スポーツと研究に打ち込む大学・大学院生活

――まずはお二人の入社してからの業務内容を簡単に教えてください。
漆谷:2016年に入社し、金融コンサルティング部にて、主に金融業界向けの事業戦略の策定や、SDGs・ESG投資など企業の中長期的な持続可能性を見据えた戦略の立案等を行いました。この春から採用担当として動いています。
八木:私はグローバルインフラコンサルティング部にて、航空会社や鉄道会社といったインフラ産業の事業戦略を策定するプロジェクトに関わり、中期経営計画の策定や、新規事業戦略の立案などを行いました。この4月から人材開発室に異動となり、経営コンサルティング部門の採用を担当しています。漆谷とは同期です。
――学生時代はどのような活動をしていましたか?
漆谷:大学時代はスカッシュというスポーツに打ち込んでいて、毎日練習していました。研究室に入ったのは4年生からです。流体力学を専門にする研究室で、細胞の周りを流れる血流を精緻に計測するために光学系を用いた機械をつくっていました。とにかく研究室にこもり、ずっと機械と向き合っているような生活を送っていました。
八木:私は男子ラクロス部で活動していて、研究に専念したのは大学院からです。人類進化論というサルから人間の進化をたどることを研究テーマに観察をしていました。漆谷とは逆に、研究室にいるだけではなく京都の嵐山や東北の無人島などへフィールドワークも行っていましたね。
真摯に向き合い個を尊重する、この人たちと一緒に働きたい

――どんな理由でNRIの経営コンサルティング部門を志望されたのですか?
八木:私の場合、3つの軸で就職活動をしていました。「プロフェッショナルであること」「チームで突き詰めて働けること」そして「知的好奇心が満たされる仕事」です。
そこからコンサルティングファームにたどり着き、NRI含めいくつかのインターンに参加しました。印象に残ったのが、学生と対等に接するNRI社員の姿です。例えば議論の途中に、社会人からすれば「ちょっと生意気だな」と思うような発言をしても、フラットに受け止めてくれました。誰が発言したかではなく何を発言したかを重視する、相手を尊重している姿勢を感じましたね。こんな人たちと一緒に働きたいという思いが入社を後押ししました。
――就活で大切にしていた軸に加えて、NRI社員の人柄に魅力を感じたということですね。漆谷さんはいかがですか?
漆谷:私は「一緒に働きたい人がどれだけいるか」「若いうちからとことん専門性を突き詰められるか」「プライベートと両立できそうか」の3軸で会社を見ていました。これを当てはめると、もうNRIしかなかったというのが正直なところです。
その中でも、やはり私も「人」という部分は大きかったですね。NRIのインターンシップで会った社員の個を尊重する姿勢に惹かれました。学生に対して、全力でぶつかってくださり、丁寧にフィードバックをくれるんです。インターンだから、学生だからと手を抜かない社員の姿に、「NRIは相手に全力で取り組んでいる会社だ」と感じ、 こんなに真摯に向き合う人たちなら一緒に全力で働きたいと思えたのが、最終的に入社を決めた理由でした。
――就活中は、他の業界や研究の道などコンサルティング以外の選択肢は考えませんでしたか?
八木:研究を突き詰める道は考えました。ただ、サルの研究は非常に好奇心を満たされるテーマですが、人間の進化をたどる過去の探求です。長期的にみて人の生き方や社会へ影響を与えられる研究ですが、それよりもう少し短期スパンで未来に名を残せる何かをやり遂げたいと思い、ビジネスの世界に進もうと考えました。就職しようと決めてからは、コンサルティング業界に絞って活動しました。
漆谷:周りには学校推薦などで機械メーカーに入る友人が多かったですし、私自身、研究室で機械をつくっている時間が好きだったので、最初は普通に機械メーカーに行くのだろうなと思っていました。
就職活動をしている中で、ふと「この先の30年、ずっと機械と向き合い続けるのか」と自分に問いかけてみると、「対機械じゃなくて、人と何かを創り上げてみたい」という本音に気づいたんです。そんな中、NRIのインターンに参加して一緒に働きたいと思える人たちに出会ったら、その気持ちが抑えきれなくなっちゃいましたね。
「論理的思考だけでは物足りない」NRIが考える理系学生の強み

――NRIのコンサルタントの仕事について、やりがいや魅力を感じたエピソードを教えてください。
漆谷:私が一番やりがいを感じる瞬間は、お客さまから「ありがとう」と言われるときです。私が2年目のときに関わった企業合併のプロジェクトなのですが、まだ若手の私にとってかなりハードルも高く、無我夢中で走り続けました。プロジェクト終了時に「漆谷さんがいてくれて本当に助かった。これからもずっと一緒にうちの会社を支えてほしい」と社長から言われたときは、本当に頑張ってよかったなと思えましたし、それだけ”個”としてインパクトを残せたと思うとうれしかったですね。
八木:私が印象に残っているのは、お客さまと1年間伴走したプロジェクトです。リーダーとしてお客さまと直接議論し、戦略だけでなくサービスの実現まで携わったことに非常にやりがいを感じました。コンサルタントとして大切なのは、お客さまの事業を前に進めること。ロジカルなだけの戦略ではプロジェクトは動きません。感情的な折り合いや他部署との兼ね合いなども含め、相手の意思決定をサポートできるのが理想のコンサルタントだと思います。
――戦略を描くだけが、コンサルタントの価値ではないのですね。
八木:戦略を描いて終わり、とはいきません。あくまでもゴールはお客さまに意思決定していただけるか。正解がない状態でいろんな人と議論を重ねながら、お客さまの納得感を高めていくのがコンサルタントの価値ですね。
漆谷:お客さまとゴールを擦り合わせる過程は、コンサルタントの一番のやりがいでもあり、その分高いハードルでもあります。私は以前、企業の長期ビジョンを決める仕事を担当していました。企業のゴールともいえる長期ビジョンを考えるのは難しく、特に苦労しました。しかし、試行錯誤を続けるなかで「コンサルタントはただ正しいことを当たり前のように言うのではなく、相手と目線を合わせ、一歩前をリードしながら一緒に答えを探していくのが役目なんだ」と気づきました。
八木:コンサルタントは正解がないところから答えを突き詰めていくものなんですよね。それは研究にも似ていると思います。研究でも、どう突き詰めるか自分で決めなければいけませんから。
異なる意見の人々と議論をし、全員が納得できる正解を探す道のりは大変です。それでも諦めずに探究する姿勢は、答えのないテーマを突き詰める研究で鍛えられたかもしれません。
漆谷:研究で培った”本質”を見極める力や、考え続ける力はコンサルタントの仕事でも役に立ちます。そんな思考の持久力を持っている学生はコンサルタントに向いていると思います。
――「突き詰める力」や「思考の持久力」が必要ということですね。理系学生の採用では「論理的思考」が求められるとよく聞きますが、NRIではいかがでしょうか?
八木:「論理的思考だけでは物足りない」と思います。コンサルタントは、物事の裏側で働いているロジックや仕組みを推察する必要があります。そして法則を理解した上で具体論に落とし込む力が求められます。
例えば、戦略立案で参考にすることもある他産業の事例は具体論です。しかし具体論のままでは、お客さまの置かれた状況にはマッチしません。「他産業から類推するに、この業界はこんな仕組みで動いていくだろうから、こんな戦い方をしましょう」と文脈を抽象化することで意味のある示唆を得ることができます。
目の前にある事象を軸に、抽象論と具体論を行き来する。このスキルを支えるのは、豊かな想像力や発想力です。それはまさに自然科学を扱い、観察・理解している事実から法則や理論を推察する理系の研究でこそ培われる力ではないでしょうか。
「コンサルは理系の仕事じゃない」と決めず、ぜひ挑戦を

――NRIではどんな人材を求めていますか?
漆谷:一つは知的好奇心が旺盛な方ですね。コンサルタントの特性上、未知を学ぶことを楽しむ力が大切です。もう一つは、 「自分ごと化」して考えられる方。私たちの仕事は相手の悩みを解決するものです。それには相手の立場を想像して取り組む必要があります。お客さまに寄り添うための素直さや謙虚さがあると、よりいいなと思います。
八木:あと、データを扱える人は強いですね。NRIの経営コンサル部門ではDXコンサルティング部という部署を拡充し、データアナリティクスによってビジネスの課題を解決しています。データ分析を専門としていなくても、素養や意欲を持っている学生は大歓迎です。
――最後に、就活生へのメッセージをお願いします。
八木:ぜひ、学生時代にしかできないことを突き詰めてやり抜いてください。それから、人と会ったり本を読んだり、いろんな経験をして多様な価値観に触れてほしいですね。それが自分にあった会社選びに活きてくると思います。
漆谷:私自身、NRIのインターンシップに参加したことで、理系学生になじみがないと思っていたコンサルタントという職業に研究と似通った性質があると気づけました。理系だから研究職と決めつけず、ぜひいろいろな業界を見てほしいですね。
八木:NRIでは、最終的に主に経営学などのアカデミックの道に戻るキャリアを選ぶ人もいます。研究分野へ関心を持ちつつ、ビジネスの場でも能力を試してみたい学生さんは、一度インターンシップやイベントを体験してみてください。
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※所属・内容等は取材当時のものです。(2023年5月公開)
編集後記
顧客と共に、大きな戦略を描くコンサルタントにとって論理的思考力はあって当たり前のもの。それだけではなく、研究室で培った「考え続ける力」や「想像力」がコンサルタントとしての強みになる。文系職と思われがちなコンサルタントの仕事が、研究の道とつながることを知った。理系学生は多様な軸を知るために、まずはNRIのイベントに足を運んでみてはどうだろうか。