総合系コンサルティングの雄・アクセンチュアとは?最高峰の頭脳集団の視座

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LabBase Media 編集部

総合系コンサルティングの雄・アクセンチュアとは?最高峰の頭脳集団の視座

「IT化が止まらない」 数十年前から始まったITテクノロジーの飛躍的な進化は日々とどまるところを知らず、特にここ20年は、人々とITテクノロジーや情報の距離がぐっと縮まった。平成がテクノロジーとの距離感を測る時代であったとすれば、これからやってくるのはITを前提として邁進するビジネスの時代だ。 加速するIT・デジタル化はビジネスの輪郭をも変えてきた。多くの企業が変革を迫られる今、必要なのはテクノロジーとビジネスを熟知した頼もしいパートナーに他ならない。今回は、そんな時勢を味方につけた総合系コンサルティング企業アクセンチュアを紹介したい。 企業リサーチサイト「Vorkers」が発表した「理系学生2万人が選ぶ、就職注目企業ランキング」によると、アクセンチュア株式会社は理系4位の人気を記録している。(同調査文系では1位) 同社は「ストラテジー」「コンサルティング」「デジタル」「テクノロジー」「オペレーションズ」の5つの領域でクライアント企業の課題解決を図るコンサルティングファーム。米国のビジネス誌『Fortune』が毎年発表する世界で最も力を持つ500の企業「Fortune Global 500」のうち、その4分の3以上を顧客とする正真正銘のグローバルカンパニーである。 本記事ではアクセンチュアの成り立ちと今後の成長戦略、社員のキャリアデザインを大切にする社風から企業の地力を探していこう。


世界最高の頭脳集団誕生の経緯


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今や120カ国に顧客を持ち、55カ国に計44万2,000人の社員を擁するアクセンチュア。多岐にわたる業界の知見と業務プロセス改善のプロフェッショナルが、得意のIT・デジタル技術を駆使して戦略から実行まで一貫したサポートでクライアント企業の経営効率化を図っている。


アクセンチュアは、監査法人であるアーサー・アンダーセンの社員であったジョゼフ・グリッコーフ氏が行った電子情報システム開発と統合サポートのコンサルティング業務に端を発する。1953年のことだ。


1950年代には早くもメキシコ、ヨーロッパと進出を果たし、1962年には日本でも業務が展開された。


1989年には、従来ビジネスであった監査法人のアーサー・アンダーセンからコンサルティング部門が切り離され、「アンダーセン・コンサルティング」という社名で分社化。同社は1995年に日本でも株式会社を設立することとなる。


アンダーセン・コンサルティングは2000年にアーサー・アンダーセンから完全に独立し、「アンダーセン」の名前を手放した。翌年に社名を「アクセンチュア」に変更し、同年内にニューヨーク証券取引所に上場。


現在、本社はアイルランドのダブリンに置かれているが、実質本社として機能しているのはシカゴとニューヨークの拠点。現在、日本支社では約9,000人の社員が勤務している。


デジタル領域の市場規模拡大がアクセンチュアの追い風に


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世界第3位の経済大国でありながら、日本のコンサルティングの市場規模はまだまだ発展途上にある。トップの米国で6〜10兆円という市場規模を誇るのに対し、約3,000億円程度という国内の現状から、その規模の違いが分かるだろう。


しかし、国内企業の人員不足に起因する業務の効率化は不可避であり、業務見直し、運用面のフォローなど、ITコンサルティングの利用価値は確実に高まっている。IDC Japanによる国内コンサルティングサービス市場調査(2017年5月)によると、2021年には市場規模が8,238億円に上る見込み。特にデジタル領域における成長は著しく、2016年に記録した1,200億円から2021年には3,484億円にまで達すると予測されている。


これはデジタル領域に強いアクセンチュアにとっては追い風である。元々は戦略と業務コンサルのみであったが、2013年にロンドンのデザイン会社Fjordを買収すると、2016年にかけてシステム開発・運用企業やデジタルマーケティング企業を買収することで、事業領域の拡大に成功した。


今や世界有数のコンサルティングファームとして、戦略策定から実行までワンストップで担っているアクセンチュア。全領域を網羅している強みを持ち、グローバルなネットワークを活かした海外戦略立案や、大規模M&Aを得意としている。


アクセンチュアがテクノロジーのトレンドとインテリジェントエンタープライズの在り方に関する姿勢を示す「Technology Vision 2018」によると、新たなテクノロジーの到来は、法律から人間の倫理観に至るまで社会システムのあらゆる面に再定義を迫っている。すでにテクノロジーは生活や業務の深部にまで浸透しつつあり、人間が機械について学んできたこれまでとは対照的に、AI(人工知能)によって、機械の側が人間に最適化するようになってきた。


「2035年までにAIは各業界の収益率を平均で38%引き上げ、14兆米ドルの経済成長を生み出す可能性がある」

近年アクセンチュアは、世界中のコンサルティング企業や、アプリ制作会社、さらにはデジタルマーケティング会社の買収を拡大。企業はこれまで最大の広告予算を投下していたテレビCMから、メインの広告をデジタル領域広告へ移しつつある。


その理由は、Yahoo!やGoogleの広告システムの発達にある。ユーザーの嗜好性を追跡し、最適な広告が表示されるアドネットワークシステムは、近年著しい進歩を遂げた。こうしたアルゴリズム開発やデジタル広告の可能性に先んじて、アクセンチュアはデジタルマーケティングの知見を内部化する動きに出たのだ。


グローバル本社でも「進歩するデジタルへの対応力によって市場での生き残りが決まる」と明言。アクセンチュアはいちコンサルティング企業の枠を超え、ビジネスフィールドで広告代理店とも利益を競うようになりつつある。


「グローバルなローカライズ」に日本市場の伸びしろ


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同社は多種多様なクライアントへのコンサルティングで実績と人脈を着実に作り上げ、業界ごとの知識や顧客との関係を蓄積してきたことから、今後も継続成長が見込まれている。デジタル・アナリティクス領域への追い風というマクロ環境から、デロイトとPwC(プライスウォーターハウスクーパース)も好調が継続されるだろう。


デロイトとPwCはいずれも4大会計事務所系として、いわゆる「BIG4」に数えられる総合コンサルティングファームだ。両社とも世界の拠点は150カ国を超え、売上高でもアクセンチュアは引き離されている。逆に言えば、ITコンサルの枠を超越しつつある内製化したデジタルスキルと開発部隊をもって堅実な拡大をできるかが課題であり、伸びしろでもある。


グローバル展開の一方、同社の日本支社における課題は、「仕組みのグローバル化」とされている。国内の技術者不足にともない、オフショア開発に乗り出す企業も少なくない。これまでにも多くの企業が業務プロセスやシステムを海外に展開してきたが、その失敗の多くが日本の仕組みをそのまま横展開していたことに起因する。


業務をグローバルにローカライズする工程が今日のオフショアには必須となっている。これから日本企業が海外に参入していく上で、より正確な現地事情や業界特性を踏まえたコンサルティングが必要となる。


一人ひとりのキャリアデザインがアクセンチュアの強みに


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アクセンチュアの新卒・第2新卒採用では以下5つのポジションを募集している。


  • ビジネスコンサルタント
  • デジタルコンサルタント
  • 戦略コンサルタント
  • オペレーションコンサルタント
  • ソリューション・エンジニア

文理を問わず人気の高いコンサルティング業界。理系出身者が武器とするのは論理的思考力だ。とりわけITに明るいアクセンチュアのソリューション・エンジニア職は、情報工学系の学生にとって能力を活かせる理想のステージといえる。


アクセンチュアでは、トップから新卒社員の一人ひとりまでキャリアデザインという概念が浸透している。シカゴとクアラルンプールには社員の教育施設があり、世界の拠点との合同研修にも参加できる。キャリア初期にグローバルレベルの方法論や広い視野を獲得できるところも大きなメリットだ。


人材はコンサルティング業界の例に漏れず流動的で、スキルや市場価値はもちろん、自身の興味・関心によってアサインを決められたり、場合によっては一度社外に出てまた戻ってくるというケースも少なくない。


ITスキルとコンサルティングの両方に興味がある学生にとって、同社は非常に魅力的なファーストキャリアといえるだろう。アクセンチュアでは、個々人が進化することを義務づけられている。それは会社を、社会を動かす先駆者として走る覚悟に他ならない。


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ライター
岩辺 智博
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