大好きな鉄道にものづくりで関わる

――お二人が大学時代に学んでいたことや、取り組んでいた研究について教えてください。
R.S:マニアというほどではないのですが、昔から鉄道が好きで、特にその構造に興味がありました。大学・大学院では機械系の学部に所属し、路面電車がカーブをスムーズに曲がるために必要な機構を研究していました。
N.N:工業高等専門学校(高専)から3年次編入で大学へ入学しました。大学・大学院は電気系で、研究内容は意外かもしれませんが、レーザー核融合でした。
大学の研究こそ関係のない分野でしたが、鉄道は小学生の頃から大好きでした。いわゆる「乗り鉄」だったんです。旅行好きな家族だったので鉄道を利用する機会が多く、父が電気のエンジニアだったことで自然と詳しくなりました。大学時代は某鉄道会社で「ホーム案内スタッフ」(通勤ラッシュ時における乗客整理や案内)のアルバイトをしたこともありました。
――就職活動で、東洋電機製造への入社の決め手を教えてください。
R.S:鉄道業界にこだわらず、計測器メーカーや印刷業界など、さまざまな企業を広く見ていました。そんな中、東洋電機製造とは大学で共同研究をしていたため、社員の人当たりの良い雰囲気を知っていたんです。業務内容も把握できていましたし、働くイメージがしやすかったことから就職を決めました。
N.N:兄が東洋電機製造で働いており、職場環境の良さはよく聞いていました。最終面接のとき、「絶対君を取るぞ」という熱意や期待を感じたことが決め手になりましたね。他社の選考も進めていましたが、当社だけ熱意が全く違うと感じ、就職を決めました。
――現在担当している業務を簡単に教えてください。
R.S:東洋電機製造では、鉄道車両用、一般産業用の電機品を製造しています。私は鉄道車両用の部品の開発設計を行う交通事業部開発部に所属し、入社時から駆動装置の開発設計に携わっています。
N.N:設計部の車両機器設計課に所属し、電車の運転台にある主幹制御器(マスコン)や、鉄道向けの高速度遮断器、その他鉄道車両の床下機器のうち、比較的小さな制御小物などの設計を担当しています。
国内の特別車両や海外の案件に携わる

――R.Sさんは、入社してからどんな業務を担当してきましたか。
R.S:研修を経て、最初は事務処理の方法や図面の書き方といった基礎的な業務を担当しました。1年目の12月から中国の案件を任されるようになり、それ以降一貫して担当しています。直近2年ほどは中国の鉄道での歯車装置の性能改善に関する開発を続けています。
コロナ流行前までは中国出張に行く機会もあったそうですが、最近はオンライン会議が中心。通訳の方が必ず入ってくださるので、言語の面で障壁を感じることはありません。
中国の案件は国内と比べて新規開発要素がかなり多いのが特徴で、例えば駆動装置にしても、新しい部品に一新するため全て開発し直すことがあります。入社直後からさまざまな装置を開発して、経験を積んできました。現在は試験や設計を行っている段階で、原因を解析したり、不具合を起こさないような製品の図面を書いたり、さまざまな視点からアプローチしています。
――N.Nさんはいかがですか。
N.N:入社1年目には関西の某鉄道事業者の鉄道車両の床下機器の設計を担当しました。2年目は関東の某鉄道事業者の鉄道車両の床下機器などの設計を担当しました。車体や床下に搭載された制御小物を10種類ほど設計したんです。
設計の仕事はまず、交通技術部(技術営業)から仕様をいただいて、お客さまに提出する図面や部品の組立図、安全性を検討する書類を作ります。デザインレビューという社内でのプレゼンテーションを経て各部署の承認をいただき、製造や材料調達の担当者に引き継ぐまでが私の仕事です。
設計に携わった鉄道車両はそれぞれローレル賞、ブルーリボン賞という、優れた鉄道車両に贈られる賞を受賞しました。はじめて担当した車両が栄誉ある賞を受賞したことはとてもうれしく、これまでのキャリアでも特に印象に残っています。
3、4年目からは、ここ最近のトレンドであるワンマン化対応の業務に携わっています。車掌さんが不在で走るワンマン運転を実現するためには、各駅のホームドア完備、ドア開閉装置の改造などが必須です。そのホームドアの開閉制御を行う床下機器の改造、更新を担当しています。最近では多くの鉄道事業者でワンマン運転が始まっており、当社の技術も活かされているんですよ。安全に直結するパーツなので、責任感を持って慎重に仕事をしています。
開発・設計は一人で1案件を担当

――お二人が所属する部門では、どのように仕事を進めていますか。
R.S:開発部では一般的に1年スパンで設計から納入までを行います。ただ中国の案件は特殊で、打ち合わせから数カ月で納入することもありますね。
当社の機械系の設計は、基本的に1つの案件に対して一人が担当します。必然的に係長や課長など上長とコミュニケーションを取る機会も増えますが、不安なことがあったらすぐに相談できる雰囲気ですね。
N.N:私が担当しているのは小さな部品で、仕様を受け取ってから6カ月程度のスパンで納入します。電気系も機械系と同様、一人1案件の開発に取り組んでいます。私は1案件の規模が小さいため、同時に3〜4案件を進行しています。
――学生時代の知識や経験が業務に活かせていると感じることはありますか。
R.S:機械系学科の基盤科目として4力(熱力学、流体力学、材料力学、機械力学)とよく言われますが、材料力学が実際の業務でも特に必要です。部品設計時、壊れない材料は何か、オーバースペックにならない材料は何かなど考えながら進めるため、日常的に知識を活用しています。
ただ、OJTで業務を経験しながら学んでいけるので、大学時代に学んでいなくてもそれほど困ることはありません。社内に図書館があるので、分からないことは文献を調べたり勉強したりして覚えていくこともできます。
N.N:オームの法則など、電気回路の基本中の基本の知識が一番役立ちます。開発業務をするうえで社長の前でプレゼンテーションする機会が何回かありましたが、資料作成や発表時の伝え方は、大学や大学院時代の学会発表などでの経験が活きていますね。
――これまでの業務で大変だと感じたことはありますか。
R.S:今取り組んでいる業務は条件などを変えてコツコツと試験や解析を繰り返し、結果と照らし合わせながら一人で作業を進めるものです。数年単位で取り組む地道な作業なので、終わりが見えないところが大変だと感じます。
N.N:製品に不具合が出ると、通常業務と並行して対応を行うため忙しくなります。また、部品メーカーから「その部品は製造中止になりました」と言われたときの対応が大変です。鉄道機器は多数の唯一無二のパーツで成り立っているので、別の部品に置き換えることは難しく、急いで代替メーカーを探す必要があるんです。図面訂正が必要になる場合もありますし、想定していない業務がいきなり発生することになります。
――仕事のやりがいはどんなところにありますか。
R.S:私が携わっている中国向けの製品は、当社の売上のなかでも重要な部分を占めています。プロジェクトがうまくいけば会社の利益に貢献できる点にやりがいを感じますね。
業務の面では、限られたスペースをどう有効活用して駆動装置を配置していくか、機構部分を考えていくのが面白いです。
N.N:自分が出荷したものを搭載した車両が安全に線路を走っていることに、とてもやりがいを感じます。旅行先でも自社の機器が車両に使われているかどうかをついチェックしてしまいますね(笑)。
人命に直結するからこそ、安全性には手を抜かない

――業務に取り組むうえで、気を付けていることはありますか。
R.S:担当している床下機器は、少しでも不具合を起こすと脱線して死者が出るような大きな事故につながりかねません。絶対に事故を起こさないように設計することは常に意識しています。数値や設計の計算は何度も見直し、ミスを見逃さないよう細心の注意を払っています。
N.N:私も、安全に対する意識を強く持って業務に取り組んでいます。設計も大事な仕事ですが、材料を調達してくださる方、実際に装置を作ってくださる工場の方、品質保証してくださる方など、多くの方が携わってようやく製品が完成します。現場の方々とのコミュニケーションは大切にしていますね。
――これから就職活動をする学生にメッセージをお願いします。
R.S:当社は温かな社風で、人当たりの良い従業員が多いです。入社以来やりたい仕事ができていますし、働きながら学ぶ機会もたくさんあります。
N.N:私は鉄道好きでこの会社に入社していますが、社内には鉄道好きではない方もたくさんいます。なので引け目を感じることなく、少しでも興味を持ったら応募していただきたいです。就職活動の面接と聞くと堅く構えがちですが、かしこまらず自然体でいらしてください。
鉄道好きの方も歓迎です。入社後の研修や業務を通して鉄道の知識を身につけることが出来ます。
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編集後記
東洋電機製造は、鉄道車両関連のさまざまな機器を通して世界の交通インフラを支えている。部品一つひとつに詰まった技術やノウハウは、専門的でマニアックだ。鉄道関連の業種で、エンジニアとして機械系や電気系の知識を活かし、設計や開発に意欲的に取り組みたい学生は、ぜひ挑戦してみてはいかがだろうか。
※所属・内容等は取材当時のものです。(2024年4月公開)
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