いよいよ夏インターンの選考も始まりつつあるこの季節。
LabBaseをご利用いただく23卒理系学生からも
「就活を何から始めていいか分からない」
「人事の方と話すことに不安がある」
などの悩みの声を多数いただくようになりました。
そのような理系学生の悩みを解決すべく
『就活スタート前に知りたい「企業に求められる理系人材とは」
優良企業3社の人事が「志向性」と「技術力」の2軸から伝えるパネルディスカッション!』
と題したイベントを2021年5月27日に開催いたしました。
本イベントでは、「就活を始めたばかりの23卒理系学生に、人事の視点を知った上で就活を進めてもらう」という目的のもと、3社の人事を登壇ゲストにお招きし開催いたしました。
当日は133名の理系学生にご参加いただき、Q&Aでは多くの質問が集まる盛況な会となりました。
本記事はこのイベントのレポート記事となります。
当日の流れ

登壇企業3社の紹介
本イベントでは幅広い分野の理系学生の採用に力を入れている以下の3社に登壇いただきました。
①大日本印刷株式会社
・印刷技術 × 情報技術を強みとする世界最大級の総合印刷会社
・ICカードやスマホ部材など「印刷」のイメージを超える多彩な事業を展開しつつ、
未来のあたりまえをつくることを目指す
②株式会社ディスコ
・半導体や電子部品の製造に用いられる精密加工装置で世界トップシェアを誇るメーカー
・社内通貨「Will」の導入や、配属先を社員の意思で決められる「アプリケーション大学」など、働きやすい環境作りにも注力
③富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
・言わずと知れたコピー機を扱う国内大手機械メーカー
・2021年4月に社名を変更し、働き方改革やデジタルトランスフォーメーションを支援する商品やサービスの事業にも注力
オープニング
オープニングでは、リアルタイムアンケートと題して、参加学生の皆様に
「今抱えている就活の困りごとはなんですか?」
という質問へ回答していただきました。

「ES/面接など就活の過程でしっかりと自己PRできるか不安」という回答が73%と最も多く、これから控える夏インターンに向けて思考を巡らせている様子が窺えました。
また、次点で
「業界研究をどのように進めるべきか分からない/絞り切れない」
「研究と就活の両立ができるかどうか不安」という回答が続きました。
パネルディスカッション
登壇する3社からの会社紹介および登壇社員紹介の後、メインコンテンツであるパネルディスカッションが始まりました。
本レポートでは、パネルディスカッション内の4つの質問への各社の回答を公開します。
-自社が求めている理系人材は?
「ズバリ、自社が求めている理系人材を一言で表すとどうなりますか?理由とともに教えてください。」
大日本印刷株式会社 飯田さん(以下飯田)の回答
「どんな未来にしたいかビジョンを描き、様々な人と協働し、それをあたりまえに変えていける人」
「主軸事業である印刷の技術を用い新たな分野に挑戦していこうという会社のフェーズに対して、このような考え方を持つ新卒社員を採用し、新規事業を推進していってほしいという期待を持っています。」
株式会社ディスコ 大槻さん(以下大槻)の回答
「好奇心旺盛、積極性があり、自走できる人」
「ディスコにはアプリケーション大学という新卒社員自身が最初の配属先を選択できる制度があり、1年半の間自分でスケジュールを立てて自分の関心のある部署で仕事をした上で配属先を決める仕組みになっています。そのような背景から自分で考えて行動するということを非常に重要視しています。」
富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 濵地さん(以下濵地)の回答
「社会に変革を起こしたい人」
「日常で起こることに対して”何か少しでも改善していこう”という気持ちがある人、研究活動の中でもその研究の新規性や社会に対しての価値を意識できている人が入社後に活躍できる土壌があります。」
また大日本印刷の飯田さんに
「自社が求める学生を面接やESなどでどう見分けるのか?」
という質問をさせていただいたところ、
「自分が取り組んでいる研究の意義をしっかりと話せるかどうか、どのような未来を実現するために自分の研究があるのか話せるかどうかという点を注視しています。」
という回答をいただきました。
三者三様でありながら「能動性の高さ」といった共通する部分もあり、興味深いセッションとなりました。
大日本印刷株式会社 飯田さん
-スキルレベルはどれくらい求める?
「新卒学生に研究の専門度などスキルレベルはどれくらい求められますか?」
大槻「もちろん専門性が高いに越したことはありませんが、全ての学生に高いレベルを求めることはありません。」
飯田「弊社も一部の分野を除いて基本的に専門性は求めていません。大学院で研究できる時間は修士学生だと2年間なので、入社後に長く勤務することを考えると初期時点の専門性の高さはそこまで重要視していません。専門性よりは、その専門性を早く身につける基礎力があるかどうかを重要視しています。」
飯田「基礎力が高い学生の特徴として、好奇心が旺盛な人が多いです。仮に自分の希望した配属先で仕事をすることになったとしても、必ず"面白みを感じにくい仕事"をすることも生まれてきます。その中でも仕事に面白さを見出せる人は成長も早く、基礎力が身に付きやすい傾向にあります。」
濵地「大学時代の研究が就職先の仕事と完全に一致する人は非常に少ないです。だからこそ、研究スキルだけでなく、研究において生じた課題をどのように乗り越えたか、などのプロセスを注視しています。問題解決のプロセスを理解できている学生は入社後も活躍できるイメージがつきますし、学生の皆さんにはそこを就活の中で話せるようにしておいてほしいです。」
3社ともに新卒学生には専門性の高さではなく、専門性を早く身につけることや課題解決に長けている基礎力の高さを求めているという回答になりました。
-夏インターンに参加する意義は?
「学生は夏インターンに参加しておくべきですか?各社夏インターンで学生にどのようなことを伝えたいと意図して設計されていますか?」
飯田「一概に参加しておくべき、参加しないべきというふうには言い切れません。参加するにあたって自分が卒業後にどのようなことをやりたいのか、社会にどのように関わりたいのかがある程度決まっていないと夏インターンの経験も無駄になります。社会にどう関わりたいかを明確に持った上で夏インターンに参加すべきだと思います。自社のインターンでは、参加学生に”この会社は許容できるな/できないな”という判断をつけていただく場にしてほしいと考えて設計しています。」
大槻「飯田さんと同じく、目的意識を持ってインターンに参加しないと参加したことがステータスになってしまうだけです。良い会社は100人いたら100通りあるものですので、まずは自己分析をしっかり済ませた上でインターンに臨んでほしいと思っています。」
夏インターンに参加する前に自己分析を行い、目的意識を明確にした上でインターンに参加してほしいとのメッセージをいただきました。
-LabBaseプロフィールで重視しているポイントは?
「LabBaseでは学生のプロフィールのどのようなところを重要視されていますか?」
濵地「もちろん研究内容や研究を選んだ理由などの専門領域の部分も見ますが、記入項目の中で唯一”これからやってみたいこと”だけが未来の思考を示す部分になります。この部分に学生の枠にとらわれない主体性と想いが現れるので、”これからやってみたいこと”はよく拝見しています。」
濵地「また、具体的なアウトプットは説得力に繋がるため、学会や論文の成果がある学生はぜひそのような欄も埋めてほしいです。」
LabBaseを活用している濵地さんならではのご意見をいただき、パネルディスカッションは終了となりました。
富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 濵地さん
Q&A
パネルディスカッションの後には、参加学生から集めた質問に対して登壇者にご回答いただくQ&Aタイムを設けました。
ここではその中でいくつかの質問に対する回答をご紹介します。
Q1「この学生は採用しないなと思った瞬間を教えてください」
飯田「採用しないというより、この学生は落ちるなと思ったのは、面接の控え室で自社のパンフレットやHPを暗記するくらい読み込む学生。あるいは研究内容などを暗記してくる学生です。
面接官はこれまでやってきたことだけでなく、これからやりたいことを聞きたいと考えています。
そういった内容はパンフレットには載っていません。」
濵地「企業について細かく調べてくる学生は、しっかり準備しているという点では良いことだと思います。ただ、面接では定型のコミュニケーションをしたいわけではないので、そのような学生にはさらに深掘りの質問やその学生が準備していないであろうことを質問することで、学生の本心を引き出すようなアプローチをしています。」
Q2「この学生気になるな、優秀だなと思う学生の特徴を教えてください」
大槻「優秀というより一緒に働きたいと思う学生は、誠実な方です。
背伸びをせず、自分を盛ったり飾ったりしない人。就活中に自分を大きく見せたいという学生もいるかもしれませんが、結果的に入社後に違う自分を演じ続けることになるので、そちらの方が大変だと思います。」
Q3「ESでどこを重要視していますか?」
大槻「ESから見えるその学生の個性を見たいと思っています。
学生が”自分しか体験していないオンリーワンの事柄”だと思っていることは、たいてい他の学生も経験しているようなことだったりします。
ですので、単なる実績・事実だけではなく、エピソードを通して感じたことや学んだことをESを通して伝えてきてほしいです。」

株式会社ディスコ 大槻さん
参加者の声
その後、オンラインでの懇親会を行いイベントは終了となりました。
アンケートでは参加学生から以下のような好評の声をいただきました。
・人事の方の話を聞く機会があまりなかったので,とても有意義な時間になりました。
人事の方が思っていることと自分が考えていたことに差があったので,理解を深めることができました。
・同じような背景を持っている参加者による質問で、
「どこかで疑問に思っていたけど聞けていなかったこと」のような質問を人事の方にお答えいただけて
自分が抱えている以上の疑問を解決することができました。
・人事の方の考え方を知れるいい機会だったと思います。
1人ではなく、3人の人事の方の意見が聞けたので、人事の方が大切にしている共通の意見が見えた気がします。
まとめ
パネルディスカッションとQ&Aを通して、全く異なる3社ながら
「求める理系学生の像として、”能動性"に近いものを重視している」
「新卒学生に求めるのは専門性ではなく、"基礎力"」などといった共通点が見られました。
また、全体を通して理系学生にとってまだ少し距離の遠く感じる”人事”という存在が、
どのように考え採用活動を行なっているかが共有され、視野が広がったという学生からの声も得られました。
関連情報
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