先輩社員がロールモデル! 村田製作所で専門性を活かして輝く女性技術者の情熱とキャリア

インタビュー

LabBase Media 編集部

先輩社員がロールモデル! 村田製作所で専門性を活かして輝く女性技術者の情熱とキャリア

電子部品メーカーとして名高い村田製作所では、電気系以外の分野出身の技術者も活躍していることをご存じだろうか。有機材料分野のバックグラウンドを持つ入社4年目の女性社員の働き方を、マネジメント担当者の視点と併せて紹介したい。同社で実践が進む、出産・育児などのライフイベントと両立する理系キャリアのリアルについても伺った。 株式会社村田製作所: 村田製作所は、セラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行う世界的な総合電子部品メーカーです。 独自に開発、蓄積している材料開発、プロセス開発、商品設計、生産技術、それらをサポートするソフトウェアや分析・評価などの技術基盤で独創的な製品を創出し、エレクトロニクス社会の発展に貢献しています。

困った時は必ず誰かが助けてくれる会社



――就職活動の際に「重視したこと」を教えてください。


兵井:職場は1日のうち多くの時間を過ごす場所なので、特に重視したのは社内の人間関係や雰囲気です。分からないことを尋ねやすく、円滑にコミュニケーションが図れる会社がいいな、と。大学院のOGが村田製作所に勤めていて、「真面目で優しい人が多く、困った時は必ず誰かが助けてくれる会社」と聞いたのが印象的でした。


さらに、自分の専攻とのマッチングも意識しました。大学院での専攻は高分子合成という有機系の分野だったので、当社の電子部品事業とは距離を感じていたのですが、電子部品は有機材料と無機材料の組み合わせで成り立っていると知ったんです。「専攻を活かしつつ無機材料の知見を増やせたら、仕事の幅が広がって楽しそう」と感じたことが決め手になりました。


西田:私は、新しい製品を世に出して人に喜ばれる技術者になりたいと考えていました。材料開発の勉強をしていたので、村田製作所なら材料から関わって電子部品業界で価値創出を実現できそうだと感じたんです。


入社前には先輩社員との交流を通して、当社の雰囲気の良さや、やりたいことをやらせてくれる社風を感じました。技術を大切にしている会社であることも、入社の後押しになりましたね。


――実際に入社して、イメージと違いはありましたか?


兵井困っている人を助ける優しさはイメージ通りでした。スケジュール管理や実験の進め方、顧客開発の手法など、あらゆる面で部門内外の先輩たちがサポートしてくれます。


若手にも裁量とチャレンジする機会を十分に提供してくれる点は、良い意味で予想以上でした。


西田:入社1〜2年目から、事業部の方針の大枠の中で具体施策の決定をかなり任せてもらえました。自分が考えたことに責任を持ちながら成長でき、価値創出の手応えも感じています。


新材料の創出をミッションとする研究開発



――現在携わっている業務についてお聞かせください。


西田:私たちは、全社のR&D部門であるマテリアル技術センターに所属しています。中長期的な事業・製品開発につながる、材料に関する新しいコア技術を作り出すことがミッションです。


私は材料プロセス開発部でシニアマネージャーを、兵井は磁気粘弾性エラストマという材料をテーマとする研究の主担当を務めています。磁気粘弾性エラストマは、周りの磁場の大きさによって硬さが変化する特殊な材料。触り心地を再現する遠隔検診用の触診デバイスなどへの展開が期待されています。


兵井:具体的には、材料特性を向上させる「材料開発」と、その材料の展開先を見つける「顧客開発」の二つを担っています。


材料開発は、磁気粘弾性エラストマの硬さの変化幅を拡大させる方向で材料設計を進行中です。磁気粘弾性エラストマの原料である磁性粉と樹脂の両方の設計を手掛けています。


顧客開発では、磁気粘弾性エラストマを使ったアプリケーションの展開先を探すべく、社外のデザイン会社と共同でデモ機を作りました。展示会への出展などを通じて、ニーズを調査しています。


――多様な可能性を秘めた材料研究をリードしているのですね。研究開発に求められる知識は、どのように習得していくのでしょうか?


西田:大学時代に専攻した材料工学の無機材料の知識も活かしつつ、新たな技術領域の知識も取り入れています。社内での技術教育訓練講座や社外研修など、学習環境は充実しています。


兵井:磁気粘弾性エラストマの原料のうち樹脂は有機材料にあたるので、「どんな構造の樹脂を使えば材料特性が伸びるか」などを考える際に大学院での学びが活きています。一方、磁性粉は電磁気学をベースとする固体物性の知識を要するので、社内の研修や有識者を通じて勉強しながら取り組んでいるところです。


――研究開発業務はどう進めていくのでしょうか。


西田:研究開発の初期段階のテーマを扱う部門で、1〜2人で1テーマを担当します。自ら実験計画を立て、タイムスケジュールを組み、実験を行って結果を考察し、定期的に進捗確認と方向修正をしながら実験サイクルを回していきます。


兵井:相談したいことが出てきた場合は、直属の上司にあたるマネージャーがいるのでサポート体制は万全です。2週間ごとに実験進捗を共有するミーティングでは、他部署の有機系・無機系の専門家に意見を求めることもでき、安心して研究開発ができる環境が整っています。


西田:兵井は入社2年目に現在の研究に参画後、比較的すぐにテーマリーダーになり、当初から自律的に材料開発・顧客開発に取り組んでいました。周りの人と良好な関係を築き、自然体で協力を求められるのは、彼女の人間性もあると思います。常に前向きに取り組む姿勢で、部門メンバーにも良い影響を与えています。


結婚・出産後も活躍する先輩社員がロールモデル



――「働き方」という側面について、社員のライフステージの変化と仕事の両立の現状を教えてください。


西田:当社では女性だけでなく男性の育児休職も増えていて、制度を積極的に活用する空気が醸成されています。マネジメントの立場から思うのは、出産や育児で職場を一時的に離れる人のキャリアが断絶せず続くようにしたい、ということ。在宅勤務や短時間勤務など柔軟な働き方ができる環境を活用すれば、ライフイベントに対応しながらキャリアの継続が可能です。


例えば兵井が扱うテーマでは特許の分析業務が発生しますが、これは在宅でも取り組むことができます。ライフステージの変化に対応するために、今からコツコツとそういった業務の知識を付けておこう、と相談しながら進めています。


――対話しながら現実的な道を作っていることがうかがえます。女性の活躍をサポートする「M-TWAP(Murata Tech Women's Advancement Plaza)」という仕組みもあるそうですね。


兵井:M-TWAPは、私が所属する滋賀県の野洲事業所で運営されている女性技術者のコミュニティーです。参加すると、先輩女性社員のキャリアについて聞いたり、仕事上の悩みや不安を共有・情報交換をしたりできます。実際に顔を見て話すことで、女性社員同士の横のつながりが生まれ、必要なときに相談できる安心感もあります。


結婚や出産を経験した先輩たちの姿は、育休や短時間勤務・フレックス勤務などの制度を活用しながら仕事を続けていけるというロールモデルになっています。先輩たちから、技術者としてはもちろん、マネージャーとしての働き方まで幅広く話を聞くことができ、自分のキャリア形成を考える上で心強いですね。


――社内の交流として、他にどんな機会がありますか?


兵井:私は週1で社内のテニス部に参加しています。退勤後に敷地内のテニスコートに直行して、2時間ほどの運動でリフレッシュ。また他部門の人と交流することで人脈ができ、仕事で困ったときに相談できる人が増えました。仕事に対するプラスの効果も感じています。


1年目の工場実習で一緒だった同期とは、プライベートでもキャンプなどに出かけます。同期の仕事の頑張りを知ることは、刺激にもなっています。


研究開発の成果が認められ社内表彰



――仕事のやりがいを感じるのはどんなときですか?


西田:事業部に所属していた若手の頃は、「自分が携わった製品が世に出てスマートフォンに搭載された」と家族や友達に話すとき、電子部品メーカーで働いていてよかったと感じていました。


材料開発というアーリーな段階に携わることで、新たなやりがいも知りました。新材料の高い性能を出すことや、デモ機をお客さまに提示して「面白いね」「こういう用途に使えそう」と好感触を得ることが大きな喜びです。


兵井自分の仮説を基に実施した実験で予想通り結果が出て、材料の特性が向上すると、大きなやりがいを感じますね。


西田:村田製作所では年1回、社長表彰や事業部長表彰という形で社員の働きを評価する機会があります。兵井は、研究開発で達成した成果が認められ、事業部長表彰を獲得したんです。業界的にも価値の高い特性の材料を開発した成果と、顧客開発にも主体的に取り組む姿勢がしっかり評価されました。


兵井:磁気粘弾性エラストマはまだ量産段階ではないものの、表彰されたことで社内報でも紹介されました。部門内外の人からお祝いの連絡をもらうなど、コミュニケーションも広がってうれしかったです。


――やりがいの大きい環境で、自身の成長を感じる機会も多そうです。


西田:大きい裁量の下、自分で考えて動く経験を積んだことで、仮説や予測の精度を上げられていることは技術者冥利(みょうり)に尽きますね。そこからの学びを、マネジメントにももっと反映させたいです。


兵井:実験の進め方も結果のまとめ方も分からなかったところから、少しずつコツをつかんで前進しているのを感じます。顧客開発におけるお客さまのヒアリングなど、新たなスキルを磨いている実感もあります。


――最後に、就職活動中の学生にメッセージをお願いします。


西田:専門性にかかわらず、当社では自ら考え行動できる人が活躍中です。「やりたいこと」を実現できる環境が整っているので、熱意のある学生さんはぜひ村田製作所に来てください。自分がチャレンジしたいことを見つけてさらに成長できるはずです。


兵井挑戦心を後押ししてくれるので、やりたいことがある人なら入社しても後悔しない会社だと思います。困った時に助けてくれる優しさが挑戦をバックアップする当社で、ぜひ一緒に働きましょう。


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編集後記


研究開発への熱意を持つ理系女性が、自身の専門性を活かしながら活躍する村田製作所。出産・育児などのライフイベントに合わせた働き方を真摯に考える同社の姿勢は、理系人材としてのキャリアを大切にしたい人の活躍を後押ししてくれる。ロールモデルとなる先輩社員が多数在籍する同社で、自身のキャリアの可能性を探ってみてほしい。


※所属・内容等は取材当時のものです。(2023年8月公開)


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ライター
水田 真梨
カメラマン
千々和 恵
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企業情報

株式会社村田製作所

株式会社村田製作所

村田製作所は、セラミックスをベースとした電子部品の開発・生産・販売を行う世界的な総合電子部品メーカーです。テレビ、PC、スマートフォンなど、村田製作所の電子部品は身の回りのあらゆる電子機器に使われており、私たちの活躍の場は、まさに「電気が使われる部分なら、どこでも」と言えます。 良い機器は良い電子部品から、良い電子部品は良い材料から作られます。だからこそ村田製作所では、材料から製品までの垂直統合型の一貫生産体制を構築し、材料技術、工程技術、生産技術、商品設計技術、分析・評価技術に至るまで、自社内で独自開発しております。すべての「モノづくり」の起点であり、原料の本来持つ特性を最大限に引き出す材料開発。世界トップレベルの革新的な「価値」を創造する商品開発。製品の性能と品質を追求し、唯一無二の設備を生み出し続ける生産技術。これら「モノづくり」の多彩なフィールドで活躍するのは、最先端の技術を駆使する、超一流のプロフェッショナルたちです。電子部品の進化は、世界を変える。その原動力は、村田製作所のエンジニアの知恵と情熱です。 そんな村田製作所の存在意義は「文化の発展に貢献する」こと。この社是は、村田製作所の創業当時から受け継がれています。すべての社員が同じ想いを持って、同じ方向を向いて役割を全うし、世の中の文化の発展に貢献していく。これまでも、そしてこれからも変わらず、同じ使命を胸に歩み続けていきます。 売上高 連結:1兆6,401億5,800万円(2024年3月期) 個別:1兆697億6,300万円(2024年3月期) 資本金  694億44百万円 (2023年3月31日現在) 営業利益  2,154億円 営業利益率 13.1%