社会のインフラを支える産業機器メーカー
――村田機械について、簡単に会社紹介をお願いします。
村中:村田機械は5つの事業を軸にグローバル展開をしている産業機器・OA機器メーカーです。紡績機械を取り扱う「繊維機械事業部」、物流現場における自動化・省力化を実現する「L&A(ロジスティクス&オートメーション)事業部」、半導体製造工場向け搬送システムを扱う「クリーンFA事業部」、金属部品を加工する機械を提供する「工作機械事業部」、オフィス機器や生産管理システムなどを提供する「情報機器事業部」を軸に、産業や社会のインフラとなる機械を提供しています。
業界やお客さまがまったく異なる5つの事業ですが、一貫して機械のオートメーション(自動化・省力化)を追求してきました。創業90周年が近づく今でも、ベンチャー精神をもって研究開発に取り組んでいます。
――お二人は村田機械で電気系技術者として30年以上活躍されています。経歴や現在の業務内容を教えてください。
村中:1991年に入社してから、物流システムの電気設計を担当していました。その後、新機種の開発プロジェクトリーダーを経験し、現在はL&A事業部でソフト領域を含めたシステム開発のリーダーをしています。
小澤:大学時代はレーザーを扱う研究室で、レーザーの仕組みや出力パワーの計測について学びました。入社後は工作機械事業部に所属し、鉄板にレーザーで穴を開けたり曲げたりする板金加工機の制御設計に一貫して携わっています。
お客さまに喜んでもらえるモノづくり
――これまで取り組んできた業務で印象に残っていることはありますか?
村中:「有軌道搬送台車」という、重くて大量の荷物を高速で搬送する台車システムの開発業務で、メンバー20名ほどをマネジメントしたことが印象に残っています。
L&A事業部では機械設計、電気設計、ソフト設計という3部門が協力してシステムをつくります。私がいる電気設計部門はそれぞれの部門の間に入ってチームをつなぐ役割が求められます。例えば1つのシステムを構築するとき、機械設計が機構仕様を決め、電気設計が細かいシステム構成を設計し、ソフト設計は実際に機械を制御するソフトウエアを開発します。彼らの意見を取り入れながら、システム全体をデザインできるのが電気設計の仕事の魅力ですね。
物流システムでは機械一台一台が多くの荷物を速く搬送できることはもちろん、決められた数を決められた場所に運ぶ正確性も必要です。さまざまな性能をバランスよく向上させるのは難しいですが、とてもやりがいのある仕事でした。
完成した設備をお客さまへ納品し、稼働しているのを見てみんなで「できたね」と喜びを分かち合った瞬間のことは今でも覚えています。お客さまにも「これまでの作業が自動化されて楽になった」と喜んでいただけました。
小澤:私たちは板金加工機をゼロから設計して作っています。直感的な操作を可能にするソフト開発と、実際に機械を動かすハードの制御設計、両方含めてできるのが機械制御開発の魅力です。幅広い業務に携われるからこそ、試行錯誤して完成したときは感動しますね。
板金加工機を動かすためには機械を操作するための操作画面を作りこむ必要があるのですが、以前お客さまから「ムラテックの機械って使い勝手が悪いですね」と言われたことがありました。昔は取扱説明書を見ながら操作するのが当たり前でしたが、例えば今の時代、私たちはスマートフォンの取扱説明書なんて見ないですよね。機械も同じで、直感的に誰でも操作できるようにアップデートする必要がありました。機械が動くのは大前提として、ボタンの配置やレイアウト、大きさなど、操作する人を中心に置いた使いやすい設計を心がけています。
実際に機械を使うお客さまと相談しながら改善改良を行う中で、最終的にお客さまから「これ良いね」「ありがとう」と言われたときは達成感を得られます。またお客さまからの質問やトラブルの問い合わせも現在は減っており、直感的に操作しやすい機械になっているのだと思います。
電気系人材の活躍のフィールドは無限大

――お二人は面接官として採用活動に関わっておられます。村田機械では電気系人材はどんなフィールドで活躍していますか?
村中:全ての機械は電気で動いているので、電気がないと何もできません。そのため村田機械では、どんなプロジェクトでも、電気設計ができる人材がシステム全体をデザインするという中心的な役割を担っています。
また、機械単体の設計だけではなく、複数の機械を組み合わせたシステムの動きを管理する制御システムを作る仕事も。電気系出身者は部署に限らずどんなフィールドでも活躍できるでしょう。
L&A事業部では、基本的には電気系出身者は電気設計、情報系はソフト設計、機械系は機械設計の担当となり業務を進めています。特に電気とソフトウエアは領域としても近いため、双方の知識を持ちながらも自分の専門分野で技術を磨いている人たちが多いですね。
小澤:工作機械事業部が開発する機械は、電気系の知見とソフトウエアの知見の両方があって初めて動くものがほとんど。そのため電気系の人がソフト開発も担当したり、ソフトウエアの人が電気を学んだりすることが当たり前に行われています。電気系・情報系の研究に取り組んでいた人であれば大学で学んだ知識を活かして活躍できると思います。
電気系出身者でも情報系出身者でも両者のスキルを身につけられるように会社全体でソフトウエア研修を実施している他、OJTで先輩社員とチームになり、実際に動かしながら、少しずつ機械を覚えてもらえるような体制も整えています。
――村田機械で活躍している人の特徴を教えてください。
村中:機械とソフトをつなぐ開発者として、他の部署とコミュニケーションを取りながらシステム全体の正解を導ける人が、電気技術者として活躍していけると考えています。電気系だけではなくほかの領域にも興味をもって知識を吸収し、自分の専門領域を深めていける人は良い仕事ができるようになりますね。
小澤:電気系出身の人、ソフト系出身の人、ともに機械を動かすうえでの知識が豊富で、発想力がある人が多いですね。中でも新しいもの好きで、発想力を活かした提案ができるのが電気系の特長。新しい技術をいろいろ試して善し悪しを体験する姿勢が、発想力につながっていると感じます。
電化製品やスマートフォンの機能など身近な機械にも興味を持ち、世の中の動きにも目を向けられる人材は活躍していけるでしょう。
豊かな発想で社会を変えていける仕事がある

――これから採用する電気系の学生に期待していることを教えてください。
村中:インターネット通販がここまで世の中に広がり、社会のインフラとして機能しているのは、物流技術が飛躍的に向上し自動化や省力化が進んだからです。高齢化や環境問題などの課題を解決し、10年、20年後の社会インフラをデザインしていける仕事がL&A事業部にはあります。
なので新卒の方には、「自分が将来どのような社会で暮らしたいか」を若い発想力で考えてほしいですね。入社してからも初心を忘れずにその発想を持ち続け、より良い社会の実現を志してほしいです。そんな仕事ができることに、私自身も誇りをもってやっています。
小澤:今後機械を発展させるうえで、若者の発想や価値観、知識は大きな武器です。長年技術者をしている私にとっては当たり前のことでも、今の若者にとっては当たり前ではないことはたくさんあります。
だからこそ「これが当たり前なんだ」と思わず、今使っている機械やシステムに対して、不便な点や改善できそうなところがあったらぜひ提案してほしいですね。そういった声がきっかけとなって、新しい機械やシステム、ビジネスモデルが生まれますから。
――最後に、村田機械を志望する学生にメッセージをお願いします。
村中:社名に「機械」と掲げているから電気系人材は少数派と思われがちですが、そんなことはありません。ソフト、機械、電気の3つのチームでモノづくりをしている企業です。
世の中の役に立つ機械システムを作る仕事に興味がある方は、ぜひインターンシップに参加して話を聞いてもらえるとうれしいです。電気系人材は重要性が増しています。
小澤:村中さんの言う通りで、村田機械は総合機械メーカーです。機械のなかにある電気で動かす部分も自分たちで作っていることを知ってほしいですね。これからは電気・ソフトの時代で、電気系人材の活躍の場は着々と広がっています。やることはたくさんありますが達成感も大きいので、ぜひ電気・ソフト系の人に入社して機械を育ててほしいです。
編集後記
幅広い事業領域がある村田機械では、それぞれの事業に電気系技術者が活躍できるフィールドがある。機械とソフトの両面を支える電気系技術者として若手から活躍できそうだ。これからの社会を暮らしやすいものにするチャレンジに興味がある、豊かな発想力を持つ電気系学生にぜひおすすめしたい。
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※所属・内容等は取材当時のものです。(2023年6月公開)
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