世の中に「新規技術の開発を通して、便利で面白いもの」を届けたい

――TBSテレビ入社から現在までの経験をお聞かせください。
2017年に新卒入社し、約半年間の研修を受けた後、テレビ番組の音声技術部で「SASUKE」や「アジア大会」などスポーツ系の制作現場を1年半ほど経験しました。入社2年目の終わりに情報システム局(現在はICT局に改称)に異動し、既存システムのクラウド化、DXを支える社用スマートフォンの導入、ITを活用したテレワークの推進などに携わりました。
入社4年目からはプレミアム・プラットフォーム・ジャパン(PPJ)というメディア企業に出向し、データ分析やマーケティング業務を担当しています。
――学生時代はどのような分野を専攻していましたか?
大学では画像科学科で、写真や色彩工学や印刷の技術、「人間が物事をどのように感じるか」を科学する心理工学などを学びました。大学院では、学部と共通するテーマである「光」をキーワードにレーザーの研究に取り組みました。
心理工学では「生活の中で発生する手間や不便なことを、新規技術で解決するアイデアを考える」という授業を受けて以来、「世の中に今はないけれどあったらうれしいものを作り出したい」と考えるように。人相手のものづくりに関心が湧いてきたものの、就職したい業界を絞りきれずにいました。
――最終的にTBSテレビを選んだ理由は何だったのでしょうか?
当初、テレビ業界は視野に入れていませんでした。自分のやりたいことがどんな業界にあるか知りたくて、さまざまな業界の説明会に足を運びつつ、テレビ局に就職した同じ専攻の先輩にも話を聞いたんです。
それまで私にとってのテレビ局は、番組を企画して撮影するくらいの漠然としたイメージ。しかし、実際にはTBSテレビが新規事業に参入したり、コンテンツをユーザーに届けるための新技術の開発にも積極的と知り、私がやりたかった「新規技術の開発により、便利で面白いものを届ける」という部分と合致すると感じました。
その年、TBSテレビでは番組を届ける技術を開発するメディア技術部門の採用があり、まさに私が興味がある部分だったので応募し、入社に至りました。
面倒見の良い企業カルチャーが成長をアシスト

――入社後、配属先はどのように決まりましたか?
最初、制作や報道志望の一般職と合同の3カ月の研修で、テレビのベースである報道の仕組みや社内制度などを学び、その後1カ月は各現場のOJTで「番組制作とは何か」を学びました。次に、技術職採用だけの1カ月の研修があり、カメラや音声機材に触れたり、電波塔や無線中継施設を見学したりしました。
私は、自社商品であるコンテンツを届けるにはまず制作現場で理解を深めたいという思いに行き着き、制作技術の現場で一番興味があった音声を志望しました。技術局(現:メディアテクノロジー局)に配属後、まず情報番組「ひるおび」の現場で番組制作における音声業務基本を覚え、スポーツの中継現場や海外出張も経験した上で、最終的にミキサーデビューを果たしました。(ミキサーは、多くの出演者のマイク音声やBGMなどをミックス、視聴者が聞きやすい、心地よい音を届ける役割で、番組における音声業務のトップ)。どの現場でもグループ会社の人など多くのスタッフと密なコミュニケーションが欠かせず、「チームで働くこと」を学べた仕事でした。
――目的意識を持って最初の配属希望を出せたのは、手厚い研修があったからこそですね。その後、情報システム局(現:ICT局)に異動されています。
上長から「コンテンツを届ける技術やシステムに興味があったよね」と声をかけられたことがきっかけです。情報システム局は当時、社内のDX化を推進していて、若手を含めメンバーを増強していたタイミングでした。
異動してみたら、転職したかと思うほど仕事内容が違いました(笑)。私は情報技術の知識がほぼなかったので、知らない用語を調べたり先輩に質問したりと手探り状態。ただ、テクノロジー部門には皆さん優しくて面倒見の良いカルチャーがあり、若手同士で教え合うことも多いんです。異動直後には各システム担当者が講座を開き、学校のようにみっちりと業務について解説してくれました。
最初はプロジェクトごとに先輩の下でアシスタントをしながら手取り足取り教えてもらい、半年後にはプロジェクトのメイン担当に。先輩にアシスタントとして付いていただき、力を借りながら進めていきました。
――入社動機に近い領域の仕事をする中で、印象に残ったことはありますか?
チームで和気あいあいとプロジェクトを進める楽しさがあり、構築した社内向けのシステムを導入して「使いやすくなったね」と言われたときの達成感も大きかったです。
テレビ局のシステム開発はベンダーとの協働が多く、マネジメント業務がたくさん発生します。各セクションからの意見や人をまとめ、ベンダーに上手に伝え、進捗を管理するなど、初めての経験で苦労もしました。「現場の意見を反映した良いシステムを」という思いが強すぎて納期がずれてしまう失敗もありつつ(笑)、 ものを作る上で不可欠なプロジェクトマネジメントという新たなスキルが身につきました。
お客さまの反応を近くで見られるデータ分析

――出向中のPPJでの業務についても教えてください。
PPJはParaviという動画配信プラットフォームを提供する会社です。私は主に、コンテンツ視聴の行動データや、お客さまの契約データなどの分析を担当しています。分析結果をプロダクトに活かす方法をチームで検討するマーケティング業務も重要な仕事です。
分析するデータは、視聴属性や利用デバイスなどコンテンツの視聴に関することから、サービスの新規登録と解約数、そして継続利用を促す施策に対する反応など、多岐にわたります。情報システム局ではシステムを作って使ってもらうところまでが仕事でしたが、現在はさらにその先、「ユーザーがどのようにサービスを利用しているか」までが対象です。
――経験もスキルもどんどん増えていますね。出向はどのように決まったのでしょうか。
元の上長が「データの時代が来る」と、若手だった私と先輩をデータサイエンティストを育成する学校に入れてくれたんです。半年間、週1回学校に通い、知識がついたところで今度は「学んだことをPPJでの実務を通して生かしてみない?」と提案がありました。スキルアップもできますし、「ぜひ」と返事して今に至ります。
学生時代の学びを業務に直接使った経験はほぼないですが、理系出身で数学や統計の基礎があるので、データ分析という新領域も抵抗なく勉強できています。培ってきたことは、必ずどこかで活かせますね。
――データ分析の仕事の面白さは何でしょうか?
データ分析は、研究と同じで仮説を立ててから分析を始めます。例えば、解約の増加と某コンテンツの配信終了が相関していると仮説を立て、結果が仮説と一致するとやりがいを感じます。経営にも影響する部分を担う責任の重さがありつつ、企業やプロダクトの方針にまで関われるのは楽しいですね。
――就活当時の「人に何かを届けたい」という思いと、現在地との関係はいかがですか?
現在の仕事はBtoCで、お客さまの反応を近くで見る醍醐味があります。新しいものを届けるという部分では、ユーザー一人一人に合ったコンテンツを表示するパーソナライズシステムの開発を主導し、今年リリースしたところです。
テレビ局や広告会社など関連会社からの出向者が多い職場なので、チームワークや人を巻き込んでいくマネジメントの大切さなど、過去の学びも活かせていると思います。
TBSもPPJも若手の意見に耳を傾けてもらえる環境で、やりたいことが明確なら自由に仕事ができます。自分のアイデアを上司に相談して提案書を作り、上層部の承認を得てプロジェクトチームを立ち上げます。提案のチャンスが多く、毎週のように会議で議題を出すこともできますよ。
時代の潮流に乗ったチャレンジができる

――TBSテレビで働く魅力をお聞かせください。
マスメディアとして多くのコンテンツを届けることができ、影響力の大きさと責任が伴う仕事です。幅広い業務があり、番組制作や放送技術、情報システム、新規技術開発、さらにテレビ視聴データを今後の売り上げにつなげるデータ活用の部門なども生まれていて、 新しい時代の流れに乗ってチャレンジできるのが当社の魅力だと思います。
キャリア形成について希望を伝える制度もあり、自分が望めば私のように多部門で経験を積みながらキャリアの拡大も可能です。TBSはVRアトラクションやデジタル知育アトラクションの会社などにも出資していて、出資会社に出向している社員もいます。興味を広く持って新しいことに挑戦したい人が楽しめる環境ですね。男女関係なくスキル次第でキャリアアップできる風土も感じています。
――最後に、理系就活生にメッセージをお願いします。
私は「なぜそれをやりたいか」という壁にぶつかり、自問自答を繰り返すことで自分を深く知ったことが就活の鍵になりました。
自分の研究テーマだけを軸に就活を進めると、視野が狭まりがちです。専門分野に絞って探せば採用される確率は高いかもしれませんが、その前に一度、研究から離れたところに視野を広げ、「自分がやりたいことは他業界でもできるのでは?」という視点を持つと、本当に自分に合う仕事にめぐり合えると思います。
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編集後記
想像以上に幅広い業務が存在するTBSテレビには、システム開発やデータサイエンスなど理系の強みで活躍できるフィールドが広がっている。充実した研修やキャリア形成制度で「やりたいこと」のビジョンの解像度を上げながら、スキルとキャリアを高め、志を実現する力を蓄えていくこともできそうだ。研究で培った思考力を、コンテンツやサービスを人に届けるメディア、コンテンツの世界でぜひ発揮してみてほしい。