グローバルかつ安定した企業で、自動車のブレーキ開発を

――現在の所属をお聞かせください。
シャシーシステムコントロール事業部(以下CC事業部)で、テクニカルプロジェクトマネジャーを担当しています。具体的には電動ブレーキ「iBooster」や、横滑り防止装置「ESP」といったブレーキ製品の開発、日本の完成車メーカーを顧客とする複数のプロジェクトチームを取りまとめるマネジャーをしています。
私がいる横浜の事務所は1000人以上の従業員がいますが、およそ15%が外国籍。取りまとめているプロジェクトチームも日本人のみのチームはなく、ドイツ、インド、ベトナム、アメリカなど多国籍のメンバーで構成されています。公用語は英語で、1日の半分は英語で仕事をしています。
――学生時代から自動車やグローバルな環境で働くことに興味があったのでしょうか?
いえ、学生時代はどちらもそこまで興味はなかったんです。理工学部の機械工学科で熱力学を専攻し、冷蔵庫やパソコンなど家電の冷却システムについて研究をしていました。研究室の教授からボッシュの選考への参加を勧められたのが、当社を知ったきっかけです。先輩たちから「グローバル企業でシェアも大きく、安定した優良企業だ」と聞いて興味を持ちました。ただ、私は当時英語が話せなかったので、内定が出てから慌てて英会話を学びましたね。
日本市場がドイツの開発をリードする

――亀山さんが所属するCC事業部の業務を具体的に教えてください。
ボッシュはドイツ発の企業で、世界に150カ所以上の事業所を持ち、全従業員は42万人にものぼります。主な事業は、自動車に使うセンサーやブレーキ、エアバッグなどの機器やシステムの開発・製造です。
CC事業部では、3つの技術領域で自動車の安全性に関わる機能を開発しています。1つ目はブレーキ製品で、2つ目は自動運転に必要なセンサーや機能の開発。元々CC事業部はブレーキ作りから始まった部署ですが、ブレーキシステムから発展して自動運転支援機能や運転初心者の方などのための自動駐車機能も開発するようになりました。
3つ目は、車体運動制御機能の開発です。例えば、スポーツカーが好きな人はスポーツカーみたいな感覚で運転ができる、安心を重視する人は安全が最優先の快適なドライブを提供するなど、ドライバーの好みに応じて乗り心地を変えられる、といったような車体運動を制御する機能ですね。
日本の顧客の意向を踏まえた開発を進めることも多いです。CC事業部で開発した製品は、日本メーカーから多く採用されておりビジネスも好調で、グローバルに見てもトップクラスのシェア。「お客さまがこういう機能を欲しがっているから開発を進めよう」と、 日本の市場やユーザーの声を元に、日本がリードしてドイツでの開発を進めています。
――ボッシュのものづくりの強みはどんなところにありますか?
当社は総合サプライヤーなので、ボッシュ製品だけで自動車を作れるほど幅広く開発しています。軽自動車から大きなトラックまで、さまざまな自動車が世界中で売られているなか、「こういう機能が欲しい」と言われたときにすぐ提供できる製品の幅や開発の体制は強みですね。
国内の開発拠点は年々増えており、現地のお客さまに対応した生産ができます。お客さまに寄り添いながら、各地で車作りができるのはボッシュならではですね。
成長意欲やキャリアビジョンに応える充実の制度

――理系の学生が入社した場合、どのような業務を担当しますか?
開発や生産技術、品質保証がメインですね。私も以前は品質保証、現在は開発に携わっています。日本にはボッシュの工場があり製造も手がけているので、生産技術や品質保証は工場勤務、開発は横浜のオフィスでの勤務が多いです。
――従業員の教育制度について教えてください。
当社は「ラーニングカンパニー」として、社員自ら学べる企業であり続けるために、それぞれの成長意欲やキャリアプランに応える教育制度に力を入れています。世界7拠点に「ボッシュトレーニングセンター」を用意し、 年間200種類以上の講座を提供。オンラインやスマホからのeラーニング、バーチャル空間で集まって研修を受けられるなど、自宅から受講できる体制も整っています。AIやloTなど、新たなテクノロジーに関する研修は特に人気があり、従業員が自ら必要に応じて研修を受講するケースが多いですね。
――外部の人間も受けてみたくなるほどの充実ぶりですね。従業員のキャリアデザインはどのように考えていますか?
個人の成長には、キャリアデザインはとても重要です。ボッシュには従業員の「こうなりたい」という想いを大切にし、キャリアデザイン実現のサポートをするカルチャーがあります。上司との面談では「将来どうなりたい? 3年後は? 10年後はどんなところにいたい?」とオープンに話しますし、 社内公募も社内サイトからいつでも見られるようになっています。
会社主導で部署異動を打診するのではなく、空いているポジションを探してフレキブルに動くことができます。また、進みたい分野ややりたい仕事を周囲に発信していると「今こんな研修があるよ」と上司から提案されることもありますね。
男女ともに高い育休取得率
――社内カルチャーについてどう感じていますか?
私は新卒で入社して当社一筋ですが、本当にいい会社だなあと日々感じています。とても働きやすい環境が整っていて、離職率も1.7%とかなり低いです。
国籍、人種などさまざまなバックグラウンドを持つメンバーが多く働いているのはもちろん、日本人でも価値観は人それぞれ。グローバル企業ということもあり、個人の考えや環境をとても大切にしています。最近は、マネジメント層が社員に対して匿名やチャットなどさまざまな形で意見を聞き、真摯に向き合いながら具体的なアクションにつなげていることもあります。
会社のこうした動きが見えると、働いているほうも「自分の意見を聞いてくれるんだ」「自分は何ができるかな」と思えてくる。マネジメント層の「会社としてよりよくなるには」と考える真摯なマインドが経営に反映されていて、文化や環境が作られ、従業員とお互いに良い作用が働きあっていると思います。
――ワークライフバランスはいかがでしょうか?
以前からあった在宅勤務が、コロナ禍を経てさらに浸透しました。在宅と出勤の割合はチーム内で話し合って調整したり、ルールづくりをしたりします。個人の裁量に委ねられている部分がとても大きいと感じます。通勤手当の制度もどんどんフレキシブルになり、働きたい場所を選びやすい環境になってきています。
また、私のチームは比較的男性が多いのですが、全社で見ても育休の取得率は男性で3人に1人、女性は100%を達成しており、取得が当たり前となっています。政府の方針では2025年までに男性の育休取得率30%を目標としていますが、ボッシュは2019年にすでに30%を達成しています。
育休取得の際は、事前にマネジャー間で人員配置やサポート体制をしっかり話し合っていますので、安心して育児に励むことができますね。
――長く続けたくなる環境が整っているんですね。グローバル企業ならではの魅力や大変な点はありますか?
プロジェクトチームメンバーが多国籍だと、時差もあるので24時間プロジェクトが回り続けるスピード感があります。日本で8時間仕事をして、夕方頃になるとドイツ人が仕事を始める、アメリカはさらにそのあとからスタート、といったように、それぞれ分担して仕事を進めることができます。
半面、打ち合わせの時間が限られるのは大変な点ですね。また、オンラインでも仕事はできますがやはり顔を合わせてのコミュニケーションの必要性を感じます。コロナ禍では海外出張が制限されていましたが、最近は再開しています。信頼関係を作るため実際に現地へ足を運ぶことも大切にして、プロジェクトメンバーと連携をとりながら業務を進めています。
モビリティの未来を創るのは大きな醍醐味

――仕事のやりがいはどんな場面で感じますか?
多国籍の方と一緒に働いていて、海外に行く機会も多く、私もタイで働いた期間もあるんです。さまざまな国の人や文化に触れることができ、視野が広がっていきます。
ボッシュは、製品力や組織力、技術力、グローバル体制などを強みに幅広いシェアがあるため、カーメーカーのイノベーションのパートナーとしてビジネスができます。世界を見ている分、むしろリードできる部分もあり、自社のビジネス成功にとどまらないモビリティの未来を創っていけるのは大きなやりがいです。
――最後に、一緒に働きたい人物像や学生へのメッセージをお願いします。
自動車が好きな人はもちろん、「自分自身を成長させたい」「キャリアアップしていきたい」など成長意欲の高い人に対しても機会を提供できる会社です。私自身、自動車に興味のないまま入社しましたが、「成長したい!」というモチベーションがあれば活躍できる場は多いです。
入社後に「少し違ったな」「こんなこともやってみたい」と方向転換したくなったとしても、会社にはサポート体制が整っていて、真摯に向き合ってくれる上司もいます。仕事を楽しみながら、自身の成長を追求したいという方と一緒に働けたらと期待しています!
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編集後記
自動車の未来のため真摯に開発に取り組むだけではなく、個人の成長を応援するボッシュの姿勢や思いが伝わってきた。同社で働くことで、国際感覚を身につけながら大きく成長できるだろう。自動車業界の未来の担い手として、充実した研修制度やフレキシブルな社風のもと、自分らしいキャリアを開拓してみてはいかがだろうか。
※所属・内容等は取材当時のものです。(2023年5月公開)
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