[電気電子系]「納得」を諦めない。内定の先にあった、本当の志望業界への挑戦。

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LabBase Media 編集部

[電気電子系]「納得」を諦めない。内定の先にあった、本当の志望業界への挑戦。

理系学生にとって、就職活動は「研究室の伝統」や「専門性」という目に見えないレールとの戦いでもあります。今回お話を伺ったのは、関東圏の国立大学で電気電子工学を専攻する修士1年生のAさんです。多くの先輩が自動車業界へ進む中、Aさんもまた自然な流れで自動車業界を志し、大手企業3社から早期内定を獲得しました。しかし、内定を保持して生まれた「心の余裕」は、彼を本来の志であった電力インフラ業界へと向かわせます。研究室の慣習に従う時期を経て、自らの意志で進路を切り拓こうとする一人の理系院生の、等身大の葛藤と決断を追いました。 【この記事でわかること】 ・周囲の環境と自分の志の折り合いの付け方 ・社風を言語化する力の有用性 ・早期内定を活かした戦略

学生プロフィール

項目内容
名前Aさん(匿名)
大学院・専攻関東圏の国立大学大学院 電気電子工学専攻
研究テーマ自動車業界向けの電気電子工学研究
研究室の分野自動車関連の研究室
志望業界自動車、電力インフラ
内定状況スズキ、大手自動車部品メーカー(M1の2月時点)


就活タイムライン

時期就活の動き研究・学業の状況
M1 3月末先輩の紹介でLabBase就職に登録春休み期間。論文本番が終わり、一区切りついた時期
M1 4月中旬自己分析やES作成を開始。川崎モータースなどを検討
M1 5月早期選考やスカウトに対応しつつ視野を広げる
M1 夏休みスズキ、大手自動車部品メーカー3社のインターンに参加夏休み後半から中間発表に向けて多忙に
M1 12月電力会社のインターンに参加。早期選考へ
M1 1月〜2月自動車関連3社から内々定。電力会社の選考を並行早期内定の余裕を持ちつつ、最終的な意思決定へ


始まりは「先輩の紹介」と「研究室のカラー」


──本日はよろしくお願いします。まずは就職活動を始めたきっかけから教えてください。


Aさん: 僕が最初に就活を意識したのはM1の3月末頃でした。きっかけは研究室の先輩からの紹介です。その先輩もLabBase就職を使っていて、「キャンペーンもあるし、理系のためのサイトだから登録してみたら」と言われたのが始まりでした。その先輩はLabBase就職経由でホンダのインターンスカウトをもらって上手く立ち回っていたので、それなら自分もやってみようかなと。


──最初から自動車業界に絞っていたのでしょうか。


Aさん:そうですね。正直なところ、最初は自動車業界のことしか調べていませんでした。僕の研究室は自動車関連の分野にいる先輩が多くて、就活をどう進めればいいか全くわからなかった時期だったので、先輩たちの経験を参考にできる自動車業界に集中していたんです。研究自体も自動車業界向けの内容ですしね。


──実際に登録してみて、LabBase就職の印象はどうでしたか?


Aさん:自分の知らない企業からスカウトや「興味あり」をもらうことがあったので、視野を広げる材料にはなりました。企業さんによっては、スカウトメッセージの中に「こういう研究をやっているから、こういう業務に活かせそう」としっかり書いてくれるところがあって、それは自分の自信に繋がりましたね。ただ、ものすごくメインで使い倒したというよりは、スカウト型のサービスをいくつか覗いている中の一つ、という感覚でした。


夏の「一週間・四社」インターンという泥臭い経験


──夏のインターンシップはかなり精力的に参加されていますね。


Aさん:はい、SUZUKIさんが一週間、Astemoさんが一週間、アイシンさんが二週間の予定を調整して一週間、そしてアドヴィックスさんが二週間でした。複数の会社で期間が被ってしまったところもあったのですが、企業さんに相談して調整してもらいながら、なんとか四社ともがっつり参加しました。


──そのハードなスケジュールをこなして、心境に変化はありましたか?


Aさん:もともとは地元の茨城県内での就職を考えていたのですが、いろいろな場所へ行ってインターンを経験するうちに、「地元だけの選択肢だと狭いな」と感じるようになりました。場所も含めて、もっと幅広い選択肢を見てみようと思えるようになったのが大きな収穫でしたね。


──自動車業界の中で、特に「ここが良い」と感じる決め手は何だったのでしょうか。


Aさん:内定をいただいた三社の中では、今はスズキに惹かれています。理由は、自動車だけでなくバイクにも触れそうだから、という個人的な興味もありますが、一番は「社風」です。


──社風、具体的にはどういった点ですか?


Aさん:例えば他の大手自動車メーカーだと、「自分はこれを作りたいから入社しました」という強いこだわりを持つ人が多い印象でした。でもスズキさんの場合は、「お客様がこういうのを求めているから、こういうものを作りましょう」という考えで集まっている人が多いイメージを持っていて、自分にはそっちの方が合っているなと感じたんです。僕は大学時代に文化祭の実行委員で企業協賛を集める営業のような活動をしていたのですが 、そこで相手のニーズに応える大変さと大切さを学んだ経験が影響しているのかもしれません。


内定後の「余裕」が、「本来の志」を呼び起こした


──自動車業界で順調に内定を獲得されていますが、現在は電力業界も受けているそうですね。


Aさん:そうなんです。実はもともと大学で電気電子を専攻しようと思った理由の一つに、「電力インフラに携わりたい」という思いがあったんです。でも就活を始めた当初は、やり方もわからないし余裕もなかったので、先輩が多くて参考にしやすい自動車業界に集中していました。


──それがなぜ、このタイミングで電力業界へ?


Aさん:夏から早期選考にかけて自動車業界の活動を全力で進めた結果、内々定をいただくことができました。そこで少し余裕が出てきた時に、「そういえば自分はインフラにも興味があったはずだ」と思い出したんです。やり方がわかってきて、スケジュールにも余裕ができた今なら、本来やりたかったインフラの方も見よう、と動き出しました。


──具体的にはどのような選考状況ですか。


Aさん:関東圏の電力会社さんは、去年末に二日間のインターンへ行った際に早期選考の案内をいただき、先週ちょうど一時のジョブマッチング面接を終えたところです。配電部門を希望していて、手応えとしては大丈夫かなと思っています。あとは中部圏の電力会社さんも今考えていて、そろそろESを書かなければいけない状態です。


──中部圏も検討されているのはなぜですか?


Aさん:僕はバイクに乗るのが趣味なのですが、ツーリングで長野県や三重県あたりを旅したことがあって、あのエリアの雰囲気や生活のしやすそうな感じが良いなと思って。自分が好きなエリアのインフラを支えるというのは、一つの魅力だなと感じています。


自動車か、電力か。「覚悟」を持って決めるための時間


──「ものづくり」と「インフラ」、最終的にどうやって決めていく予定ですか。


Aさん:正直、今もまだ悩んでいます。自動車は自分が好きなバイクや車に直接関われる楽しさがあるし、電力インフラは社会を根底から支え続けるという、止まってはいけないやりがいがあります。方向性が全く違うので比較するのは難しいですが、これからさらに深く調べて、最終的にはどちらかを選ばなければなりません。


──決断の軸として、最後に大切にしたいことは何でしょうか。


Aさん:最終的には、自分が「これだ」と覚悟を持って決めることだと思っています。なんとなく流されて決めるのではなく、自分で決断を下さないと、もし壁にぶつかったときに後悔してしまうと思うんです。ギリギリまで悩みますが、最後は自分の意志で答えを出したいと思います。


──これから就活を迎える後輩に向けて、伝えたいことはありますか?


Aさん:僕は夏に自動車業界に絞りすぎてしまったことが反省点としてあります。もし少しでも気になる業界が他にあるなら、早い段階でそちらも視野に入れて、比較できる状態にしておくのが良いと思います。研究との両立は大変ですが、まずは自分のペースで動いてみてください。早期に一つ、納得できる内定を確保することは、その後の自分に「本当に必要な選択肢」と向き合うための、何よりの余裕を与えてくれるはずです。


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編集後記


Aさんの就活は、非常に戦略的でありながら、同時にとても人間味に溢れるものでした。当初は「やり方がわからないから、情報が多い自動車業界へ」という、多くの理系院生が陥りがちな消極的なスタートでしたが、インターンシップや選考を通じて、自分なりの「ものづくりへのこだわり(お客様の声を聞くこと)」を見出していきました。


特筆すべきは、早期内定を単なる「就活の終わり」とせず、本来の志であった電力業界へ再挑戦するための「精神的なセーフティネット」として機能させた点です。自動車と電力という二つの大きな選択肢の間で悩む姿は、決して迷走しているわけではありません。むしろ、自分自身の専門性と原体験を照らし合わせ、納得のいく答えを出そうとする誠実さの表れだと言えます。


「自分で覚悟を持って決める」という彼の言葉は、今後どちらの道を選んだとしても、彼が技術者として、また一人の職業人として逞しく歩んでいくことを予感させます。研究室のカラーに縛られず、しかしその伝統もリスペクトしながら、最後は自分の意志で舵を切る。そんなAさんの姿勢は、進路に悩むすべての理系学生にとって、大きなエールになるはずです。


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