[工学系]工学系修士が 大手自動車部品メーカーを選ぶまで

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LabBase Media 編集部

[工学系]工学系修士が 大手自動車部品メーカーを選ぶまで

「研究成果が出るまでは、自分の実力に確信が持てなかった」。そう語るAさんは、東海地方の国立大学大学院で電子物理の研究に打ち込む修士学生です。装置を使える時間が限られるという研究室特有の制約、そして学会発表と重なった早期選考での挫折。華々しい結果の裏側には、理系学生なら誰もが直面する「時間との戦い」と、自らの適性を見極めるための泥臭い試行錯誤がありました。 この記事では、周囲の期待と自分の本音の間で揺れ動きながらも、最終的に「地元の大手企業で働く」という地に足のついた決断を下すまでのプロセスを描きます。 【この記事でわかること】 ・限られた研究時間の合間を縫って、効率的に「自分の価値」を確かめる方法 ・人事視点を取り入れた「専門外の人にも伝わる」研究内容の言語化術 ・第一志望群からの内定を得るために、あえて職種を絞り込んだ戦略的判断



装置待ちの時間は「自分を磨く時間」。研究と並行して始めた最初の一歩


──就職活動を意識し始めた時期と、当時の心境を教えてください。


Aさん:修士1年に上がる直前の3月頃です。研究室の同期からの紹介でLabBase就職などのサービスに登録したのがきっかけでした。当時は卒業論文の締め切り直後で、正直なところ「ようやく解放された」という解放感と、すぐに始まる就活への焦燥感が入り混じっていました。


──研究室の状況はいかがでしたか? かなりお忙しかったとお聞きしました。


Aさん:はい。私の研究は特殊な装置を使用するのですが、グループ内で装置を使える期間が「半年に二、三週間の持ち回り制」で決まっていました。そのため、自分が装置を使える時期は研究に没頭し、それ以外の「装置を使っていない時間」をすべて就職活動に充てるという、かなり極端なスケジュール管理をしていました。


──限られた時間の中で、どのように志望企業を探していったのでしょうか。


Aさん:最初は研究分野に近い「研究開発職」を漠然と志望していました。4月に入ると、自分の研究内容を見た大手素材メーカーやエンジニアリング企業からスカウトが届くようになり、そこで初めて「自分の研究は、社会のこういう場所で必要とされているんだ」と解像度が上がっていったんです。


「人事の目」で磨き上げた研究紹介。専門性の壁を越えた瞬間に見えたもの


──就活を進める中で、特に苦労したことは何ですか?


Aさん:自己分析、特に自分のエピソードを「言語化して仕事につなげる」というプロセスです。研究内容の説明には自信がありましたが、自分の性格や他者からの評価を客観的に伝えるのは非常に難しかったです。


──その壁をどうやって乗り越えたのでしょうか。


Aさん:親からのアドバイスが大きかったです。私の親は企業の人事を担当しており、私の書いたESに対して「これは同じ研究室の人ならわかるかもしれないけれど、専門外の人事が読んだら何がすごいのかピンとこないよ」と厳しくフィードバックしてくれました。


──具体的にはどのような修正を行ったのですか?


Aさん:単に事実を述べるのではなく、まずは「社会的な課題」という背景を示し、次に「前任者がうまく解決できなかったポイント」を明確にしました。その上で、自分がどうアプローチして改善したのかという「話の流れ」を意識するようにしました。この視点を持ってからは、インターンの選考もスムーズに通るようになりました。


「選考優遇」を戦略的に活用。研究時間を守りつつ大手への道を切り開く


──LabBase就職を使ってみて、どのようなメリットを感じましたか?


Aさん:一番は、自分の研究内容を深く理解した上で届く「質の高いスカウト」です。他サービスでは大量の案内が届き、自分に刺さる割合が低かったのですが、ここでは自分の志望度が高い企業、しかも研究テーマに合致した部署から直接案内が届くことが多かったです。


──それが実際の選考にどう繋がったのでしょうか。


Aさん:例えば、大手電子部品メーカーの冬インターンでは、スカウト経由で希望通りのテーマに参加することができました。また、スカウト経由で座談会や特別イベントに案内されることもあり、それが事実上の「選考ルート」として機能していました。


──「選考優遇」があることで、活動に変化はありましたか?


Aさん:精神的なゆとりが全く違いました。自分に興味を持ってくれている企業があるという事実は、研究が忙しく選考準備に時間が取れない時期でも、「ここなら自分を評価してくれる」という安心感に繋がりました。結果として、無駄なエントリーを増やさずに済み、装置を使える貴重な研究時間を最大化することができたと思います。


学会と選考の重なり。12月の挫折を乗り越えた「切り替え」の力


──順調に見える一方で、12月頃にはかなり苦しい時期もあったとお聞きしました。


Aさん:はい、あの時期が精神的に一番きつかったです。12月上旬に大きな学会発表を控えていたのですが、その準備と早期選考の面接などが完全にかぶってしまったんです。結果的に、準備不足もあって第一志望群だった企業からご縁をいただくことができませんでした。


──第一志望群からの不採用。どうやって立ち直ったのですか?


Aさん:正直かなりへこみました。でも、年末年始を挟んで友人と会ったりリフレッシュしたりするうちに、「まだ本選考がある」と思えるようになりました。1月の上旬には気持ちを切り替えて、新たな企業へのエントリーを始めました。


──その後の巻き返しがすごかったですね。


Aさん:12月の失敗から学び、本選考では「絶対に譲れない軸」を再確認しました。私は愛知県出身ということもあり、最終的には「地元での安定した生活」と「勤務地への納得感」を最優先に考えるようになりました。


妥協なき職種選択。あえて「研究」から「生産技術」へ舵を切った理由


──内定を獲得された大手自動車部品メーカーでは、「生産技術」という職種を選ばれたそうですね。


Aさん:そうです。実はその企業には研究開発職のコースもあったのですが、配属が確約されない採用コースでした。望まない配属をされるリスクを取るよりも、最初から自分の専門性が活かせる、かつ「生産技術の中でも研究寄り」な部署を志望しました。


──その選択に迷いはありませんでしたか?


Aさん:実際に仕事内容を聞いて、自分のイメージしているものに近いと確信できたので、抵抗はありませんでした。むしろ、入社後のミスマッチを避けるためのポジティブな選択だったと考えています。


──現在の心境は?


Aさん:複数の納得いく内定をいただいたことで、今は非常に安心しています。残る一社の選考も、後悔のないように全力で取り組み、最後は自分自身で正解にしていきたいと思っています。


専門性を「共通言語」に変換してほしい


──これから就職活動を始める後輩たちに、アドバイスをお願いします。


Aさん:理系、特に修士の学生は、自分の研究内容を「何も知らない他者に伝わる形」で文章化しておくことを強くお勧めします。この時期なら、ちょうど卒業論文が終わった頃だと思います。


専門用語で理論武装するのではなく、「なぜこの研究が社会に必要なのか」「前任者ができなかった何を自分が改善したのか」を平易な言葉で語れるようになれば、ESや面接の通過率は格段に上がります。研究が忙しくて時間が取れないからこそ、まずは自分の価値を言語化することに集中してみてください。それが、結果的に納得のいく内定に繋がるはずです。


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編集後記


インタビューを通じて印象的だったのは、Aさんの「自己客観視能力」の高さです。研究室の装置待ちという物理的な制約を逆手に取り、スカウトサービスを「自分の市場価値を測る定規」として使いこなす姿勢は、まさに戦略的でした。また、人事職の親御さんからのフィードバックを素直に受け入れ、専門性の高い研究を「誰もがワクワクする物語」へと昇華させた柔軟性こそが、大手企業からの高い評価を引き出した要因だと感じます。限られた時間の中で、理想と現実のバランスを見事に取ったAさんの歩みは、多くの理系学生にとっての希望となるでしょう。


こちらの体験談が参考になった方は、ぜひLabBase就職でプロフィールを更新し、興味ありを押してあなたを待っている企業からのスカウトを受け取ってみてください。


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ライター
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