メディカル×テクノロジー 医療の未来化を加速させるtech系企業3社

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LabBase Media 編集部

メディカル×テクノロジー 医療の未来化を加速させるtech系企業3社

現在日本では年間40兆円を超える医療費や医師の不足、患者の医療リテラシーの低さなどの医療課題が山積しています。しかし、見方を変えれば医療業界は大きな成長産業ともいうことができるのです。 これまでは、独自の診療文化や診療報酬の規制等の理由で変化を阻まれていた医療業界にも、ついにテクノロジーによるイノベーションが起こりつつあります。 本記事では、Medtechと呼ばれる「医療×テクノロジー」に取り組む3社、AIメディカルサービス、エクサウィザーズ、エムスリーを紹介します。

内視鏡分野の世界トップは日本――人工知能を用いた診断支援システム


内視鏡の診断学や治療技術は、日本が世界において圧倒的にリードしている分野。 株式会社AIメディカルサービスは、AIを通じた最新の画像認識技術を用いて「がんの見逃し」撲滅に取り組みます。


具体的には、消化器のがん関連病変の内視鏡検査において、専門医の診断を支援するシステム開発がメインの事業。AIの開発実務において教師データ(AIに覚えさせるデータ)の質と量は重要です。同社は全国でもトップクラスの病院や専門医の協力を得ることで、教師データの充実を図ります。


同社は2017年の創業以来、人工知能によるがん診断に関する論文が複数アメリカのトップジャーナルに掲載されるなど、業績はワールドクラス。また、開発のスピードを高めるために、業務プラットフォームとなるシステムを自社で開発するなど、会社内での業務の効率化にも積極的に取り組んでいます。


同社が求めるのは、医療現場で本当に役立つものを作る「現場志向」の人。事業の根本にあるものは「人のためになりたい」という強い使命感です。


スキルや視点を高めるための社外活動が奨励されている同社では、書籍・研究費用の補助や、海外の学会・ベンチャー訪問への援助が行われています。卒業後も学び続け、研究経験を世界に通用する技術へとつなげたい学生はぜひチェックしてみてください。


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AIで「ユマニチュード」を普及するエクサウィザーズ


「AIによる社会課題の解決を目指して」をビジョンに掲げる 株式会社エクサウィザーズ。元DeNA取締役会長の春田真氏と、リクルートでAI研究所を立ち上げた初代所長の石山洸氏が経営を担当し、大学教授を兼任するAI研究者や、外資系コンサル出身者、元プロ野球球団オーナーなど、幅広い人材が参画しています。


エクサウィザーズの事業は、健康状態を予測する自治体向けデータ解析サービス、心臓狭窄の診断支援システムの開発、創薬プロセスの効率化を行うサービス提供など、多岐にわたります。Medtechのみならず、HR TechやFinTechにも進出し、各分野のリーディングカンパニーと業務提携してサービス開発に取り組んでいるのが特徴です。


認知症の新しいケア技法として近年注目を集めている「ユマニチュード」。同社は、介護問題の解決を目指すケア事業の取り組みの一つとして、AIの活用によるユマニチュードの普及を目指しています。


ユマニチュードとは、「最期まで人間らしい存在であり続けることを支える」という哲学に支えられた、「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの動作を組み合わせて行うケア技法。35年前にフランスで確立された、比較的新しいものです。


普及にあたりネックになっているのが、インストラクターの少なさ。エクサウィザーズは介護者育成ツールにAIを用いることで、ケアの良い例と悪い例をパターン化し、インストラクターがいなくても未経験者の学習が進められる環境作りに取り組んでいます。


また、2018年3月には、産業革命機構など8社から総額8億9000万円の資金を調達。育成ツールの開発に加え、介護ケアのエビデンス・ベースド化や、介護度の推移を予測するデータ解析サービスの自治体への無償提供などを進め、介護×ITを市民へ広めていこうとしています。


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Web×リアルで拡大し続けるエムスリー


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エムスリー株式会社は「インターネットを活用して、健康で楽しく長生きする人を一人でも増やし、不必要な医療コストを一円でも減らすこと」をミッションに掲げます。


高齢化に伴い、医療提供の必要性は増大するでしょう。しかし、このニーズに対して医師は約30万人しかおらず(平成28年12月現在)、医療業界の効率化を図ることは喫緊の課題です。


エムスリーは、医療従事者専用サイト「m3.com」を運営。日本の臨床医の約9割と、薬剤師の半数超が会員登録している国内最大級のプラットフォームです。医療に関する最新ニュースや各種データベース等に加え、医師同士のコミュニケーション場や求人情報など、医療者に役立つサービスを提供します。


現在国内外で約20もの医療関連事業を展開している同社は、LINEと共同出資した新会社「LINEヘルスケア株式会社」を2019年1月に設立。2019年内には、LINEを通じてエムスリーの会員医師に相談ができる、遠隔健康医療相談サービスも開始する予定です。今後は病院での待ち時間の解消や、処方薬の宅配サービスなど、より日常的なサービスの提供を目指します。


また、2018年7月より、AIやIoTサービスを手がける株式会社オプティムとともに医療向け画像診断を支援するAIを搭載したオープンプラットフォームの構築を発表。他にも、AI特化型インキュベーターの株式会社ディープコアと事業化支援プログラムをスタートさせるなど、これまで紹介した2社と同様に、医療現場におけるAIの活用にも積極的です。


新たなプラットフォームの創出にあたり、今後同社におけるエンジニアの需要は間違いなく高まることでしょう。Webと現実世界をつなぐ最前線に挑みたい人は、必見の企業です。


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おわりに


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私たちの生活から切り離すことができない医療。その課題に対してテクノロジーという現代的な手法で挑戦することは、大きなやりがいにつながるでしょう。今後更なる発展が期待できるこの分野に、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?


参考サイト


厚生労働省「平成28年度 国民医療費の概況」


日経BP社「大腸がんを生きるガイド」


アマテラススタートアップレビュー「「内視鏡×AI」は日本が世界をリードしている分野。 世界最先端領域でのAI競争にチャレンジしてみませんか?」


株式会社クーリエ みんなの介護「認知症ケアの新常識・ユマニチュード」


HELPMAN JAPAN「AIの利活用で「ユマニチュード®︎」を全国に普及し 介護職や家族の介護スキル向上を目指す」


厚生労働省「平成28年(2016年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」


エムスリー「LINEとエムスリー、オンライン医療事業を目的とした共同出資の新会社「LINEヘルスケア株式会社」を設立」


日本経済新聞「LINE、医療関連に参入 オンライン相談、エムスリーと新会社 」

ライター
清水 樹
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