止まらない金融インフラを支えるのは人材。インテリジェント ウェイブが目指す「働きやすい会社」とは

インタビュー

LabBase Media 編集部

止まらない金融インフラを支えるのは人材。インテリジェント ウェイブが目指す「働きやすい会社」とは

クレジットカード決済処理システム国内シェアNO.1、不正検知システム国内シェアNO.1と、金融インフラを支える企業として圧倒的な存在感を誇るインテリジェント ウェイブ。後藤泰佐氏はそのインテリジェント ウェイブに15年間在籍し現在は取締役を務める人物。後藤氏によれば、インテリジェント ウェイブの労働環境は、ここ数年で大きく変化したという。金融インフラ分野といえば「大変そう」「地味」といった印象が先行する中で、インテリジェント ウェイブが取り組んだ働き方改革とは? 長時間労働の低減や研修制度の充実、エンジニアリング文化の醸成などについて伺った。 株式会社インテリジェント ウェイブ: システム開発とシステム製品(ハードウェア、ソフトウェア)販売という二本柱の事業を持つ。同社の情報処理技術は、主にクレジットカード決済のオンラインシステムに使われ、24時間365日、リアルタイムで確実なカード取引処理に利用されている。また、自社製パッケージソフトウェアを中心に顧客の業務システムを開発・保守することも、同社のシステム開発の特長。特にクレジットカード決済処理システムの分野では、国内トップシェアの自社製パッケージソフトウェア「NET+1(ネットプラスワン)」を保有し、カード会社向けオンラインシステムの中核として使われている。

労働環境を大幅改革。月平均の労働時間が7%減少



――まず、後藤さんの経歴を教えてください。


大学は法学部だったので、ITとは無縁の学生時代でした。ところが、卒業間際に初めてコンピューターに触れる機会があり「これからの時代はコンピューターだ」と直感して、IT業界に進むことを決めました。


前職ではエンジニアとして約8年、ソフトウェアの開発に携わっていました。その後30歳でインテリジェント ウェイブに入社し、現在15年目となります。主に製品開発やシステムの再構築を担当してきましたが、2年前に経営管理本部に異動し、当社の働き方の変革を間近で見てきました。


――インテリジェント ウェイブでは早い時期から働き方改革を推進していたそうですね。


5年前に社長になった現会長の井関が、社内の労働環境をすごく気にしていて、この5年で社内制度や労働環境が大幅に改善しました。加えて、新型コロナウイルスの影響でテレワーク環境も一気に整備が進みました。会社としてはテレワーク(在宅勤務)は週2日以内という基本ルールがあるものの、プロジェクトの状況に応じて柔軟に運用しています。


――24時間365日稼働する金融インフラが事業領域のため、労働時間の調整は難しそうなイメージがあります。どのように改革を進めたのでしょうか。


まずは当時の社長の井関自らが36協定をベースに労働時間を毎月厳しくチェックしました。残業がかなり多いプロジェクトのメンバーに対し、井関が「今日からみんな19時に帰ってください」と言うんです。正直、現場の人間は無茶だと感じていたと思います。でも、何週間かすると「人間らしい生活を取り戻しました!」って、生き生きとした人が増えてきました。


もちろん、杓子定規に労働時間を規制していたわけではなくて、事情があれば柔軟に対応していました。ただ井関は、最初からあきらめて残業を減らす努力をしないのは違うと考えていたようです。これが功を奏し、2020年は2017年と比べ、月平均の労働時間を7%減らすことができました。


働き方改革は長時間労働の是正ではなく、社員一人ひとりの人生をより豊かにすることが目的です。根底には、仕事のために生きているのではなく、豊かに生きるための手段として仕事をするという考えがあります。井関には、当時の社員が生き生きと働いているように見えなかったのでしょうね。


たしかに24時間365日止めることができないシステムを開発しているので、大変なことは多いです。それでも、休む時はしっかり休む。メリハリを大事にすることを意識しながら、環境を整えてきた5年間だと思います。


――子育て中の従業員の活躍を促進するための施策は何かされているのでしょうか。


育休は最長で子供が2歳になるまで取得できます。更に中学校就学開始まで育児短時間勤務制度を利用することができます。かつ現在はテレワーク制度もあるので、小学校入学後も在宅で仕事を続ける人もいます。


今は男性でも育休や産休を取得する人が多くなりました。男性はそのまま復帰するケースが多いですが、女性は時短勤務になるなど働き方が変わる場合も多いので、その都度面談で業務量を調整します。


ちなみに、昔は時短勤務をよく思わない人もいて、プロジェクトでチームを構成する時に雰囲気が悪くなることがありました。今は全体的に残業時間が減ってテレワークが普及したので、誰もが快適に自分に合った働き方ができる環境になっていると思います。


「環境は用意するけど学ぶのは自分で」が基本スタンス



――人材育成についても教えてください。「IWIカレッジ」「他部門メンター制」など、さまざまな育成プログラムが用意されていますが、これらのプログラムが創設されたきっかけは?


当社はもともとベンチャー企業だったので、やる気のある人たちが自主的に学び、実践していく文化でした。そのため、人を育てるのが決して上手な会社ではありませんでした。ただ、現在は金融インフラを支えるシェアNo.1企業として、また東証一部上場企業として社会的責任も大きくなっています。社員も増えているので教育体制の強化が必要ですし、個人のレベルの差をフォローする仕組みも必要です。


ソフトウェア業界の仕事は、その人のやる気やモチベーションがものすごく生産性や品質に影響を与えます。そのため、「IWIカレッジ」や「定額制セミナー」のような研修制度を用意したり、若手を中心にフォローする体制を作ったりして、人材を大切にすることが重要だと思っています。


とはいえ、エンジニアは自分から興味を持って学ぶ姿勢やマインドが大事だとも考えているので、「環境は用意するけど学ぶのは自分で」が基本のスタンスです。


――具体的に「IWIカレッジ」と「定額制セミナー」はどのような内容なのでしょうか。


「IWIカレッジ」は、社員自身が学びたい分野を、業務時間を使って学習することができる制度です。若手社員がITの基礎知識や当社固有の専門知識と技術を身につけ、主体的に行動できる人材へと成長させることを目的としています。若手社員3、4人に対して、技術的に優れた他部門の先輩社員を一人メンターとして付けて、「例えばこういう勉強の仕方があるよ」とフォローしています。


「定額制セミナー」には「ビジネス系」「技術系」の2種類があり、それぞれのスキルを学べます。一般的なビジネスセミナーは1日がかりのものが多いですが、当社のセミナーは3時間と短く、内容のレベルも高い上に回数の制限なく自由に受講することができます。先輩社員やメンターが、本人の希望を聞いてお勧めのセミナーを紹介することもあります。定額制セミナー以外にも、その人の業務やスキルに合わせて個別にセミナーを受講させることもあります。


採用では「現場の声」を重視する


――インテリジェント ウェイブには「エンジニアリング文化」とでも言うべき、いろいろなことを効率化していく社風があると伺っています。新卒採用についてもかなり早い段階から、動画選考など新たな手法を取り入れられているそうですね。


2年前は対面で3次面接まで行っていましたが、現場の意見を聞くと、必ずしも望んでいる人材像と一致していないことがありました。また、売り手市場ということもあり、選考期間の長期化により、途中で学生が辞退してしまうという課題もありました。


そんな時、社外の採用系セミナーで、地方の優秀な学生を「オンライン面接」で採用できた事例を聞きました。一生懸命研究をしている地方の優秀な学生ほど、就活に時間を割けないため、オンラインの活用が有効とのことでした。それで、当社でもやってみようということになり、動画選考という手法を導入しました。最初は「実際に会わないと分からない」という意見もありましたが、今は動画でも問題なく判断できるようになりました。


複数の適性検査を実施したり、思いきって社長による最終面接をやめて、現場が欲しい人材を現場の責任者が決める「スター誕生方式」にしたり、試行錯誤しました。現在は、社長も加えた現場の責任者複数名で採用を決めています。他の人の意見を聞きながら民主的に決められるので納得感があり、無駄な工程がないので、今はこれがベストかなと思っています。これによってよい採用が出来たかどうかは、彼らが入社して何年か経たないと分かりませんが、現場の人たちの納得感は増したと思います。


――入社後もプログラマー、SE、マネージャー、コンサルティング、ライン職、高度技術専門職など、多様なキャリアパスがあると伺いました。


もともとは、課長、部長とマネジメント層でキャリアアップしていく「マネジメントライン」だけでした。ただ、中にはマネジメントは苦手な人だけど、エンジニアとしては優秀という人もいます。


そうした社員を評価できない制度を改善しようと、新たに「高度専門職」というラインを作りました。これは部下をマネジメントして何か成果を出すのではなく、エンジニアとして技術力を発揮してプロジェクトを成功に導いたり、新しい製品を作るために技術を生かしたりすることでステップアップしていけるものです。このように、キャリアパスも複数の可能性を用意しています。


進取の気性と技術が、金融インフラを支える



――今後、インテリジェント ウェイブが目指す方向性や欲しい人材についてお聞かせください。


当社では「IWI’s Style(IWIの流儀)」として「プロフェッショナル」「HRT(ハート)原則」「進取の気性(しんしゅのきしょう)」の3つを掲げています。説明すると、「HRT原則」はGoogleのエンジニアマネジメントに関する書籍「Team Geek」に書かれているもので、「謙虚」「尊敬」「信頼」を意味するものです。「進取の気性」は、失敗を恐れず新しいことを積極的にやっていく姿勢のことを指します。


当社は技術力に強みを持つ会社なので、エンジニア自身が新しい製品や領域に入ってビジネスをつくるという意識が重要だと考えています。ベースとなる技術に興味を持って学ぶマインドを持ちながら、失敗を恐れず新しいことにチャレンジできる人を求めています。


――最後に、理系就活生にメッセージをお願いします。


IWI’ Styleのマインドに共感してくれる人は、きっと当社で働くことを楽しめると思います。社会インフラを担う仕事なので、使命感や責任感が重要ですが、労働環境の整備や新たな人事制度の導入により、働きやすく働きがいのある企業づくりに努めています。事業内容や会社の価値観を理解し、興味を持つ人にきてほしいですね。


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システムエンジニアの募集概要は、 こちら


編集後記


金融インフラには「大変そう」という印象が先行するかもしれない。だが、インテリジェント ウェイブでは業界のトップを走りながら、誰もが働きやすい労働環境や、教育体制を整備していた。そのうえで、貪欲に自ら学ぶ姿勢を評価する風土も根付いている。安定した環境で失敗を恐れずチャレンジしたい、そんな理系学生はインテリジェント ウェイブの門を叩いてみてはいかがだろうか。

ライター
Tawaraya Ryusuke
カメラマン
編集 部
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