パナソニックエナジーが女性技術者コミュニティ設立へ! キックオフイベントをレポート

インタビュー

LabBase Media 編集部

パナソニックエナジーが女性技術者コミュニティ設立へ! キックオフイベントをレポート

日本の電池業界をリードするパナソニックエナジー株式会社。同社は、2022年4月にパナソニックグループの電池部門を集結して設立され、現在は約19,000人(グローバル連結)の社員を抱える企業として成長している。今回はそんなパナソニックエナジー株式会社が、電池産業への貢献と発展を目的に創設した「MIRAI奨学金制度」と、女性社員がより自分らしい働き方を選べるよう立ち上げられた「技術者コミュニティ」のキックオフイベントをレポートする。 パナソニック エナジー株式会社: パナソニック エナジー株式会社は、日々の便利で快適なくらしを支える乾電池事業や、幅広い分野の社会インフラを支える産業用電池、車載用電池などのBtoB事業をグローバルに展開しています。「幸せの追求と持続可能な環境が矛盾なく調和した社会の実現。」がパナソニックエナジーの使命です。強い使命感を持ち、仲間と連携しながら未来を切り開いていきましょう。

2024年春始動!独自の「技術者コミュニティ」と「奨学金」



2024年春、パナソニックエナジーは、女性の技術者コミュニティ立ち上げと、未来の電池事業発展を目的に給付するMIRAI奨学金のスタートを決定しました。それに伴い、2024年4月5日、パナソニックが大阪府門真市に構える自社オフィス「Panasonic XC KADOMA(パナソニック・クロスシー カドマ)」にてキックオフイベントを開催。


イベントでは、技術者コミュニティで中心となる入社1〜3年目の女性社員が顔合わせを行い、今後の運営方法を話し合いました。また、新しくはじまるMIRAI奨学金についても、コミュニティメンバーへ詳細の共有が行われました。


未来の電池事業に貢献する学生へ。MIRAI奨学金の概要とは



まずMIRAI奨学金ですが、こちらはパナソニックエナジーが理系専攻大学生(学部・修士)に対して、独自に給付する奨学金です。今後の電池事業の発展に貢献したいと考えている理系学生を対象にしており、返済義務はなく受け取ることができ、受給による入社を前提としたものでもありません。


近年、理系学生の就職活動開始時期は年々早まっており、多くの学生が忙しい研究と両立して、就職活動を行わなければならない状況が続いています。MIRAI奨学金は、そんな研究や就職活動に忙しい理系学生が、より研究に集中できる環境づくりを支援することを目的とし、年間50万円の給付を行うものです。


奨学金の給付条件は、大学3年生、または大学院1年生で、電池事業につながりがある分野を研究している理系学生であること。そして、パナソニックエナジーの技術社員で構成されるコミュニティ活動に参加できることです。受給となる学生は、コミュニティのなかで自身の研究内容や受給後の変化を発表することが求められます。


MIRAI給付金に関するより詳しい内容は以下をご参照ください:
理系学生向け奨学金給付のお知らせ


安心して働き方を選べる会社へ。技術者コミュニティの概要とは



MIRAI奨学金と併せてはじまるのが、パナソニックエナジー社独自の女性技術者コミュニティです。このコミュニティは、パナソニックエナジーで働く女性社員のなかでも、特にキャリアパスに悩みやすい若い年代の方をメインに構成され、MIRAI奨学金を受けとる学生も参加予定です。


現在、約19,000人(グローバル連結)の社員がいるパナソニックエナジーのなかで、女性の社員比率は14.7%。部署を超えたコミュニケーションを促すため、オフィスを開放的な空間にするなど物理的な障壁をなくしているものの、日頃から女性社員たちが積極的に関わりをもつのはまだまだ難しい現状もあります。


技術者コミュニティは、そんな職場環境のなかで、女性技術者が年代や部署を問わず他の社員とつながり、将来のキャリアイメージをより具体的に持つことで、安心して働き方を選べる未来を実現するために設立されます。


コミュニティでは、他の女性社員との情報交換、気軽に相談できる場づくり、MIRAI奨学金を受ける学生との関わりなどが検討されています。また、社内外から女性技術者のロールモデルとなるような方を招いての講演会なども予定しています。


パナソニックエナジーでは、結婚、出産、育児などのライフイベントが予想される女性たちが、その時の状況に応じて安心して働き方を選べる環境が、今後ますます作られていくことでしょう。


就職、子育て、管理職。先輩社員のリアルストーリーを共有



キックオフイベントでは、セル開発統括本部 プラットフォーム開発部で部長を務める稲富さんから、これまでの生き様を紹介するプレゼンが行われました。


冒頭で稲富さんは、技術者5名に対し、「今日の話のなかに、皆さんが期待しているような明快な答えはないかもしれません。そもそも答えがあったのは、大学受験まで。社会人になってから、私は多くの経験と先輩たちからの教えに助けられました。今日お伝えする私の経験が、皆さんの糧や近道になればうれしいです」と話しました。


学生時代、電気化学・電池系研修室の修士課程を修了された稲富さんは、パナソニックエナジーの前身となる松下電池工業株式会社 研究開発部門へ入職。当時はまだそれほど認知されていなかったリチウム電池の研究開発に携わり、時には自らテーマを立ち上げながら、大学との共同開発にも従事されたそうです。


入社してからの数年を振り返り、「研究開発の難しさを感じながらも、理想を共有し専門性を磨くことの重要性を学んだ」という稲富さん。その後、入社から10年が経ち、開発していたテーマを終わらせることが決まったときには、やりがいがあったテーマだけに、苦しい思いをしながら研究をやめざるを得なかった過去について語りました。


参加している技術者たちは、リアルな経験に耳を傾けながら「今自分が関わっているテーマを終わらせなくてはいけない日がきたら、その時は自分は何を思うか」を自問。稲富さんは当時の自分を振り返り、悔しさの半面、上司に「研究テーマを正しく終わらせることも上司の仕事」と言われたことが、今でも心に残っていると話しました。



その後稲富さんは、研究開発を離れ、技術営業部へ異動。営業職として、実際のお客さまを目の前にすることは、面白さの半面、怖くもあったと語ります。電池という分かりづらいデバイスの良さを、どうお客さまに伝えたら良いのか悩みながら、技術営業の傍ら、研究テーマに関する論文執筆や講演会などにも積極的に取り組まれていたそうです。


時を同じくして、基幹職研修を受けた稲富さん。管理職としての一歩を踏み出しますが、ご自身の出産を機に育児休業を取得します。さらに、業務復帰から1年後には第二子を出産。 育児休業の時期はとにかく「やりたいことをやろう」と、子どもたちとの旅行や論文作成に取り組み、職場復帰後、資源・エネルギー研究所 蓄電池プロジェクト電池材料研究課の課長として、次なるキャリアを歩み始めます。


まだまだ男性の技術者や管理職が多いなかで、自身もキャリアに悩みながら歩んできた生き様を紹介し、技術者コミュニティの設立で一人ひとりが働きやすい環境をつくる一助になれば良いと話し、「一緒に未来を変えるエナジーになりましょう」と締めくくりました。


プレゼンのあとは質疑応答タイムへ。「これまでで一番思い出深い仕事は?」「働き方や仕事を決める際の判断軸は?」「学生時代にパナソニックエナジー(当時の松下電池工業株式会社)を就職先に選んでよかった?」などの質問が参加者から出され、稲富さんはそれぞれの質問に丁寧に答えてくださいました。


技術者コミュニティは今後どうなる? 意見交換会の内容まとめ



プレゼン後は、技術者コミュニティに関する意見交換会が行われ、女性社員5名に対し、以下のような質問が聞かれました。


まず、「現在働いていて感じる悩みはあるか?」には、


  • 課長職以上がほぼ男性のため、キャリアに関する相談をしづらい。もしくは、相談をしても理解してもらえているかが分からない。
  • 結婚を機に働き方を考えるようになったが、自分以外の部署の働き方に関して知る機会がない。
  • 男性ばかりの会議のときなどはトイレに行きたいということも言いづらく、居心地の悪さを感じる。

などの声が聞かれました。そのうえで、「これからコミュニティ内でやりたいことは?」には、


  • 他の女性社員の働き方について、まずはいろいろなパターンを知りたい。
  • 女性ならではの疑問やキャリアについて、気軽に情報交換ができ、かつ相談できる場所がほしい。
  • チャットのような場があると使いやすい。
  • 多くの人にアプローチできるチャットのほか、少人数で本音が言える場も作りたい。

といった意見が聞かれました。また、「現状キャリアに関する話を上司とできているか?」には、


  • 今は入社後間もないため、仕事もまだ覚えていないうちに産休などで休むと、戻ってきたときに自分の居場所がないかもしれないという不安から、「いろいろな仕事をできるようになりたい」といった話にとどまっている。
  • おそらく男性社員の方たちも、女性社員にキャリアやプライベートに関する話は聞きづらいのだと感じる。自分から恋愛観や結婚観、将来のありたい姿を先輩に尋ねることで、質問し返してくれることがあるため、コミュニケーション方法にも工夫が必要だと感じる。

などの声が聞かれました。これに対して、管理職である稲富さんからは


  • 男性管理職の方に、女性社員のキャリアイメージについて「ちょっと代理で聞いてくれないかな」と相談されることがある。皆さんが直属の上司に相談しづらくても、私のような役割がいれば解決することもあるし、今はそういう役割を担える人が社内にたくさんいる。コミュニティでは、そういう人と関わりを持てる機会を作っていくと良いと感じた。
  • 過去に私が思っていた悩みと、皆さんの悩みがそれほど変わっていないことに驚いた。当時は男性の上司ばかりで、「相談しよう」という考えにさえならなかったけれど、これからは技術者コミュニティを通じて気軽に相談ができる場を作っていきたい。

という感想が聞かれました。


キックオフイベントは2時間ほどで終了。緊張感とともに始まったイベントでしたが、稲富さんの率直なプレゼンに場が和み、イベント中盤からはそれぞれが感じている悩みや意見を出し合う様子が印象的でした。コミュニティでは継続的に意見を出し合い、今後の企画と運営を行っていくとのことです。


編集後記


キックオフイベントでは、パナソニックエナジーが自社の発展のみならず、電池産業そのものの発展を考え、未来を担う理系学生や女性技術者のサポートに力を入れている様子がうかがえた。MIRAI奨学金により、学生のうちから研究に集中できるだけではなく、コミュニティ設立により、その後のキャリアにおいても、より安心感と納得感のある決定ができる環境が整っていくことだろう。技術者コミュニティとMIRAI奨学金の動きに、今後も注目していく必要がありそうだ。


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※所属・内容等は取材当時のものです。(2024年5月公開)


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<Mission / Vison/ Will> 私たちPanasonic ENERGYが果たすべき「使命」、将来の「展望」、 そしてそれを実現させるために不可欠な「意志」を下記のように定義しています。 ■Our Mission 幸せの追求と持続可能な環境が矛盾なく調和した社会の実現 ■Our Vison 未来を変えるエナジーになる ■Our Will 人類としてやるしかない 詳細については下記動画をご参照ください https://www.youtube.com/watch?v=2-7DppOHdpQ <事業内容> 一次電池(乾電池、マイクロ電池)、車載用リチウムイオン電池、小形二次電池、蓄電システム等の開発・製造・販売 <エナジー社から皆様へメッセージ> 幸せの追求と持続可能な環境が矛盾なく調和した社会の実現。 これが私たちパナソニックエナジーの使命です。 あらゆるものが電気になるこれからの時代におよそ一世紀磨き抜いた 電池の化学技術、生産技術に制御やソフトフェアなどのデジタル技術を かけあわせて進化させながら、 世界中に届けようとしています 地球環境の維持は待ったなしです。 これ以上見て見ぬふりすることはできません。 社員としてではなく、人類として、やるしかない。 心からそう思える全ての人が、私たちの仲間です。 意志こそが未来を変える無限のエナジー。 あなたの意思を、ぶつけてください。