就活の「3つの軸」、すべてマッチしたのが電通だった

――学生時代に取り組んでいたことを教えてください。
横尾:機械工学を専攻し、医療手術ロボットと感性設計を研究していました。感性設計は人間の知覚を定量的に分析しデザインに活かすもので、例えば「多くの人が不快感を抱く掃除機の音を、どうすれば心地良くできるのか」といった研究をしていました。
宮崎:統計学や機械学習などに通ずる最適化を専攻していました。スポーツが好きで、卒業論文は「どこで野球の犠牲フライを捕るとセーフになるか」の統計学的な分析をテーマとしていましたね。研究以外では、予備校のチューターのアルバイトを4年間続けていました。
――就職活動はどのように進めましたか? 電通を選んだ決め手も教えてください。
横尾:機械工学でデザインを研究していたので、メーカーの技術職だけでなくデザイン関係の企業を探していました。他には、SEなどのIT系とコンサルティング業界も考えていましたね。電通に応募したのはたまたまイベントで募集を見たのがきっかけです。広告分野であればデザインに近い形で商品開発などに関われそうだと思いエントリーしました。広告業界で受けたのは電通だけです。電通なら、 毎回まったく異なる内容の仕事が舞い込んでくるのが面白そうだと思ったからです。
宮崎:就職先は3つの軸で検討していました。一つ目は、自分の強みが活かせそうな統計やデータサイエンス領域があること。二つ目は、課題をヒアリングして人と一緒に問題解決する仕事であること。予備校のチューターの経験から誰かのために何かをするのが性に合っているように感じていたんです。そして三つ目はスポーツなど自分の好きな領域に関われることでした。
いくつかインターンに参加したものの、理系職種はエンジニア採用が多く、希望とのズレを感じていました。いろいろと探す中で、希望する全ての要素がマッチしたのが電通でした。
――入社後はどのような業務に携わってきましたか?
横尾:広告の戦略を立てるプランナー、PR、デジタル関連など、多様な業務に関わっていました。各部署でいろんな案件があるので、なんらかの形でテクノロジーに関わる案件はやっていたと思います。
現在は、経営、事業、デザイン、テクノロジー、人事など、さまざまな領域のスペシャリストが集まって企業に新規事業開発や構造改革のアイデアを提案し伴走する「電通ビジネスデザインスクエア」に所属しています。業務内容は、 クライアントの新規事業の立ち上げ支援がメイン。例えばあるクライアントから「toB向けからtoC向けに商品ラインナップを広げていきたい」と依頼を受けたら、商品/サービスの企画・コンセプトから提案し、商品開発やサービスのプラットフォーム開発をはじめ、世に出すときのコミュニケーションまで、事業の立ち上げを一緒にサポートしていく仕事になります。
宮崎:1年目は社内のデータ基盤などのインフラをツールに落とし込む業務を担当していました。2年目からは、マーケティング戦略の統合的なプランニング業務を担当。データを活用しながらコミュニケーション戦略や施策を立案し、クライアントとともに実施しています。クライアントデータの利活用サポートも多く、データ基盤・取得内容の要件定義を行い、サービスに使えるように整えていくようなSIerに近い業務も行っています。
また、同時に電通グループの横断プロジェクトチーム「AI MIRAI」にも在籍し、スポーツ×AIの切り口でプロダクト開発を行っています。
やりたい分野に手を挙げられる環境

――お二人が感じる、電通のカルチャーや社風の魅力を教えてください。
宮崎:他の企業からの転職者やグループ会社からの出向者も多く、さまざまな考えの人が集まっているので、協力しながら柔軟に仕事を進めていける雰囲気があります。パートナー企業やクライアントとの協働も多く、いろいろな発想に触れられる点が魅力ですね。
僕の部署は新卒社員や社会人5年目以下など若い社員が多いのも特徴ですね。若手のうちから仕事を任せてもらえて、成長できる環境です。
横尾:他部署経験者や中途採用の人もいて、上下関係なく意見を言い合える風通しの良い雰囲気ですね。やりたいことをやらせてもらえる社風で、「こんなことに興味があります」と日頃から言っておくと、近い案件がきたときに誘ってもらえることもありますよ。
また、ほぼ毎年何かしらの社内公募があり、好きなことや興味のある業務に自ら手を挙げられます。現在所属している電通ビジネスデザインスクエアには、公募を経て異動しました。
――業務知識やスキルはどのように身につけましたか?
横尾:入社後の研修で基礎的な素養を学び、実務に必要なスキルはOJTで身につけました。例えば、新規事業開発の現場では経営陣とともに経営戦略を立案する案件も多く、シミュレーションより実践が重要です。マーケティングの考えや戦略の立て方は業務を通じて経験を積みました。モノづくりについては、学生時代から友人とプロダクトの設計やアプリの開発デザインをしていたため、独学で学んだ経験も役立っています。
電通は自分のアイデアを世に出せる会社

――仕事ではどんなことにやりがいを感じますか?
横尾:クライアントのプロジェクトで、製品やサービスを開発しているうちに、その製品がわが子のように思えてくる時はやりがいを感じます。
医療用のベッドを開発した際には、電通からクライアント企業に提案して機能を開発し、特許も取得しました。特許の発明者欄に自分たちの名前を載せてもらえたときは嬉しかったです。
宮崎:若手にも裁量権があり、仕事を任せてもらえることにやりがいを感じます。「AI MIRAI」チームでは、2019年の東アジアサッカー大会に向けたリアルタイム勝敗予測システム「AI11 (AI ELEVEN)」の開発に携わりました。「AI11 (AI ELEVEN)」は、プレーの良し悪しをAIの画像解析で処理してリアルタイムで勝敗予測し、国際映像含めてWeb上で見られるようにするプロダクトです。
データ周りの部署から参加したのが僕一人だったこともあり、開発面を主導しました。電通で特許を取得しており、現在は韓国のKリーグで全面的に採用されています。アメリカのスポーツ専門チャンネルから取材が来るなど反響も大きかったです。クリエイティブ職など他部署とともに企画から関わり、部署横断で作り上げた経験は、自分の成長につながりました。
通常のクライアントワークと並行してプロジェクトを走らせていたため、大変なこともありましたが、ずっとやりたかったスポーツにまつわる仕事ができ、上長や周囲の方々の理解があったおかげでやり切ることができました。
――若手から主体性を持ってモノづくりに取り組めるのは魅力的ですね。
横尾:電通は広告会社というイメージが強いですが、実は「商品開発ができる会社」です。理系でモノづくりをしている人にとって、世に自分のアイデアを出せる可能性に満ちた会社だと思います。
以前、スマートベビーカーを開発した際には、クライアントに提案するためプロトタイプを作りました。また、商品化してくれるクライアントを探すため、アメリカのテキサスで毎年開催している「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」に出展したこともあります。モノづくりを追求でき、さらにアメリカの大規模イベントに参加できたのは大きな充実感がありましたね。
未知なる分野を楽しみ、世の中に価値ある製品を

――お二人の今後の仕事の目標や夢を教えてください。
宮崎:引き続き、AIやデータを活用してサービス開発や企画を行いながら、いずれは横尾さんの部署のような、より広い意味での事業開発や経営など、収益につながる新事業を作りたいですね。データ分野を起点にしつつ、目標に向かってキャリアを歩んでいければと思います。
横尾:世の中に対して、今まで以上に新たな価値のある製品やサービスを送り出したいですね。私の部署のプロジェクトは成功の裏に多くの失敗があって、途中で頓挫して世に出ないものも多いですが、経営者を説得できる材料をしっかり集めてプロジェクトを前に進め、製品を世に送り出す確率を上げていきたいです。
――最後に、どんな人が電通で働くのに向いていると思いますか?
横尾:まず一つは新規事業に関わる機会が多いので、やりたいことが明確で、目標に向かって自発的に進める情熱のある人が向いています。もう一つは、コミュニケーション力のある人でしょうか。アイデアを実現させるためにも、しっかりと意思表示することは、仕事を進めるうえで大切だと思います。
宮崎:誰も取り組んだことのない課題では確立された答えがありません。分からないことを人に聞けるコミュニケーション力や、主体的に学び情報を取りにいく積極性のある人が向いていると思います。
我々の仕事は、広告担当やシステム担当などさまざまな人と接する機会があるため、相手に合わせた言葉選びができると業務を円滑に進められます。若手にチャンスの多い会社なので、一緒に前へ進んでいける人とぜひ働きたいですね。
編集後記
広告のイメージが強い電通だが、モノづくりやデータ分析といった理系の知見を活かした業務に取り組めることに驚いた。二人の仕事の充実ぶりからは、自由なプロダクト開発・サービス開発ができる企業であることを実感した。世の中にインパクトを与える新たな商品を開発したい学生にとって、魅力的な企業ではないだろうか。