持続可能な「循環型事業」が入社の決め手に

――学生時代はどんな研究に取り組みましたか?
Y:電気電子工学を専攻し、モーターの高出力化を研究しました。例えば電気自動車のモーターの出力をアップできれば、燃費向上や小型化につながり、材料費削減などのメリットがあります。
H:私は機械工学の専攻で、溶かした金属が固まる過程を観察して金属組織の凝固メカニズムを調査していました。凝固の仕組みを解明することで、金属組織の硬さや細かさを高める熱処理方法の最適化につながるという研究でした。
――就職活動で重視したことを教えてください。
Y:「電気系の知識が活かせる仕事」で、かつ「成長のポテンシャルと安定感を感じられる会社」という2点に絞って検討しました。
DOWAホールディングスの事業は、環境・リサイクル、製錬、電子材料、金属加工、熱処理と大きく五つあり、どれか一つの業績が不安定になっても他事業でカバーできます。また、設備の設計・改善を行う当社の生産技術職では、工場設備の設計から、試運転、立ち上げ、保全までを担うので 電気系の専門知識を活かしやすいという特徴があります。
当社を選ぶ決め手となったのは、資源と環境の価値を考えた循環型事業。製品をただ作るのではなく、持続可能性に配慮した金属のリサイクルの取り組みに魅力を感じました。また、研究室のOBが当社に在籍していて、設備設計のやりがいを聞いたことも後押しになりました。
H:私の場合、「機械系の知識を役立てられる仕事」であることに加え、大工だった祖父の影響もあって「建設関係のエンジニアリング」に興味を持っていました。そんな中、素材メーカーのDOWAホールディングスを見つけたんです。
他の非鉄金属メーカーと比較して、当社はリサイクル事業への注力という大きな特徴があるので、「やりがいを感じながら社会貢献ができそう」と思いました。入社を決めたポイントは、インターンシップで見た「先輩社員の雰囲気の柔らかさ」や「フランクに話してくれる親切さ」。社員の人柄や風通しの良さは、入社後にいっそう実感していますね。
――入社当初から4年目の現在まで、どんな業務を経験してきましたか?
Y:自社工場の電気系統の担当で、装置を動かすプログラムや制御盤の設計、現地での電気工事などを担っています。自分が設計したものが想定通りに動くか現地で確認し、改善を繰り返しながら完成させていきます。
入社1年目は小規模な装置の設計業務から始め、次第に規模や種類を広げていきました。最近は工場内の重要設備の更新案件にて、電気主担当を任されるようになり、複数の装置を動かすための設計から配線工事・試運転・立ち上げまで責任を持って取り組んでいます。
H:私は、工場で使う装置やフローの設計を行っています。入社当初は小さな分析装置の設計からスタートして、徐々に上流側の業務に関わるようになりました。
上流の仕事では、個々の装置の能力決定にも関わる工場のフローを設計し、修正も重ねながら装置や設備のレイアウト図面なども作成します。導入後の装置の立ち上げや試運転、能力確認なども重要な業務であり、設計~試運転まで携わることで業務の幅が広がってきています。
「現場に足を運ぶことが何より大事」と思う理由

――特に印象深い仕事について教えてください。
Y:秋田の工場には、創業当初から50年以上使われてきた重要な設備があり、現在その更新プロジェクトが進行中です。プロジェクトチームのメンバーは機械担当、電気担当、現場のプロセス担当の3人で、私は新たに追加する建物と設備の電気部分を担当しています。
難易度の高いプロジェクトなので、時には上司だけでなくチームメンバー・部署全体に意見を求め、試行錯誤しながら一つずつ挑戦。上司や周囲のメンバーは幅広い知見を持っているだけでなく、こちらの状況に合わせたアドバイスをしてくれるので、一人で悩むことなく、仕事を進めることができています。
H:工場で使用される冷却設備の、冷却能力の増強プロジェクトが印象に残っています。学生時代に学んだ技術も、実務で使うとなると一筋縄ではいかないことを再認識した案件でした。
設計時の熱量計算が理論上は合っていても、いざ現場でデータを取って再計算すると数字が違うことがあるんです。原因を考え、どこを修正すれば装置の冷却能力が上がるかを検討し、悩んで学びながら業務を進めました。第1弾の改善を経て、現在はさらなる能力増強のために第2弾の改善に取り組んでいるところです。
――大学で身に付けた知識のうち、どんなものが役立つ機会が多いですか?
Y:電気業務の基礎となる電気回路学の他、制御工学やパワーエレクトロニクス(電力の変換と制御の技術)の知識が仕事のベースです。
私のいた研究室では、進捗報告資料を作る機会が頻繁にあり、おかげで仕事でも考えや状況を「分かりやすく説明する」という能力が役立っています。
H:機械系で学ぶ「4力」と呼ばれる熱力学、流体力学、機械力学、材料力学の全てが業務に必要です。伝熱の原理や種類、流体の圧力損失の計算、建屋の梁(はり)や床の耐荷重量を知るための強度計算などの知識は高頻度で使っています。
――専門性をダイレクトに業務に活かせるということですね。新たに求められる知識やスキルはどうやって習得していますか?
Y:先輩にもアドバイスを求めやすい会社なので、専門性や経験値によって「この話はあの人に聞こう」と判断して積極的に質問しています。業務の幅を広げていきたいので、個人としても資格取得の勉強中です。
H:「現場に足を運ぶことが何より大事」と上司から言われています。自分の目で現場を見ると設備の異常にいち早く気づくこともありますし、現場の作業担当者から得た知見を設計に反映させることも。現場を知ることで、理論と実態のギャップを埋めていくことができます。
作業進捗の管理・共有も重要なので、日頃からスケジュールや計画を立てる習慣を付けておくようにしています。
「手掛けた設備が長く使われること」が技術者の誇り

――生産技術チームや現場のメンバーとのチームワークが、工場を形にしていく仕事なんですね。
H:課題が見つかったときは、一番影響を受ける現場の人たちだけでなく、生産技術のメンバーや上司も含め、全員で実物を見ながら解決策や対策を講じていきます。協力して考えて課題解決をしていく一体感も、当社の仕事の魅力ですね。
Y:設備は一人では絶対に作れないものなので、役割分担をしてそれぞれの専門性や知見を持ち寄ることで一つの設備ができあがっていく喜びがあります。自分の専門外の知識も教えてもらいやすく、異なる視点から異常箇所や課題を見つけることができるのもチームの良さですね。
――仕事のやりがいを感じるのは、どんな瞬間ですか?
Y:装置や設備がイメージ通りに動いた瞬間は、格別のやりがいを感じます。試運転をして現場に引き渡した後に、現場の作業者から感謝の言葉をもらうこともあります。入社から4年経ち、自分が手掛けた設備が現場に少しずつ増えてきました。「今日もちゃんと動いているな」と様子を見るたび、自分の仕事が形として残り、長く使われていくという感慨深さがあります。
H:現場で使いにくい設備は結局長く使われないので、残っているということは現場の人たちから性能をしっかり認められているという証なんです。自分が設計したものが図面から立体になった姿を見るのは毎回うれしいですし、装置や設備が完成して操業に使われることは技術者の誇りですね。
図面作成もエンジニアリングも好きなことなので、温かい人たちに囲まれながら自分のやりたいことができる当社に入って本当に良かったと感じています。
専門性を活かす鍵は、視野を広げること

――DOWAホールディングスで活躍できるのはどんな人でしょうか?
Y:事務所で緻密な図面や資料を作成することも、現場で汗をかきながら設備に触ることも、同時に楽しみたい人に適した仕事です。
特に活躍しているのは、コミュニケーションを図りながら人間関係を構築し、自ら主体的に行動する人。エンジニアリングは、部署内や現場、設備製作や工事の業者、メーカーなど多くの人と関わりながら進めるので、積極的に人と話し、かつ指示を待つのでなく自分で考えて動く人は、周りからの協力も得やすいです。
H:上の世代の技術者だと機械・電気の両方に詳しい人もいて、専攻にとらわれすぎないことも大事だと学びました。操業プロセスに関わるなら、化学系の知識も吸収していくと活躍の幅が広がります。
下の世代では、高いコミュニケーション能力や知的好奇心を発揮している人が活躍しています。興味を持ったことをすぐに質問したり調べたりすることがポイントですね。
――最後に、就職活動中の理系学生にアドバイスをお願いします。
Y:就職活動では、広い業界を見てほしいです。私の場合、電気系の会社だけ見ていたらDOWAホールディングスは選択肢に入りませんでしたが、自分の専攻を活かすことを軸に多様な業界に目を向けたことが奏功しました。
H:事業や業界を知ることが興味につながることもあるので、とにかく視野を広げることが大事です。私が当社を選ぶ決め手になった人の温かさも、視野を広げてインターンシップに参加したから分かったこと。複数の非鉄金属メーカーのインターンシップで、企業ごとの特色や雰囲気の違いを理解したこともプラスになりました。知識だけでなく、体験を通して肌で感じることもぜひ大事にしてください。
DOWAホールディングス株式会社の 「企業情報」をチェック!
編集後記
素材メーカーは一見して機電系の活躍シーンが見えにくい企業だが、製造を支える生産技術職には機械や電気の専門知識が不可欠であることが理解できた。理論だけではカバーしきれない技術や知識の使い方を仕事の現場で体得していく面白さも、エンジニアリングならではの妙味といえるだろう。若手のうちから技術者として活躍しやすいDOWAホールディングスで、専門性を活かして働く喜びや誇りを感じながらキャリアを築いてみてはいかがだろうか。
※所属・内容等は取材当時のものです。(2023年11月公開)
研究をまとめて優良企業からのスカウトを獲得しよう!
- 理系大学院生シェアNO.1スカウト型就活サービス 「LabBase就職」
- 上位大学の理系院生4人に1人が登録!
- 研究と就活の両立が実現!!
登録は コチラから!