グローバルで活躍! 化学分析の研究者が語る、 JT R&Dグループの研究環境の魅力・やりがい

インタビュー

LabBase Media 編集部

グローバルで活躍!  化学分析の研究者が語る、 JT R&Dグループの研究環境の魅力・やりがい

国内外に研究拠点を構え、130以上の国と地域でたばこを販売するJT(日本たばこ産業株式会社)。製品を開発・製造する全過程に不可欠なのが、たばこ製品に含まれる化合物の成分分析だ。そんな重要業務に従事し、日々研究者としての腕を磨く二人に、JT R&Dグループで働く魅力を聞いた。 日本たばこ産業株式会社: たばこは何百年間にもわたって愉しまれてきた嗜好品であり、歴史とともにそのかたちを変えてきました。そして今、お客様や社会からさらなる進化が期待されています。JT R&Dグループは、一人ひとりが“自ら未来をつくる”という情熱をもち、サイエンスとテクノロジーを進化させ、世界中のお客様に感動いただける未来のプロダクトの創造に挑戦しています。

化学分析の経験を活かし、面白いチャレンジができる



――学生時代の取り組みや入社の経緯など、自己紹介をお願いします。


大橋:農学部の食糧化学工学分野の研究室で、バイオセンサを開発していました。飲料製造ラインの洗浄度合いを評価できる「においセンサ」や、空港・鉄道などで爆発物を探知できる「セキュリティ用途向けセンサ」の開発が当時の目的でした。


就職活動では食品業界を志望していました。説明会で日本たばこ産業株式会社(以下、JT)に興味を持ち、研究職と技術職の両方にエントリー。座談会・見学会で出会ったたばこ事業R&Dグループ(以下、JT R&D)の社員の人柄にひかれて「一緒に働きたい」と思い、入社を決めました。


島津:有機化学が好きで、有機合成分野の研究室で新規の抗がん剤候補物質の研究をしていました。就職活動では、研究の成果物がお客さまの手に届く様子を自分の目で見たかったので、商材が身近な医薬・食品メーカーの研究職を考えていました。


JTも、当初は医薬事業を見ていましたが、ふと自分が嗜好品として好んでいるたばこ領域を調べてみたところ、紙巻たばこの煙に含まれる多くの化合物がまだ完全には分析されていないことを知りました。


化合物の化学分析の経験もあったので、「面白い挑戦をしながら、会社に貢献できそうだ」と思い、JT R&Dへの入社を決めました。


――入社以降の業務内容を教えてください。


島津2008年の入社以降、一貫して煙やベイパー(蒸気)の成分の化学分析に携わってきました。半年間の研修後、約7年間たばこの主流煙に含まれる化学物質の分析と新しい分析方法の開発に従事。その後、ウィーンにあるJTインターナショナル(以下、JTI)に出向し、引き続きたばこ製品の成分分析法の開発・改善に取り組みました。


2016年に帰国し、RRP(※)の一つである「加熱式たばこ」のベイパーの成分分析や測定を2年間行いました。その後、加熱式たばこの新規分析体制の立ち上げに携わり、現在は、新規分析法の開発や評価系の立ち上げを担うチームのマネジメントを担当しています。


大橋:入社以来、化学分析に長く携わってきたという点では、島津さんと同様のキャリアパスを歩んでいます。私は2016年から2年間ウィーンに出向し、電子たばこのベイパーに含まれる成分の分析法開発に取り組みました。現在は、製品・原材料の品質に関する化学分析などを担当しています。


※RRP(Reduced-Risk Products):喫煙に伴う健康へのリスクを低減させる可能性のある製品のこと。


「攻めの姿勢」で新たな分析手法の開発に従事



――たばこの化学分析は、たばこ事業全体のなかでどのような位置づけになるのでしょうか?


大橋化学分析データは、製品の開発から製造・販売、お客さまの手元に届くまで、バリューチェーンのあらゆる場面で活用されています。国によっては、煙に含まれる成分の量を決められた方法で測定したデータの提出が求められることも。


また、煙やベイパーの分析だけでなく、たばこ製品を使用している空間にどのくらい製品由来の成分が漂っているかなど、室内空気環境に関するデータを外部コミュニケーションで活用することもあります。


開発中の製品や原材料の品質を評価するためにも、化学分析は重要。「開発品が狙ったとおりの機能を搭載できているか?」を客観的に評価するには、化学分析が必要となります。味や香りに寄与する成分はもちろんのこと、健康懸念物質についても、成分分析によって比較・評価しています。


たばこ業界においても、分析手法は年々、高度化・細分化が進んでいます。分析技術そのものの進歩もありますが、紙巻たばこと加熱式たばことでは、製品形態が大きく異なるうえ、製品ごとに分析対象・方法も異なるからです。


島津:JT R&Dの試験所は、ISO17025(試験所認定)を取得し、正確な分析・測定結果を提供するためのデータ品質管理体制を構築しています。


また、新規分析手法の開発では、論文などで報告されている最新技術を取り入れながら、新規分析手法の妥当性を研究員同士で議論・検証し、分析対象成分の測定精度を確認しながら新手法の確立・導入を進めています。


製品開発ニーズや規制などにタイムリーに対応するために、常に自他社の動向や世情の変遷に目を配り、「今後どのような分析手法が必要とされるか」を察知して対応可能な分析手法を準備する。そんな先を見て行動することも求められる業務です。


――たばこ事業に不可欠の業務なんですね。そのやりがいや面白さを詳しく教えてください。


大橋:測定条件を自分で検討・設定し、新たな発見が得られると、本当に面白いですね。想定外の結果が得られたときには、別の角度からの分析や同僚との議論を重ねながら、その現象を把握・解明していく過程も楽しいです。


新しいタイプの製品に関して、新たな分析手法を確立して正体を突き止めることには大きなやりがいがあります。


専門分野が異なる研究員が多く在籍しているので、議論を通じて新しい視点からのアプローチが発見できることも。本当に、毎日が充実しています。


島津:サイエンス全体に当てはまりますが、やっぱり「分からなかったことが分かるようになること」は面白いですね。


例えば、紙巻たばこと加熱式たばこの相違点は煙・エアロゾル中の成分から説明できますが、このことはRRP(※)が登場し、新しい評価系の確立が必要になったからこそ分かったこと。紙巻たばこだけの分析であれば、こうした新しい比較をしなかったでしょう。


グローバルでたばこ事業に関わる醍醐味



――JT R&Dで研究職として働く魅力を教えてください。


島津新しいことへの挑戦の必要性が納得できるものであれば、年齢・経験不問で挑戦を後押ししてくれる土壌があります。


私も、新たなRRP(※)が登場したとき、「ゼロベースで新製品に特化した分析体制を立ち上げるべきだ」と当時の上司に話しました。その後熱意が認められ、一人で取り組みを始めることに。


次第にいろいろな方が賛同してくださって、最終的に新たな分析体制の立ち上げを達成しました。新たなチャレンジを会社から認められたことは、大きなモチベーションになりましたね。


大橋:JT R&Dの中だけでも、葉たばこや香料、デバイスなどを専門にしているチームがあり、さまざまな分析依頼を受けています。製品の開発から製造まで、分析業務を通じて一連の流れ全てに関わることができるのは、私たちのチームで働く醍醐味ですね。国内に3カ所、海外に2カ所の研究拠点があるため、グローバルな活躍も可能です。


――海外拠点のお話がありましたが、お二人のウィーンでの業務内容を具体的に教えていただけますか?


島津:同じ分析を行っているウィーンの研究所に出向し、分析精度の向上に取り組みました。精度を確かなものにするためには、基本的なテクニックや分析手順の詳細まで、綿密に確認することが重要です。


私は、それまで従事してきた日本での分析方法とJTIの分析方法のクロスチェックを実施し、分析精度を向上させるとともに、物理的に離れている研究所でも同じ分析値が得られるように、調整・整備を行いました。


大橋:ウィーン在籍時は、JTとの共同プロジェクトに加え、JTI独自のプロジェクトにも参画していました。電子たばこのベイパー中に含まれる成分の分析法開発では、化学的に不安定な16成分が分析対象で、どのように捕集・前処理を行って一斉分析するかが課題でした。


現地の同僚と協力しながら、文献を参考に分析条件を最適化し、分析法のバリデーションを実施して、開発した分析法が期待する分析能を有するかを検証しました。


試行錯誤を経て、目的に沿う分析法が開発できたときはうれしかったですね。帰国後、研究成果を国際学会で発表することになりましたが、現地メンバーとして自分の名前を入れてくれた心遣いにも感謝しています。


自分の頭で考え、熱意と意欲を持って研究に打ち込もう



――JT R&Dに向いている、ともに働きたいと思える人物像を教えてください。就職活動中の学生へのメッセージもお願いします。


島津:私たちの業務では、正確な分析結果を提供するためにデータの精査が必要なので、誠実に業務に取り組める人が向いていると思います。


一方で、まったく新しいRRP(※)の分析法開発には発想力も重要。化学分析の技術は日々進化しているので、説明書片手に「とりあえず新しい手法を試してみよう」という度胸も求められます。


思うように研究成果が出ないときも、やるべきことを自分で考えて行動できる人は大いに成長できるでしょう。研究業務に熱意を持って取り組み、お互いの考えを議論を通じて高め合える人と一緒に働きたいですね。


就職活動は、将来を考えるうえでとても大切。後悔のないように取り組んでほしいですね。「やり抜く力」も重要ですから、大学での研究活動も着実に取り組んでください。


大橋:私も自分でよく考え、「なぜ、この業務が必要か」を理解・納得したうえで行動できる意欲的な人と働きたいです。


化学分析は、経験を積むほど科学的なセンスが磨かれる職人技。それでも、業務を通じて技術を高めていくことができるので、理系学生であれば技術面での問題はないでしょう。


福利厚生が手厚く、私も小さい子どもがいますが、育児のためのスケジュール調整ができて助かっています。ワークライフバランスを重視する人にも、JT R&Dをおすすめします。本当に働きやすい環境ですよ。


日本たばこ産業株式会社の 「企業情報」をチェック!
JT R&Dグループについて詳しくは こちらをご覧ください。


編集後記


製品を開発・製造する全過程で重要な「たばこ製品の化学分析」に、入社以降一貫して従事してきた二人へのインタビュー。新しい手法を次々と取り入れる研究内容だけでなく、規制の動向をも見据えて新たな分析手法を開発することが求められる、非常にエキサイティングな領域であることが伝わってきた。チャレンジ精神が旺盛で、分析技術を磨きたい理系学生にはうってつけの研究環境があるのではないだろうか。


※所属・内容等は取材当時のものです。(2022年12月公開)


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ライター
三輪 愛
カメラマン
上田 真希子
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企業情報

日本たばこ産業株式会社

日本たばこ産業株式会社

JTグループは、たばこ事業を利益成長の中核とし、医薬事業、加工食品事業を柱に、130以上の国と地域でたばこ製品を販売しており、多様な価値観、強みを活かしながら、様々な国と地域で約62,000人の従業員が働いています。JTグループでは、“人財の多様性=競争力の源泉”という認識のもと、多様な従業員の自律的な成長意欲に応えるべく、様々な成長支援やチャレンジの場を提供しています。 JT 採用サイトはこちら! https://www.jti.co.jp/recruit/fresh/sogo/index.html