筑波大学大学院生命環境科学研究科生物科学専攻(中退)
谷口友梨さん
研究内容>発生生物学
就職先>デジタルマーケティング事業を主軸として、AIを用いた企業とユーザーのコミュニケーションツールの開発やWEB制作などを行うベンチャー企業。
就活全体スケジュール
- 4年秋頃:大学院進学を決めるも、なんとなくLabBaseに登録。5、6社からスカウト来るも進学のためスルー。
- 4年・2〜3月:大学院進学に疑問が生まれる。就活も頭をよぎり、秋に来たスカウト企業にレス。軽く話を聞いてみる。
- M1・6月:休学してインターンをしようとリサーチ開始。ほどなくして復学の可能性が低いと確信し、本格的に就活スタート。東京で2週間就活、1週間で5社面談。
- M1・7月:A社内定
- M1・8月:大学院中退。A社、入社。
研究を続けていくことに疑問を感じて、がんばれなくなった。
———大学院を中退して就職を選んだ背景を教えてください。
理系だから大学院に進学して将来は研究職につくのかな、くらいの気持ちでいました。それが、卒業間際、今から就職するのは間に合わないという時に、疑問を持ち始めてしまったのです。このまま研究をしてそれを世の中に還元していくことはできるのかな…と。
それで大学卒業間際に就職が視野に入ってきました。とりあえず大学院に進んだものの、やっぱりこの疑問が払拭できなくて。いわゆるバリバリの基礎研究をしていたんですが、「このまま研究を続けて結局どうなるんだろう…。もともとは人を笑顔にする仕事やそれにつながる研究がしたいと思っていたけれど、この研究でそれが叶うのかどうか…」
そう考えてしまうと、そこからモチベーションが下がってしまいました。休学も考えてインターンを探そうかなと思いましたが、休学しても復学はしないだろうなと直感的にわかって、それなら就職しちゃおうと思いました。

就活のために2週間上京。短期決戦で内定を決める。
———就活をしていなかったものの就職することに決めたのが4年の卒業間際。かなり異例なケースかと思いますが、具体的にいつ頃どんなアクションを取りましたか?
大学院進学を決めつつも、就活ってどんなものか知っておこうと思って、4年の秋頃LabBaseに登録していました。友人からの紹介でした。プロフィールを記入して何社かスカウトがあったんですが、その時はスルーしていて(笑)。就職を視野に入れ始めた4年の2月、3月頃に、その中から数社にアプローチしました。その時はインターンを探そうかな、という気持ちで、地方なのでWeb面談で軽く話しを聞きました。
本格的に就活をしようと思い始めたのはM1の6月頃でした。2、3月頃スカウトが来ていた企業と、あとは5月とか日程の近いところでスカウトが来た企業にアプローチしました。今の会社からは12月頃にスカウトが来ていたので、「ちょっと半年ほど時間が経ってしまったのですが、急遽就活を考えていて」と事情を伝えて連絡しましたね。全部で5社くらいアポを取って、東京で面談をしました。1週間で5社、面談でいいなと思った企業とは翌週もう一度話を聞いて、滞在期間2週間で内定が決まりました。
———驚くほど短期決戦ですね!!スカウト企業へのレスも日数が空いていたため、対応が難しい企業さんもあったのではないでしょうか?
それが意外となかったです。1、2ヶ月、場合によっては半年経っていても快く対応してくれました。web面談後の東京での就活も、あらかじめ上京日程を伝えていたのでスムーズでした。当初1週間の予定でしたが、面談時に次のアポを入れたので結果2週間になりました。
———行動力も、複数の企業への交渉力もすごい…。その短期決戦において、就活の軸はどのようにおいていましたか?
将来的には企画の仕事がしたいと思っていましたが、初めはエンジニア志望ということで進めていました。アルバイトでWeb制作の仕事をしていたので。将来企画の仕事をするにしても、エンジニアとしての基盤があった方がいいと考えていて、企画をするためのステップとしてのエンジニア志望です。自分でも作れるからちゃんと企画できる、という方がいいなと思ったんです。今の会社の面談で、企画がやりたいならすぐにやってみたら?と言ってもらえたので、結果的には文系就職ということになりました。
———企画がやりたいと思ったのはどうしてですか?
ただ作るだけでなく、誰かの課題を解決することにトータルで貢献したいと思ったからです。作れるだけでは不十分、企画するだけでもリアリティがない。技術の基盤があったうえで企画できれば、より多くの人を笑顔にする仕事ができると考えました。
谷口さんのLabBaseプロフィール「これからやってみたいこと」の記載
「自分の作り上げたもので、他人を喜ばせる」ということが非常に好きだ、ということを実感しております。そのため、「モノを作って、ヒトに届ける」ということに興味があり、将来の仕事では、人々が喜ぶものを作りあげてそれを届けることに関わりたいです。 また、エンジニアとしてコードを書いて作り上げることだけでなく、企画等に積極的に関われるポジションにつきたいと感じており、キャリアの幅が広げられるような経験を積みたいと考えています。

普通じゃない就活だから、普通の就活サイトは使えなかった。
———就活に際して、他に利用していたサービスはありますか?
ほとんどLabBaseだけですね…。他のスカウト系のサービスも登録はしていましたが、企業とコンタクトは取っていないです。4年の卒業間際からの就活だったため新卒ナビサイトも使いづらくて。そもそも大学院中退を視野に入れていた自分が20卒なのか21卒なのかもわからないですよね(笑)。大手ナビサイトは卒業年度で区切っているし、スタンダードな就活スケジュールを前提としているため、登録してもいい話は来ないなと思いました。私の場合、普通じゃない就活だけに、普通のサイトは使えなかったんだと思います。
あとは、面談に行く前にその企業の中途採用のページはよく見ていました。今、即戦力としてどんな人が求められているのかが明文化されているし、注力事業や今後の戦略についてもよくわかるので。目の前の仕事だけでなく、中長期的にどんなビジョンが描かれているのか分かるとキャリアをどう描いていこうとワクワクしますからね。
———時期的には普通の就活とはズレましたが、その分進め方がとても戦略的ですね。
とにかく大学院を辞めたくて、それが原動力だったのかも(笑)。だらだら就活を続けても消耗するだけだし、短期決戦にしたいという思いは強かったです。ふわふわしている今の状況から抜け出して、道を固めたかった。昔から進路に悩んだりしたことはあまりなくて、腹が決まったら行くしかないというタイプだと思います。退路を断って覚悟を決めるタイプですね(笑)。
マッチングが正しく機能するために、プロフィールはありのままを書く。
———スカウトは結構来ていましたが、プロフィールなどで工夫した部分はありますか?
空欄があるのは気持ち悪いので入れられる項目は全て入れたくらいです。あとは、自分がしてきたことを飾らずに書きました。身の丈に合わないところに無理して行くものじゃないなと思っていたので、ありのままの自分を評価してもらおうと。全部見せるから興味があったら声かけてこい、みたいな(笑)。みんなが憧れるような企業に入りたいとか、大企業に入りたいとかは全然なくて、就活はマッチングだと思っていたので、なおさら自分を大きく見せようということはなかったですね。
谷口さんのLabBaseプロフィール「研究から学んだこと」の記載
まだ誰も挑戦したことのないものに挑戦する「勇気」と「踏むべきステップ・考え方」について学びました。研究という答えのない問題に挑戦することは、外からの絶対的な「正解」としての評価が与えられず、戸惑い、不安を感じることが多かったのですが、研究を通して、答えのない問題に挑戦する勇気を得ましたし、その楽しさも感じるようになりました。 また、その挑戦には自分で仮説を立て、検証し、それが適切か評価するというステップが必要になるとわかりました。絶対的な評価が存在しない以上、自分で評価する必要があるし、他人にもそれが適切であるということを説得するだけの材料が必要であり、自分が納得するだけでない他者に説明し納得してもらうことの重要さにも気づけました。
———LabBaseで企業検索はどのくらいしましたか?
血眼になって探すというよりは、LabBaseで見て気になったら「興味あり」を押すとか、スカウトがあった企業のホームページを見るとかその程度ですね。IT系のサービスを提供している企業で、なおかつ自社プロダクトがあってフロントエンドできそうなところ。メディア系、広告系…といった検索軸でした。自社プロダクトにこだわったのは、言われたものを言われた通りに作るよりは、裁量権を持って自分で企画して作りたいなと思ったからです。
ベンチャーならではのスピード感に魅力を感じた。
———今の会社に決めた理由、今どんなお仕事をされているか教えてください。
面談してくれた方の印象がとてもよくて、この人と働きたいなと思えたことが大きいです。ディレクターの人で、話していてスピード感がある感じが好きで。ベンチャー企業ならではのスピード感というか、この環境だったら自分も力がつくなと感じました。
他に選考が進んだ企業では現場のエンジニアの方がお話してくださったんですが、仕事の内容はとてもよくわかるんですが、事業のすごさとか会社の将来の話というところまでは聞けませんでした。そこの部分で、ワクワク度合いの違いは感じました。会社のビジョンとか中長期的な展望を知れると、こちらも夢が広がります。特に今の会社では、そこを強く感じられたと思います。
今は導入から運用までクライアントにサービスを提供するディレクターとして提案から納品までの開発ディレクション、納品後運用まで幅広く関わらせてもらっています。クライアントの課題を聞きながら、弊社の商材でそれを解決するための提案をします。既存クライアントへは、こうしたらもっと良くなるんじゃないかという改善提案をしたり、導入後の運用の部分も担います。クライアントは業界を問わず幅広いですね。就活を始めたころに考えていた仕事内容ではないですが、楽しくチャレンジしています。
———ご自身の就活を振り返ってみていかがですか?もう一度就活するならどんな戦略を立てますか?
私は与えられた選択肢から選びましたが、もう一度するとしたらもっと自分でいろんな企業を調べると思いますね。実際に働いてみて思うことは、世の中には企業がたくさんあるということ。選択肢やアプローチの方法はもっとたくさんあったんだろうなと思います。
他にやりたいことがあっての中退は引け目を感じるものではない。世の中そんなに冷たくない。
———これから就活を始める後輩にアドバイスするとしたら?
大学院を中退して就職したという話で言うなら、そんなに悪くないよって言いたいです。いわゆる普通のレールから外れるけれど、悲観するほど世の中冷たくないし、自分が信じるものややりたいことを大切にしていいと思います。それがもし研究じゃないとしたら、一つの選択肢として中退は引け目を感じるものでもないと思います。話題の1つというか。他にやりたいことがある。前向きで全然いいじゃんって言いたいですね。
———確かに、企業からのアプローチも実際たくさんありましたね。
研究室の中にいると視野が狭くなってしまいます。研究して修士を取ることが当たり前に思ってしまう。自分がいる場所、コミュニティからドロップアウトすることがだめなことだと感じてしまうかもしれないけれど、そんなことはないと思います。もちろん、研究がやりたいなら研究を一生懸命やっていいし、何が自分の人生にとって大切かということです。
やっと見つけた居場所。ここで強い女になりたい。
———今後のキャリアについて、この先の人生戦略を聞かせてください。
今、会社は新規事業の立ち上げなど、転換期にあります。私自身もそこに関わっていけるよう、力をつけて、今の会社を大きくしたいです。数年先くらいの近い未来で言うと、成果を出してチームを引っぱっていける「強い女」になりたいです。
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