日本の製造業の魅力をグローバルに発信したい

――阿部さんの所属やポジションを教えてください。
デジタル・マニュファクチャリング(DM)チームの所属で、プリセールスという技術営業職です。特に、製造業のお客様にものづくりのプロセスを可視化する製造オペレーション管理(MOM)のためのソフトウェア製品を提供することを専門としています。工場設備などを通して収集したデータを基に、品質管理や製造計画など生産パフォーマンスの最適化に貢献しています。
――シーメンスにはどのような経緯で入社しましたか?
大学では情報工学のサプライチェーン・マネジメント領域で、物流などのデータ分析について学びました。在学中のアメリカ留学がきっかけで日本の製造業の魅力に気づき、就職活動ではITと製造業の2業界に注目。先端技術に触れながら日本の製造業を盛り上げ、その魅力をグローバルに発信できるという観点で、製造業向けのITに強い外資系企業であるシーメンスを選びました。
私が興味のある領域の中で、当社はリーディング・カンパニーといえる存在です。加えて、配属を絞った採用で、ミスマッチなくやりたいことができる点も決め手になりました。
――入社から現在までの業務についてお聞かせください。
コロナ禍の2020年に入社し、オンラインの新人研修ではまずビジネスマナーやプレゼンについて学び、その後は3カ月ほど当社製品に触れながら勉強しました。
DMチームの目標は、当社製品をお客様に導入していただくこと。研修を受けた後は担当するソフトウェア製品について学びつつ、進行中の案件のお客様とのミーティングに参加して議事録を取るところから業務をスタートしました。基幹システムのような大型ソフトウェアなので、導入まで時には3〜4年かかるということを入社後に知って驚きました。
現在もリモートワークがベースで、必要に応じて出社するスタイルです。私のいるチームは経験豊富な社員が多く、質問や相談に丁寧に応じてくれる優しさを感じながら成長できるのがいいですね。
レベルの高さに刺激を受けた海外研修

――これまでに印象的だったプロジェクトはありますか?
初めてプリセールスの主担当を務めた案件が印象に残っています。MOMソリューションの導入を検討中のお客様と2カ月にわたり毎週会議を行い、「当社製品を使うと何ができるか」という認識をすり合わせるプロジェクトでした。過去の案件の経験を活かせたこともあり、不安よりも「自分がメインで案件を進めるんだ」というワクワク感のほうが大きかったです。上長と私を含む5人ほどのチームで製品のデモや話し合いの準備を進め、お客様が満足のいく提案をすることができました。
――現在はどのような案件が進行中でしょうか。
当社製品を導入した某グループ会社の他部署にも同製品を展開したいという要望を受け、全社システムとして展開を推進しているところです。
他部署でも安心して製品を導入していただくためには、プリセールスとしてお客様がほしい情報を的確に伝えることが重要です。先に製品を導入いただいた部署での実績をしっかり説明して、信頼と関係性を築くことを意識しています。
一つの製品が多くの部署に広がることで、今後のさらなる拡大も期待できます。チームで連携しながら、お客様の利便性と当社の利益の両方に貢献できることがやりがいです。
――経験を積みながら着実に成長している様子がうかがえます。仕事ではどんな知識やスキルが必要とされますか?
情報工学部で身につけたプログラミングやITリテラシーの知識が活かされています。プレゼンやコミュニケーションのスキルは、入社後も磨き続ける必要がありますね。
物事の本質を理解する力を鍛えるために、クリティカル・シンキングのオンライン講習を受けたことも。会話の本質を捉えた議論の方法や、相手の真意を見抜く質問力など、「お客様が本当に言いたいことは何か」を理解するうえで役立っています。それ以外にも社内向けのeラーニングや外部のビジネス講習を無料で利用できます。
――会社の制度としては他にどんな学びの機会がありますか?
新入社員を中心に声がかかった人が参加できる約半年の海外研修では、シーメンスの主要製品について学ぶことができました。その年は主にオンラインでアジアのチームメンバーと共に学び、途中1カ月はアメリカで研修を受けました。参加メンバーは韓国、中国、オーストラリア、マレーシア、インドネシア、日本からのトータル約10人に加え、アメリカの若手が約30人でした。
研修のテーマは、製造業の設計から製造までの流れをシステム化する「デジタル・スレッド」の仕組みを実現するためのシーメンスの製品群について。実際に製品に触れながら学び、最終的には「デジタル・スレッド製品を使って何ができるか」をアウトプットとしてプレゼンしました。
海外研修に参加できたこと自体もうれしかったのですが、アメリカから参加したメンバーのITに対する知識レベルの高さも刺激的でした。アメリカでは大学でしっかり学んできた即戦力の人材が多く、入社前から当社のノーコード(ソースコードを使わない開発方式)開発のプラットフォームを熟知する人もいたほどです。自分のスキルアップに伴って、彼らと一緒に案件に関わるチャンスを楽しみにしています。
グローバル企業だからこそ最先端の仕事ができる

――入社前と比較して、どんな部分に自身の成長を感じますか?
お客様との会話がスムーズになったことが大きいですね。入社直後は質問に的確に回答する自信を持ちにくかったのですが、入社4年目の現在は業界や製品の知識が身につき、お客様の業務内容をイメージしながら自信を持って製品の説明ができるようになりました。
また、最初は指示を受けて作業をしていたところから、現在は視野を広く持ってチームメンバーのタスク状況を理解し、自分で納期を設定して仕事を進められるようになったことに成長を感じます。
成長できているのは、メンターをはじめとする先輩たちの良いところをまねして吸収してきたから。プロジェクトの主担当を任せてもらえるようになり、上長やメンバーからの信頼が励みになっています。
――チームで働く醍醐味を感じているのですね。シーメンスに入社してよかったと感じるのはどんな点でしょうか。
世界的に大きな事業規模と知名度を持っており、業界の最先端にいることを日々の業務から実感します。国内外の企業が新しい取り組みを始めたいときに、当社は必ずパートナーとして名前が挙がる存在なので、若手のうちから大型案件に関われることが魅力です。
製造業向けのITは海外のほうが発展が早いため、最先端の事例や知見を日本企業にいち早く紹介できる面白さも感じています。
海外の情報に日常的に触れることで、自分の知識も常にアップデートされます。社内のナレッジシェアのプラットフォームではグループ各社の資料に常時アクセスできますし、海外の開発担当者に直接メールして、情報収集のミーティングを設定することも日常です。反対に海外メンバーから「日本の案件状況やお客様の要件を知りたい」と言われることもあり、相互に情報やアドバイスを提供しています。
入社1年目から圧倒的なスピードで成長

――今後はどんなスキルを高めながらキャリアを磨いていきたいですか?
クリティカル・シンキングのようなビジネススキルや、チーム・マネジメントをもっと深く勉強して、プリセールスとして活躍するための業務スキルを身につけたいです。大規模案件のシステム導入でお客様のメリットを最大化し、喜んでいただけたらうれしいですね。
技術営業は各製品に特化したコンサルタントのような仕事だと考えています。専門性の幅を広げ、いずれはもっと広い視野でシーメンス製品全体の包括的な提供を考えるコンサルティング系の業務にも関わりたいです。また、サービス事業の導入などにおけるプロジェクト・マネジメントにも興味があります。
――キャリアの幅を広げていくことで、世の中に届ける「価値」も大きくなっていきそうです。
当社製品の領域の知識に加え、今後は他社製品の知識も増やしながら、広範な知見やスキルを産業や社会に還元することが目標です。製造業向けのITという業界で、当社が先端技術を駆使した製品を持つ数少ない企業であるように、 私もこの業界をリードしていくような存在になりたいです。
――最後に、今後入社する理系学生にメッセージをお願いします。
当社では単純なコミュニケーション能力というより、人と上手にやり取りをしながら仕事を進める能力を持つ人が活躍しています。自主学習への高い意欲と、やりたいことを積極的に発信する姿勢も強みになるので、そういった人に来てほしいですね。
当社のシステム導入に際しては、お客様の中でも意思決定権を持つハイレイヤーの人たちと関わることが多く、新入社員のうちからレベルの高いビジネスシーンを経験できます。Slerなどでは新入社員を5年ほどかけて社内でゆっくり育てるケースもありますが、シーメンスでは1年目から現場に出てプレゼンにも参加するので成長のスピードは圧倒的です。若手のうちから仕事を任されて成長を実感する楽しさを、当社でぜひ体験してください。
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#### 編集後記
製造業をはじめとする産業界にソリューションを提供するシーメンスでは、海外研修に代表される教育制度や裁量の大きい環境が意欲ある若手の成長を加速させている。日常的に海外のメンバーと情報交換をするグローバルな働き方ができ、世界標準の最先端技術にキャッチアップしやすいことも魅力的だ。同社でITの知見やビジネススキルを磨きながら、広がりのあるキャリアを描いてみてはいかがだろうか。
※所属・内容等は取材当時のものです。(2023年12月公開)
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