるだけでなく、お客さまに仕様を確認するなど「聞く力」も磨くことで、自己満足ではない価値ある仕事ができると思います。
――最後に、今後どんな人と一緒に働きたいか教えてください。
一筋縄では進まない案件も多いので、失敗しても諦めずに立ち上がれる人と一緒に働きたいですね。トライアンドエラーを繰り返しながらやり切れる粘り強さがモノをいいます。
制御設計は、大学で電気電子を学んだ人には取り組みやすい仕事ですが、研修では業務に必要な基礎知識を学べるため、それ以外の理系学生でも十分活躍できます。専門性にこだわらずチャレンジしてもらいたいですね。
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#### 編集後記
物流拠点内のマテリアルハンドリングという「物の動き」をつかさどる領域で、機械の動作を決める制御設計。オークラ輸送機の制御設計部門では、若手も数十億円規模のプロジェクトに参画でき、仕事への責任感や自律性を発揮しながらスキルと自信を深めていけることがうかがえた。理系の専門知識や研究で培った粘り強さを活かし、風通しの良い環境でさらなる成長に向けて挑戦してみてほしい。
※所属・内容等は取材当時のものです。(2023年2月公開)
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