

理転のはじまりは「場所を変えたい」という好奇心
──就活のお話の前に、Yさんの少しユニークな経歴について教えてください。もともとは文系学部にいらしたそうですね。
Yさん:はい。学部時代は経済学部で、交換留学にも行きました。留学の動機も「4年間ずっと同じ場所に住むのは面白くない」という、刺激を求める気持ちからでした。その留学先で経済学以外の授業を自由に取れる機会があり、そこで統計学に出会ったのが今の研究に繋がる大きな転機でした。
──文系から理系の大学院へ進むのは、かなり大きな決断だったのではないですか?
Yさん:実は、留学中に履修した統計学の授業が、数式で世の中の現象を評価できる「ツール」として非常に面白く感じたんです。また、帰国後にマンツーマンで指導を受けたゼミの先生が海外の方で、英語でひたすら統計学の論文を読み、発表するというスパルタな環境でした。そのおかげで、文系から理系の大学院への進学に対して、数学的なハードルや抵抗感はあまり感じませんでした。
──理系の大学院に進んだ段階では、将来のビジョンはどの程度固まっていたのでしょうか?
Yさん:正直に言えば、「どうしてもこれがやりたい」というものはまだありませんでした。ただ、統計学という武器を修士レベルまで磨いておけば、今後の人生の軸になるという確信はありました。就活を始めた当初も、心から惹かれる会社が見つからなければ、まずはこの武器を活かせる道を探そうと考えていました。
色々な院生が集う環境からの刺激と企業を絞る勇気
──修士1年の春から就活を始められたとのことですが、周囲の環境はいかがでしたか?
Yさん:私の所属する東北大学の院生室は、7つほどの研究室の院生が1つの大きな空間に集まっている、少し特殊な環境です。常に誰かが就活の話をしていますし、研究と就活の両立に苦しむ先輩の姿も間近で見てきました。特に、インターンに通らずに焦って時間を使いすぎ、研究の進捗報告で教授から厳しく叱責されている先輩を見て、「自分も気をつけないといけないな」と強く思いました。
──その「反面教師」から学んだことは何でしたか?
Yさん:就活はできるだけ早く終わらせるべきだ、ということです。そのため、手当たり次第に受けるのではなく、本当に興味がある数社にリソースを集中させる戦略を取りました。具体的には、インターンには本当に興味があるところにしか応募も参加もせず、本選考まで進んだのはわずか3社です。
──少ないですね!不安はありませんでしたか?
Yさん:7月末の段階で、ベンチャー系のコンサルティング会社から内定を一ついただいていたのが大きかったです。LabBase就職を通じてスカウトをもらい、3日間のオフィスでのインターンを経て内定をいただきました。10名ほどの社員の方々と話す機会があったのですが、みなさん非常に優秀で、「もしほかの企業に内定をもらえなくても、この人たちと一緒に働けるなら幸せだ」と思える「お守り」があったからこそ、その後はさらに強気で絞り込むことができました。
「現場」と対話することの意味
──LabBase就職を使ってみて、他のサービスとの違いをどう感じましたか?
Yさん:まず登録の際、論文をアップロードするとAIが研究内容を自動で要約してくれる機能(※β版のため機能が変更される場合があります)が、忙しい理系学生には非常にありがたかったです。また、スカウトの質も高いと感じました。例えば、ある大手電機メーカーからはインターンで「書類選考をスキップして面接に来てほしい」という優遇ルートの提案がありました。
──「選考優遇」は、研究時間の確保において大きな力になりましたか?
Yさん:はい。理系学生は研究が本分のなかで、エントリーシートを何枚も書く時間を捻出するのは大変なので、選考優遇は役に立ちました。ただ、選考優遇以上に価値を感じたのは、LabBase就職経由のスカウトは「現場のエンジニア」と直接話せる機会が多かったことです。
──「現場の人と話せること」を重視されていたのはなぜですか?
Yさん:一般的な日本の大企業の採用だと、まず人事の方が出てきますよね。でも、人事の方は現場の具体的な業務内容や、技術的な詳細について質問しても「お答えできないので現場の人に聞いてお返事します」となることが多いんです。その調整のためにまた一週間待つ……というプロセスが、私には不誠実に思うことがありました。仕事の内容を知りたくて来ているのに、その場で解決しないことをもどかしいと感じました。
──その点、内定を決めた外資系ITコンサルティング会社はどうでしたか?
Yさん:まず、1社は最初からジョブ型、チーム単位の採用でした。面接が合計で6回ほどありましたが、毎回その部署のチームメンバーや上司となる人が出てきて、技術的な話を深掘りしてくれました。自分がどのチームに配属され、誰の下で働くのかが選考の過程で完全に見えていたので、ミスマッチの不安が一切ありませんでした。
また、もう1社もインターンの中で現場の社員と直接話す機会があったので、気になることはその場で解消することができました。
研究の進捗プレッシャーとメーカーでの違和感
──就活のピーク時、研究との両立で苦労した場面どこでしたか?
Yさん:研究の進捗報告は1〜2週間に一度必ずやってくるので、常に「何か発表できる成果」を出し続けなければなりません。実験がうまくいかない時期に面接が重なると、精神的にもタフさが求められました。
──大手メーカーのインターンにも参加されましたが、それはいかがでしたか?
Yさん:有名な大手メーカーのデータサイエンティスト職も検討しましたが、結局選考は受けませんでした。理由は二つあります。一つは、社内DXなどの「裏方」としての立ち位置が強く、データを使って新しいものを生み出すワクワク感に欠けると感じたこと。もう一つは、出会う社員の方との会話の中で「地の足がついていない」雰囲気を感じてしまったことです。
──「地に足がついている」というのは、Yさんにとって重要なキーワードのようですね。
Yさん:はい。選考で「この会社に入ればこんなステータスが得られる」とか「こんなすごい人と関われる」といった話が多いと、地に足がついていないと感じ、興味が薄れてしまいました。逆に、最終的に決めた会社の人たちは、皆淡々と、しかし真摯に業務や技術の話をしてくれました。その姿勢を見て、「この人たちに教わりたい、一緒に働きたい」と直感しました。
年収よりも「職種」と「人」
──最終的に、2つの内定から外資系ITコンサルを選んだ決め手は何でしたか?
Yさん:実は、ベンチャーコンサルの方が初任給の提示額は高かったんです。ですが、一般的なビジネス寄りのコンサルタント職しかポジションがなく、そこで働く自分を想像した時、大学院まで来て学んだ「データサイエンスやAIの技術」を武器として使いこなす姿が描けませんでした。
──自分の専門性を活かせることを重視されていたのですね。
Yさん:そうですね。どんなに人が良くても、どんなにお金が良くても、自分の培ってきた武器を腐らせてしまうのは、新卒の選択としては間違っていると思いました。選んだ外資系ITコンサルは、AIエンジニアとしての職種確約があり、かつ尊敬できるチームメンバーが揃っていました。私の就活軸である「1. 一緒に働きたい人」「2. 武器が活かせる職種」「3. 最低限以上の給与」のすべてにおいて、最も納得感の高い選択でした。
──早期に納得のいく内定を得たことで、現在の生活はどう変わりましたか?
Yさん:12月に就活を終えてからは、一切の迷いなく研究に没頭できています。もしあのまま内定がない状態で春を迎えていたら、中間発表や論文の準備も疎かになっていたでしょう。早くに自分に合う場所を確保できたことは、精神的にも、研究成果を出すことにも両方に寄与していると感じます。
後輩へのメッセージ
Yさん:理系学生、特に修士の皆さんは、研究が忙しくなると「とりあえず多くのインターンに参加して安心感を得よう」としがちです。でも、私の周りでも20社以上インターンに行ってまだ内定がない同期もいます。インターンは「参加すること」が目的ではありません。
まずはLabBase就職のようなサービスを使って、自分の専門性に興味を持ってくれる「現場のエンジニア」と直接接点を持ち、その人たちと働くイメージが湧くかを確かめてみてください。そして、「ここだ」と思える会社を見つけたら、そこに全リソースを注ぎ込む。不安から数を増やすのではなく、確信を持って数を絞る。それが、研究と就活を高いレベルで両立させる唯一の道だと思います。
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編集後記
文系から院進学時に理転。自らの意志で「自分の強みとなる専門」を選び取り、それを最大限に活かせる戦場をシビアに見極めるYさんの姿は、戦略家そのものでした。特筆すべきは、企業を「知名度」や「年収」といった情報のみで判断せず、選考に現れる社員一人ひとりの言葉から「地に足がついているか」「この社員の人たちと一緒に働きたいと思えるか」という働く上での本質を読み取ろうとする誠実な姿勢です。多く接点を持とうとしたり、情報をたくさん集めたりして不安をなくそうとする方も多いかと思いますが、Yさんのように「誰と、何のために、その技術を使うのか」という問いを突き詰め続けることが、結果として最短距離で納得のいく内定に繋がるのだと教えられたインタビューでした。
こちらの体験談が参考になった方は、ぜひLabBase就職でプロフィールを更新し、興味ありを押してあなたを待っている企業からのスカウトを受け取ってみてください。
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