機械工学専攻 修士が ファクトリーオートメーション業界を選ぶまで

インサイト

LabBase Media 編集部

機械工学専攻 修士が ファクトリーオートメーション業界を選ぶまで

理系大学院生にとって、日々の研究活動と就職活動の両立は、常に頭を悩ませる大きな課題です。今回お話を伺った機械系専攻の修士2年生、Nさんは、指先サイズのロボットアーム制御という高度な研究に没頭しながら 、自らの足で泥臭く就活の道を切り拓いてきました。 最初は「何から始めればいいか分からない」という手探りの状態からスタートし、夏のインターンシップ選考では多くの不採用を経験して焦りを感じる時期もありました。しかし、研究室の優れた環境や、新たなスカウトサービスとの出会いを通じて自身の「軸」を研ぎ澄まし、最終的には複数の第一志望群の企業から納得の内定を獲得するに至りました。 限られた時間の中で、Nさんはどのようにして自身の納得のいく未来の選択肢を手に入れたのか。激しい葛藤と丁寧な準備の裏側にあった、等身大の意思決定プロセスに迫ります。 【この記事でわかること】 ・先輩のロードマップやキャリアセンターを徹底活用した、修士1年4月からの手堅いスタートダッシュの手法 ・夏インターンでの落選という「負の経験」を糧に、「日本のものづくりを支える」という確固たる就活軸を見出すまでのプロセス ・『LabBase就職』でのアクションを契機に、個別アプローチや特別ルートでの早期内定を引き出し、研究時間を確保した戦略

学生プロフィール

項目内容
名前Nさん
大学院名岡山大学大学院
専攻・分野環境生命自然科学研究科 環境生命自然科学専攻
研究テーマ小型ロボットアームの姿勢制御
志望業界FA(ファクトリーオートメーション)業界、精密機器・自動車部品などの製造業全般
内定状況外資系総合電機・FA大手、FA機器メーカー、大手精密機器メーカー


就活タイムライン

時期就活の動き研究・学業の状況
M1 4月先輩の助言を受けて就活を開始。キャリアセンターに毎週通い、未経験だったESの書き方を一から学ぶ。修士に進学。学部時代の画像処理研究を一通り終え、先輩のロボットアーム研究と組み合わせた新テーマが始動。
M1 5〜6月先輩の紹介キャンペーンをきっかけに『LabBase就職』に登録。夏のインターンシップに向けて10数社の選考へ応募。圧電素子を用いた指先サイズの小型モーターの製作、およびARマーカーを用いたセンシングの実験環境を構築。
M1 7〜8月夏インターンの選考結果が出るが、倍率の高さから不採用が続く。唯一合格した大手自動車部品メーカーのインターンに参加。実験データの収集。ハイスピードカメラで撮影した画像から姿勢を推定するプログラムの精度向上に注力。
M1 9〜10月インターンでの学びから「FAで日本のものづくりを強くする」という軸が確立。『LabBase就職』で興味ありアクションを積極的に行う。研究が本格化。土日を中心に研究室にこもり、2センチ角のロボットアームの目標軌道を描くための制御段階に入る。
M1 11〜12月冬インターンに向けて20社弱へ応募。大手精密機器メーカーの長期インターンに参加し、直後に個別面談の連絡を受ける。平日はES作成に追われるため、研究時間をすべて土日に集約。アルバイトのシフトも大幅に減らし、時間の捻出に苦心する。
M1 1〜2月大手精密機器メーカーの最終面接を経て早期内定。さらに『LabBase就職』経由で進んでいた第一志望群の2社からも次々と内定を獲得。学士論文の提出を終えた研究室の後輩たちのサポートを行いつつ、自身の修士論文に向けた制御実験を並行して進める。


はじまりは「何をしていいか分からない」という焦り


──まずは、就職活動を意識し始めた時期と、その当時の心境について教えてください。


Nさん:私が就活を意識し始めたのは、修士1年に上がった4月のタイミングでした。私の所属する研究室は、学部生、M1、M2の3学年が一緒に活動しているのですが、先輩方から「修士に上がって最初にやるべきなのはとにかく就活だぞ」とずっと耳にタコができるほど言われていたんです。だから、進学と同時に「よし、始めよう」と動き出しました。


ただ、意識はしたものの、最初は本当に何から手をつけたらいいのかが全く分かりませんでした。周囲の文系学生の話を聞くと、すでに自己分析を終えていたり業界を絞っていたりする人もいて、漠然とした孤独感や焦りのようなものがありましたね。


──最初はどのようにしてその不安を解消していったのですか?


Nさん:とにかくプロを頼ろうと思い、大学のキャリアセンターに飛び込みました。それまでエントリーシート(ES)なんて一度も書いたことがなかったので、まとめ方や文章の組み立て方を一から見てもらうことにしたんです。


そこからは週に1回、キャリアセンターと研究室を往復する生活が始まりました。1週間の中で研究の片手間にESを書き進め、アドバイスをもらっては修正する、という泥臭い作業を4月中はひたすら繰り返していましたね。まだこの頃は特定の業界に絞っておらず、「ものづくりが好きだから、日本のメーカーならどこでも広く見てみよう」という大雑把なスタンスでした。結果的に、この時期にキャリアセンターでESの基礎を徹底的に叩き込んだことが、のちの選考で大きなアドバンテージになりました。


──研究についても少し詳しく教えていただけますか。


Nさん:私の研究は、圧電素子という、圧力を加えると電圧が発生し、逆に電圧をかけると変形して動くという特性を持つ素子を扱っています。この特性を利用して、研究室内で非常にシンプルな構造の小型モーターを手作りしているんです。現在は指先に乗るほどの2ミリサイズや2センチ角に収まる球面モーターなどを組み合わせた、超小型ロボットアームを開発しています。


普通のロボットアームであれば、回転角を測るロータリーエンコーダーというセンサーを組み込んで制御するのですが、私たちが作っているものは小さすぎて物理的なセンサーを載せることが極めて難しいんです。そこで、アームにARマーカーを貼り付け、上からハイスピードカメラで撮影した画像を処理して姿勢を推定・認識するという、ソフト面とハード面を組み合わせた軌道制御の研究を行っています。


学部時代から画像処理のコードを書いていて、教授に「どうしても画像処理を絡めた研究がしたい」と直談判して今のテーマに繋がっています。ものづくりもプログラミングも本当に好きなので、研究への熱量はかなり高い方だったと思います。


夏の落選期を経て見出した「ファクトリーオートメーション」という軸


──5月に入ると、夏のインターンシップの募集が一斉に始まります。どのような動きをされましたか?


Nさん:5月の終わり頃に、研究室の一個上の先輩から「このサービス、使ってみたら?」と紹介キャンペーンの声をかけてもらい、『LabBase就職』に登録しました。プロフィールに自分の研究内容や画像処理の経験を詳しく書き込んでおくと、徐々に企業からスカウトが届くようになり、「あ、理系の研究をしっかり見てくれる場所があるんだな」と視野が広がるきっかけになりましたね。


ただ、夏のインターンシップ選考は本当に厳しかったです。自分なりにキャリアセンターで練り上げたESを使って、10数社ほどのメーカーに応募したのですが、倍率が高すぎて落ちまくりました。周囲の優秀な同期たちが次々とインターンへの参加を決めていく中で、自分は不採用の通知ばかりが届き、夏前はかなりの焦燥感に駆られていました。最終的に、夏に参加できたのは大手自動車部品メーカーの1社だけでしたね。


──その唯一参加できた夏のインターンシップが、大きな転機になったのですね。


Nさん:はい、まさにそこが大きな転機でした。インターンの中で実際の工場見学をさせていただき、生産ラインが自動化されていく現場を肌で感じたんです。


それと同時に、様々な媒体を通じて、現在の日本の製造業を取り巻く厳しい現状を知ることになりました。かつては「ものづくり大国」と呼ばれた日本ですが、近年は中国などの量産技術が非常に強くなってきていること、そしてコスト面から多くの企業が海外に拠点を移しているという現実を突きつけられました。


そのお話を伺ったときに、自分の中に悔しさと、強い思いが湧き上がってきたんです。「海外に頼るのではなく、日本国内の工場を自動化の力でもっと進化させて、もう一度日本のものづくりを底上げしたい」と。この経験を境に、ただ漠然と「メーカー」を見ていた私の視点は、「工場の自動化を支えるファクトリーオートメーション(FA)業界」へと、一気にフォーカスされることになりました。夏の落選期は精神的にきつかったですが、あの「負の期間」と1社のインターンがあったからこそ、表面的な志望動機ではない、自分だけの確固たる軸が定まったのだと思います。


選考優遇ルートと、研究時間の最大化


──秋以降、就活の軸が定まってからのアプローチはどのように変化しましたか?


Nさん:9月以降は、FA業界や工場の自動化を推進している企業に狙いを定め、非常に効率的な動きを意識しました。ここで特に活きたのが、夏に登録していた『LabBase就職』の活用です。


一般的なナビサイトから闇雲に応募するのではなく、『LabBase就職』のシステム内にある「興味あり」ボタンを、自分の軸に合致するFA関連の企業に対して早めの段階から押して、リアクションを待つという戦略をとりました。自分の研究内容が、FA機器や精密制御を求める企業のニーズと綺麗にマッチしていたため、企業側からも非常に高い熱量で個別のメッセージやスカウトをいただくことができました。


──具体的には、どのような選考上のメリットや優遇ルートがありましたか?


Nさん:今回、最終的に第一志望群として内定をいただくことになるFA機器メーカーと、外資系総合電機・FA大手企業の2社は、どちらもこの『LabBase就職』での「興味あり」アクションが出会いのきっかけでした。


たとえば、FA機器メーカーに関しては、9月の段階でいきなり通常の選考フローに乗るのではなく、まずは「カジュアル面談」という形でお声をかけていただきました。人事の方や現場の社員さんとフラットにお話しする機会を事前に設けていただき、こちらの研究の面白さを理解してもらった上で、年末の本選考へと進むことができたんです。


このように、理系のバックグラウンドをあらかじめ評価された状態からスタートできる特別ルートの存在は、圧倒的な安心感に繋がりました。書類選考のステップを実質的にスキップできたり、ミスマッチのない状態で面接に臨めたりしたため、無駄な選考対策に時間を奪われることがなくなりました。これこそが、平日に実験を止められない理系院生にとって、研究時間を確保するための最大のサポートツールになったと感じています。


平日はES、土日は実験室。睡眠時間を削った泥臭い両立のリアル


──冬にかけて選考が本格化する中、研究との両立はかなり過酷だったのではないでしょうか。


Nさん:本当に、大学生活の中で修士1年のこの時期が一番忙しく、精神的にも体力的にも擦り切れそうでした。冬のインターンシップや本選考に向けて、最終的には20社弱の企業にエントリーしたのですが、ESの締め切りが毎日のように押し寄せてくるんです。


私の研究室は、実際に装置や実機を動かしてデータを取るスタイルのため、パソコンを持ち帰って家で進めるということができません。そのため、平日は朝から晩まで自宅や通学時間を使ってひたすらESの作成や修正に時間を費やし、土日の2日間は朝から研究室にこもって一週間分の実験を一気に進める、という完全な二重生活を送っていました。アルバイトのシフトも極限まで減らし、なんとか睡眠時間と作業時間を捻出していましたね。


──研究室の教授とのコミュニケーションや、就活への理解はどうでしたか?


Nさん:教授は表向きには「就活は大事だからしっかりやりなさい」と言ってくれていましたが、本音の部分では、やはり一週間も二週間も学生が研究室を空けることに対して、100%快く思っているわけではないだろうな、という空気は察していました。


特に冬、大手精密機器メーカーの長期インターンシップへの参加が決まったときは、1週間完全に研究室を離れることになるため、伝えるときはかなり緊張しましたね。でも、私は「自分の人生がかかっている本気の就活なのだから、多少教授に怒られたり、気まずい思いをしたりしても、今は割り切って突き進むしかない」と腹をくくっていました。


オンライン面接が重なった時期も、教授からは「研究室の空いている部屋で受ければいいじゃないか」と言われましたが、実験の騒音が入るリスクや、研究室にわざわざスーツを着ていって着替える手間の効率を考え、怒られるのを覚悟で「今日は家で集中して選考を受けます」と突っぱねて全力を注ぎました。こうした戦略的な割り切りができたのは、研究室の同期たちがみんな夏の早い段階から、先輩の作った就活ロードマップをもとに火がついて、本気で活動していたという環境も大きかったと思います。一人だったら、教授の目を気にして妥協していたかもしれません。


「一からの手応え」か「世界最高峰の影響力」か。


──冬のインターンシップの直後、驚くべきスピードで内定が出たそうですね。


Nさん:そうなんです。冬に参加した大手精密機器メーカーの長期インターンシップでは、現場での取り組みを高く評価していただき、インターンが終わってわずか1週間後くらいにメールが届きました。「特別に本社に来て、最終面接だけ受けませんか?」という、破格の早期選考ルートのご案内でした。


実際に本社へ行き、役員クラスの方と30分ほどお話しして、内定をいただくことができました。インターンシップを通じてすでに人間性や技術的なベースを見ていただけていたからこそのスピード感だったと思います。この早期内定があったおかげで、心の底から精神的なゆとりが生まれ、その後の本命企業の面接にも全く緊張せず、自分の言葉で堂々と挑むことができました。


──そして現在、LabBase就職経由で進んだ第一志望群の2社からも内定を勝ち取り、激しく悩まれていると。


Nさん:ありがたいことに、本当に贅沢すぎる悩みに直面しています。実は、もうひとつの第一志望であったFA機器メーカーから内定の連絡をいただいたのは、まさに昨日のことなんです。


迷っている2社は、どちらもファクトリーオートメーションの世界で日本のものづくりに大きく貢献できる企業なのですが、そのアプローチと得られる経験が180度異なります。


1社は、世界トップクラスの最先端技術を持つ外資系のFA大手企業。非常に規模が大きく、トヨタさんやデンソーさんといった日本のトップメーカーに対して、世界一のシステムを導入するお手伝いができるため、日本経済や製造業全体に与える影響力は圧倒的です。ただ、開発拠点が海外にあるため、自分自身の手でゼロから製品を作るという「手触り感」は薄れるかもしれません。


もう1社は、少数精鋭で独自のFA機器を開発している国内メーカー。ここでは、若手のうちから製品の企画・設計から量産、市場に出るまでの一連のプロセスすべてに自分自身が深く携わることができます。「自分の作ったこの製品が、日本の工場を支えているんだ」という強烈な実感を味わうことができ、20代の成長環境としてはこれ以上ない場所です。


──「日本への影響力の大きさ」をとるか、「ものづくりの当事者としての手応え」をとるか、ですね。


Nさん:おっしゃる通りです。どちらに進んでも、自分が死に物狂いで成長できる確信はありますし、待遇面でも何一つ不満はありません。回答の期限は2月末、つまり明後日までに決断しなければなりません。勤務地も東京と大阪で大きく変わるため、地元を離れるカウントダウンも含めて、今人生で一番真剣に、自分の内面と向き合って悩み抜いています。


後輩へのメッセージ


就活を終えて強く感じるのは、理系の就活において「情報収集の視野を広げること」と「事前の準備」がすべてだということです。


私たち理系学生は、どうしても「機械系だから機械の会社に行く」「先輩が受けているからこの企業にする」といった狭い枠に自分を閉じ込めがちです。しかし実際は、化学メーカーでも飲料メーカーでも、生産ラインを持つあらゆる企業が私たち機械系の技術者を求めています。早い段階から『LabBase就職』のようなスカウトサービスに登録し、自分の研究を社会に開示しておくことで、自分では気づけなかった魅力的な業界や、選考優遇ルートを持つ企業との出会いが必ず生まれます。


そして、面接の成否はESを書く段階の「自己深掘り」で9割決まります。文字数制限を気にせず、自分がなぜその研究をし、どう社会に貢献したいのかを泥臭く言語化し、テンプレートとなる深いESを作っておいてください。地盤がしっかりしていれば、本番の面接で予想外の質問に慌てることは絶対にありません。


平日の実験と就活の両立は本当に目まぐるしいですが、土日を捧げてでも、教授に少し顔をしかめられてでも、自分の人生のために割り切って行動を起こす価値はあります。妥協せず動いた先には、必ず「どの企業に行っても正解だ」と思えるような、最高の贅沢な悩みが待っています。応援しています。


───────────────────────────────────────


編集後記


インタビュー中、自身の超小型ロボットアームの研究について語るNさんの瞳は、非常に生き生きとした輝きを放っていました。その熱量があったからこそ、面接という短い時間の中でも、企業の面接官に「この学生は本物だ」と思わせる説得力が宿ったのだと確信させられます。


理系院生の就活成功法則として、よく「要領の良さ」が語られますが、Nさんのアプローチはその真逆、極めて「泥臭く、誠実な準備」に裏打ちされたものでした。毎週キャリアセンターに通い詰めた4月、落選通知に唇を噛んだ夏、そして平日の睡眠時間を削ってESを書き、土日に実験を詰め込んだ冬。その一歩一歩の泥臭い努力の積み重ねが、外資系FA大手や優良FAメーカーからの個別優遇ルート、そして昨日の内定という最高の果実へと結びついています。


「どちらを選んでも、絶対に一生懸命やれる自信がある」。そう言い切った彼の背中は、すでに一人の自立したエンジニアの風格をまとっていました。明後日、彼がどちらの道を歩む決断を下すにせよ、その選択の先には、間違いなく日本のものづくりの未来を明るく照らす、彼の情熱的な姿があるはずです。


こちらの体験談が参考になった方は、ぜひLabBase就職でプロフィールを更新し、興味ありを押してあなたを待っている企業からのスカウトを受け取ってみてください。


ご登録がまだの方はコチラから!

ライター
LabBase 編集部
X Facebook