理系以外との橋渡しのため、技術営業に

――まず、学生時代の研究内容や就職活動の様子を教えてください。
平野さん:熱を電気に変換する熱電デバイスに適した材料物質を調べる研究をしていました。「理系院卒=メーカー就職」と考えていたので、パナソニックは真っ先に思い浮かんだ候補で、インターンにも応募しました。6年間続けた塾講師の経験から 「詳しくない人に理系知識を教えること」も好きだったので、教育業界も見ていました。
山本さん:学生時代は、熱電材料セレン化スズの研究一筋でした。材料系を研究していたこともあり、就活当初は素材メーカーばかり調べていましたね。その過程でたくさんのおもしろい素材に出会い、素材を生かした製品開発をしたいと思うようになって電機メーカーも見始めました。 仕事内容がおもしろく、価値観が合う企業で働きたかったので、企業研究では事業内容と経営理念を重視しました。
――パナソニック インダストリー株式会社(以下、インダストリー社)への入社の決め手はなんでしたか。
平野さん:インターン最終日に技術営業という職種の存在を知ったことです。自社製品を導入してもらうため、お客さまに専門知識も分かりやすくかみくだき、製品の特長を伝えることが必要になる職種ですね。 技術営業としてなら、教育業界にこだわらなくとも理系とそれ以外の橋渡しができると知り、パナソニックへの入社を決めました。 デバイスを扱うインダストリー社を選んだのは、家電分野よりも研究内容が生かせると思ったからです。
山本さん:私は、目立たないけれど日常生活を支えている商材をたくさん扱っていることに興味を持ち、インダストリー社を選びました。決め手となったのは技術面談の面接官の方です。 「ずっと現場で研究したい」という話を笑顔で聞いてくださり、自分を理解してもらえたと思ったことが印象的だったんです。
入社1年で特許出願を実現。若手でも主体的に働ける企業風土

――現在の担当業務を教えてください。
平野さん:志望も実際の配属も営業本部ですが、現在はトレーニー(研修員)として事業部に所属し、赤外線センサの担当としてお客さまの案件管理をしています。お客さまごとの製品への関心度合いを把握して定期的にフォローアップし、契約を成立させるためのアプローチを販売会社や工場に提案しています。
山本さん:何年か先を見据えた研究に取り組む技術本部で、人工嗅覚センサ開発に関わっています。嗅覚は五感センサのなかで一番開発が遅れていますが、異臭検知などのため需要は大きく、早期開発が期待される分野。私のチームでは材料設計から、検知したニオイの解析まで一貫して手がけています。私はニオイのもととなる分子が吸着する「感応膜」という部分について、より高性能な材料の実現のため研究しています。
――業務に必要な専門知識はどのように身につけているのでしょうか。
山本さん:学生時代にあまり学ばなかった有機化学の知識が必要なので、化学系出身の方に助言をもらいながら勉強し直しています。部内のプログラミング担当の方とスムーズに話せるよう、プログラミングも勉強していますね。
平野さん:赤外線の知識は今の業務では学部時代に学んだ基礎的な内容で十分なので、特に勉強はしていません。販売会社の技術的な質問に素早く答えられるので、強みになっていると思います。
専門知識ではありませんが、英語はよく勉強していますね。欧米と中国が担当地域なので、営業や問い合わせ対応に必要なんです。時差のため、欧州の取引先は日本の16時頃が始業時間。 フレックス制度を活用して10時から19時頃までの勤務にして、余裕のある朝の時間帯に英語を勉強しています。海外出身の同期とは英語で話すなど、日々地道にブラッシュアップしていますよ。
――もともと英語が得意で、それを武器に働きたいと考えていたのでしょうか。
平野さん:いえ、入社時のTOEICの点数は大学生の平均点ぐらいで、留学経験もないのでものすごく得意というわけではありませんでした。それでも、研究に必要な情報は英語文献のほうが量も質も良いので、普通の人よりは多く英語に触れていたと思います。配属面談でも、「英語を使って働きたい」とは伝えていました。 海外経験があったわけではないのに希望を反映してもらえたのはうれしかったですね。
――仕事を通じて達成感を得たエピソードがあれば教えてください。
平野さん:取引先から自分に直接問い合わせが来るようになったことですね。最初は会議に出席しても上司のおまけ扱いで、自分から電話することはあっても先方からの連絡は上司宛てにしか来なかったんです。でも、 英語でスムーズに会話ができるようになると自分宛ての連絡が来るように。取引相手として認められたと実感しました。
山本さん:1年目で研究成果の特許出願ができたことです。社内の研修や過去の出願時の発明提案書を見て、助言をもらいながら準備を進めました。入社前はまさか自分が特許出願なんて考えたこともありませんでしたが、「こうしたら特許が出せそう」とどんどんアイデアを出す先輩方に感化されたんです。 会社にとっても重要な特許という事柄に、1年目の自分が主体となって取り組むことができた達成感はとても大きかったです。
「素直な心」で「力闘向上」。成長を実感できる充実した日々

――パナソニックの経営理念や、創業者・松下幸之助の言葉で特に好きなものはありますか。
平野さん:私の好きな言葉は「力闘向上」。読んで字の如く、力の限り切磋琢磨して自分の能力を向上させようという意味です。
1年目からドイツで働いている営業本部の同期がいて、入社直後から英語力で競い合っていたんですよね。TOEICも、スコアで彼に勝つために勉強していたふしもあるくらいで(笑)。昔から周りのすごい人に影響を受けて奮起することが多かったので、この言葉が響きました。
山本さん:好きな言葉がたくさんあるので迷いますが、社員のあり方を示す経営理念である「素直な心」と『社員心得帖』の中の「仕事の味を知る」でしょうか。
「素直な心」は、先入観抜きで物事をありのままに見ようという意味。実験を行うときは事前に結果を予測したうえで取り組むので、実際の実験結果を狭い視点でしか見られないことがあるんですよね。そんなときに先輩に「こういう見方もできるのでは?」と指摘されて「あ、素直な心を忘れていたな」と姿勢を正す日々です。
「仕事の味を知る」は、分からないことだらけでも、何年も働いていれば仕事の奥深さが分かってくるという意味の言葉。「イヤだな」と感じてしまう仕事も頑張って取り組もうと思わせてくれます。
――インダストリー社で働いていて、自身の成長を実感するのはどんなときでしょうか。
平野さん:理詰めだけでは会話できないと気付いたときですね。論理的に説得するより、感情に訴えるほうが響くことがあるんです。相手によって「理詰めでいこう」「論理を控えて心に訴えよう」と切り替えられるようになり、コミュニケーションの武器が増えました。
「理系とそれ以外の橋渡し」ができている充実感もありますし、コミュニケーション方法という、研究生活では得られない営業職ならではの経験で成長を実感できるのはとてもうれしいです。
山本さん:昨日は分からなかった失敗の理由を突き止められた、という小さな積み重ねで成長を実感します。新規の材料を扱っているので、まったく未知の現象を解明できたときも気分が高揚しますね。
開発職なのでお客さまと直接関わることはそれほど多くはありません。ただ、私たちが作ったものを活用していただくことで、顧客企業の要望を実現しその成長に貢献できるのはBtoB企業の魅力だと思います。
材料開発で、海外支社で、中心的人物として活躍したい

――社内の雰囲気と、それぞれが思い描いている将来のキャリアプランを教えてください。
山本さん:私の部署は大学院の実験室のような、つまずいたら周りにすぐ質問できる雰囲気があります。上司が意識的に雑談の時間を設けていて、円滑なコミュニケーションができていますね。
将来は退職までずっと現場で研究開発をしていたいです。短期的には、自分が開発している材料が人工嗅覚センサに採用されること、長期的には自分が中心となって開発した材料を事業化することが目標です。
平野さん:私の部署には、理論的なタイプや感情に訴えるタイプの方など、さまざまな考え方のメンバーがいます。正反対の性格の人でも同じ職場で持ち味を生かして働けるのはインダストリー社の良いところだと思います。
将来は海外駐在員として活躍したいですね。まずは若手のうちに一度海外で自分を磨き、その後経験を積んでからもう一度管理職として海外で働くキャリアを目指しています。
――社会人の先輩として、就活生にメッセージをお願いします。
平野さん:「理系なのに営業?」と周囲には驚かれましたが、学生時代の経験はいま大きな強みになっています。だから、すべてのことに全力で取り組んでほしいですね。「無駄になる知識はない」ことを一番に伝えたいです。
山本さん:コロナ禍で就活も不安がいっぱいだと思いますが、自分がやってきたことを信じて進めば良い結果が待っています。学生生活を楽しんで、研究を頑張ってください。
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※所属・内容等は取材当時のものです。
編集後記
営業と研究開発という異なる職種で、理系人材として身につけた知識を生かして活躍する平野さんと山本さん。インタビューからは、希望をくんでくれる職場で毎日意欲的に業務に取り組んでいる様子が伝わってきた。
若手社員の希望を聞き入れ大きな裁量を与えてくれる、パナソニック インダストリー株式会社。ここにこそ、最先端の研究で特許取得や新規事業の立ち上げを夢見る学生にとっても、研究開発以外の立場から理系知識を生かして活躍したいと考える学生にとっても、理想のキャリアを実現できる環境があるのではないだろうか。