環境事業と安定基盤に感じた会社の魅力

――お二人とも工学部の出身だそうですが、学生時代はどんな研究に取り組みましたか?
T:ガソリン車の排ガスの浄化触媒について研究していました。一般的に浄化触媒には貴金属を使いますが、それを安価な金属に置き換えるというテーマでした。
F:Tさんと同じ研究室の出身ですが、別のチームで金属触媒について研究しました。安定したメタンを工業用に汎用性の高いメタノールなど付加価値の高いエタンやエチレンに変換するための触媒のスクリーニングが中心でした。
――就職活動からDOWAホールディングス入社までの経緯をお聞かせください。
T:環境関連で、なおかつ複数事業を安定的に運営している会社を志向していました。そのうえで会社の雰囲気など、自分がなじんで働いていけるかどうかを重視していましたね。
DOWAホールディングスは環境事業を大々的に展開していたことに加え、OBOGによる大学での会社説明会に参加したことで興味を持ちました。その時のOBOGも、工場見学で話した若手社員も親しみやすく、自分に合いそうだと感じたことが決め手でした。
F:専門だった無機系・金属系の業界に絞って就職活動を進めました。その中で、当社の事業分野の幅広さによる経営の安定感はやはり魅力的でしたね。
就職活動中は数社の工場見学に足を運びました。当社の場合は社員同士が話す雰囲気やその後の親睦会でのコミュニケーションの様子から、風通しの良さそうな会社だと感じたことが入社を後押ししました。
――入社前後で、会社や働き方のイメージは変化しましたか?
T:正直、専門と別の分野に進む不安はあったものの、ほとんどの企業が専門外になるわけですから、努力して勉強していこうという気持ちで入社しました。
女性が少数派の分野なので育児休業などの利用実績も絶対数は多くなかったのですが、入社して感じたのは「個人に寄り添ってくれる会社」だということです。女性社員が少しずつ増える中、ヒアリングしながら「どうしたら働きやすくなるか」を一緒に考えてくれるので安心しました。
F:私の場合はTさんが入社されていたため、少数派ながら女性も活躍中の職場という認識で不安なく入社しました。実際、ほぼ定時退勤で、有給休暇も希望通りに取得でき、長い目で見ても働きやすさを感じています。
サポート万全のOJTで学び、成長し続ける

――現在まで、どのような業務に携わってきましたか?
T:入社後は電子材料研究所で、太陽電池に使用される銀粉の開発、特に複数の製造工程における量産前の銀粉開発に4年ほど関わりました。その後、出産し1年間の育児休業を経て、2023年5月からは同研究所の知財担当として復帰。研究開発に関わる知財関係の業務を担っています。
F:入社以来、めっきの技術部門で車載向け貴金属めっきの生産性改善や、新製品開発を行っています。最初の1年は実機加工の量産プロセスの改善を担当し、2年目のチーム異動以降は新規めっき膜の研究開発にあたっています。
――これまで大変だったこと・印象的な出来事をTさんから教えてください。
T:材料開発では、材料の試作規模が複数あり、順を追ってスケールアップしていきます。その中で中量機の試験機の改造工事をメインで担当し、DOWAグループ内の設備系の専門家と相談して進めました。
当時、最小単位での試作しか経験がない中で中量機の工事担当にチャレンジしたので、スケールごとに求められる要素の違いを理解することが最初の課題でした。OJTのサポート役の先輩が、複数の設備を見に連れていってくれて、必要な知識を習得するきっかけをくれたことが印象的です。
また、私の所属部署は化学・理学系の出身者が多いですが、この時に関わった設備系の専門家は機械・電気系。協業する中で、知りたいことを上手に聞くコミュニケーションスキルなど多くのことを学べました。
――Fさんはどんな仕事が特に印象深いですか?
F:現在進行中のプロジェクトですが、電気自動車(EV)の主流化を見据え、従来の端子などに付けていためっき膜とは異なるEV向けの特性を持つめっき膜の開発に取り組んでいます。まだ世の中に存在しない材料を開発し、最終的には量産まで持っていくことを目標として、ラボスケールで研究開発中です。
ゼロから1を見いだすスクリーニング調査から始まり、1を10にするための改善試験、量産に向けてスケールアップと、私の配属前から数年にわたって進行しているプロジェクトです。以前担当していた量産の現場改善と違って、大きな成果が出るまでに時間と根気を要する業務です。試験の改良案を考えて試しても思うように結果が出ず、次々と作戦を練り直すのが大変ですね。
チームメンバーは5人で、上司や先輩に相談するといつでも親身になってくれますし、「困っていることはない?」と手を差し伸べてもらえる環境のありがたさを感じています。
大学でめっきの研究をしていた技術者は多くなく、専門知識は入社後に研修や、実務を通して学んでいます。ただし濃度計算や有機化合物など化学の基礎知識を用いることが多いため、大学での学びがとても役立っています。
男女問わず責任ある仕事を任される公正さ

――「この会社に入って良かった」と感じるのは、どんなときでしょうか?
F:お客さまと定例の打ち合わせでは、開発しているめっき膜の改善成果などを報告します。そこでお客さまから「DOWAで開発したより良いめっき膜をぜひ使いたい」という期待をダイレクトに感じることが、やる気につながっています。
私は働きやすさや環境も重視しているので、年齢に関係なくフランクに話しやすい部署で働けて、本当によかったと思っています。
T:開発業務で目指すのは求められる材料特性を出すことです。自分で考え抜いた開発品が、お客さまが求める特性をクリアできたとき、達成感を覚え、特にやりがいを感じました。
知財業務では会社の事業継続に関わる専門的な技術の特許などを扱うので、ビジネス全体を陰で支える力になることが醍醐味。特許技術をトレース試験するといった業務もあり、開発経験もしっかり活かせています。
――活躍するためには、年齢や性別が影響するのでしょうか?
T:当社では、若手のうちから男女関係なくスケールの大きい仕事を担当していますね。
私の所属部署では一人ひとりがテーマを持つので、裁量が大きく、必然的に活躍の機会も十分にあります。テーマは本人の特性や希望を踏まえて割り当てられるので納得感が大きいです。とはいえ先輩や上司によるサポートもありますよ。
F:私は入社1年目から量産部門の現場改善の1テーマの主担当を任されました。他の若手も男女差なく責任ある立場で働いています。
――ライフステージの変化にはどのように対応していますか? 仕事とプライベートの両立の実態が気になる学生は多いと思います。
T:育児休業の後、私は短時間勤務を選びました。また短時間勤務の勤務時間は数種類あるので、自分の価値観に合う働き方を選ぶことができます。仕事にベースを置きたい、子育てに時間をかけたいなど、個人の希望に合わせられるのが当社の特徴です。
病気や予防接種など子どものケアに利用する看護休暇も、子どもの発熱で早退する際に2時間だけ取るなどフレキシブルに活用しやすい雰囲気があります。当社では子どもが一人いる場合、5日分の看護休暇が有給休暇として付与されるので、充実した制度が安心感と働きやすさにつながっていますね。
私の所属部署は、子育て中の先輩3人のうち2人が短時間勤務でした。おかげで自分の育児が始まる前から、仕事との両立をイメージしやすかったです。
F:私の部署は12人中女性が3人で、うち1人が育児休業中です。誰もが制度を利用できる安心感は入社当初から感じています。
学生の頃には想像していなかったやりがいを見つけた

――DOWAホールディングスで働くうえで必要となる価値観やスキルを教えてください。
T:若手のうちから多くの挑戦ができ、かつ周りからサポートを受けられる会社なので、チャレンジ精神を持つ人に適していると感じます。
F:研究開発は1人でなくチームで進める業務で、他部署も巻き込んでいく働き方がベースですから、コミュニケーションスキルを意識的に磨いておくといいですね。
――最後に、理系学生に向けてメッセージをお願いします。
F:就職活動ではオンラインの情報だけに頼らず工場見学やOBOG訪問などに参加し、体験的に情報を仕入れる意義を感じました。また、就職活動の「軸」も重要です。いわゆる人気や条件だけでなく、自分が大切にしている価値観を中心に置くと、自分に合う会社を見つけやすいと思います。
研究開発や現場改善の仕事がしたい人なら、当社の仕事は電子材料や貴金属の専門家でなくても男女問わず安心して取り組めますよ。
T:当社で働く中で、学生の頃には想像も及ばなかったやりがいや価値を見いだし、キャリア観も変化しました。私にとってDOWAホールディングスは、育児休業後も自分らしく働けると思わせてくれた会社です。柔軟な働き方で、社会貢献の喜びや経済的自立など得られるものの大きさを感じています。
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編集後記
理系の素養と思考力を活かし続けたいと考えるなら、制度面の充実は長期的なキャリアの礎になる。DOWAホールディングスにおける二人の着実な活躍ぶりは、男女問わず理系人材のキャリアにとって明るい光となりそうだ。入社後の学びの機会とサポート体制もそろった同社で、ぜひ技術者として腕を磨きながら社会的価値を生み出していってほしい。
※所属・内容等は取材当時のものです。(2023年10月公開)
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